Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

走馬灯の夜

2020-09-01 09:08:08 | 読書
寒川猫持「走馬灯の夜」集英社(2002/5).

AMAZON HPの惹句*****
大阪市大正区三軒家。昭和30年代初頭、「私」がまだ「社会」に触れていなかった頃――。ペーソス豊かな句歌で人気の著者が、自身の原風景を句歌をちりばめて綴る、懐かしさにみちた初めての歌詠み小説。
*****

谷内六郎 原画によるカバーデザインと,猫持 (ねこもち) というペンネームにつられて古書店で百円で購入.現在はメディアチューンズからオンデマンドで出版されている.
一緒に購入したの「ガラス絵...」のカバーデザインは古典的だった.一般に,絵描きさんの本の装丁はダサいというのがぼくの評価.

「走馬灯...」は著者の思い出の記.こんなに鮮明に幼少時のことを覚えているわけはないので,登場人物はリアルだが小説なんだろう.
銭湯,汲み取り便所など,一回り上の16とんの記憶と重なる部分が多い.半世紀以上前となると,時の流れも緩やかだったのだな.

 1 浦島の話をすれば亀鳴きぬ
から
 10 走馬灯より駆け抜けて壁の馬

まで,全10章のそれぞれのタイトルが俳句だが,文中には短歌も多い.

 君知るやロバのパン屋というものを馬糞のごときパンを売りけり

16トンは知らないが J 子が居たあたりにはこのパン屋が売りに来たらしい.

 金持ちの家でせいぜい扇風機自然の風に自然の匂い

地球も温暖化していなかったので,過ごしやすかった.

ノスタルジーに浸るための非生産的な本だから,楽しく読んだ.

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