グカ・ハン,原 正人 訳「砂漠が街に入りこんだ日」リトルモア (2020/8)
書籍掲載の紹介情報*****
破滅寸前の世界は、どんな居場所も、手がかりも与えてはくれない。そこは LUOES、幻想都市。顔をなくした人々の群れ。ルールを知らないゲームの中を、自力で歩いていく、8つの「私」の物語。騒音から抜けだし、あらたに「発見」したものは―。
グカ・ハン
1987 年韓国生まれ。ソウルで造形芸術を学んだ後、2014 年、26 歳でパリへ移住。パリ第8大学で文芸創作の修士号を取得。現在は、フランス語で小説を執筆している。翻訳家として、フランス文学作品の韓国語への翻訳も手掛ける。*****
1987 年韓国生まれ。ソウルで造形芸術を学んだ後、2014 年、26 歳でパリへ移住。パリ第8大学で文芸創作の修士号を取得。現在は、フランス語で小説を執筆している。翻訳家として、フランス文学作品の韓国語への翻訳も手掛ける。*****
8つのうち.最初の「ルオエス」という短編で街に砂漠が入りこむ.ルオエス LUOES が街の名前でソウル SEOUL の逆読み.しかし残る7編にはこうした幻想的設定はない.だがどれにもはっきりしたストーリーはない.登場人物に固有名詞はなく,性別も年齢もわからないこともある.どこか社会批判を感じさせる.
ぼくの好みには合っている.
韓国人女性がフランス語で書いた作品で,訳者あとがきによれば,フランスでは「静かな話題をよんだ」という.フランス語以外の言語で出版されるのはこの日本語版が初めてで,作者あとがきに曰く「こんなにも『韓国的』な登場人物や場所が韓国の外で,韓国語以外の言語の中に命を宿しているのが面白い.まるで私の小説の登場人物たちが本からはみ出し,彼らには馴染みのない場所を動き回っているみたいだ」.
図書館で借用.
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