辻真先「たかが殺人じゃないか : 昭和 24 年の推理小説」東京創元社 (創元推理文庫 2023/3).
単行本出版は2020年で,帯にあるように,年末ミステリランキング3冠 すなわち :『このミステリーがすごい! 2021 年版』国内編,週刊文春 2020 ミステリーベスト 10 国内部門,ハヤカワ・ミステリマガジン〉ミステリが読みたい! 国内篇 でそれぞれ第1位.
Amazon の紹介*****昭和24年、去年までの旧制中学5年生の生活から一転、男女共学の新制高校3年生になった勝利少年。戸惑いの連続の高校生活を送る中、夏休みに不可解な二つの殺人事件に巻き込まれる――。勝利は、那珂一兵の助けを借りながら、その謎に挑む! 著者自らが経験した戦後日本の混乱期と、青春の日々をみずみずしく活写する、『深夜の博覧会 昭和12年の探偵小説』に続くシリーズ第2弾。*****
レジェンドな著者は 1932 年生で,この作品刊行時 88 歳.「昭和 24 年の推理小説」と言われると昭和 24 年に書いた作品みたいだがそうではなく,この作品の時代設定ということ.著者は昭和 24 年には 17 歳で,作中の少年少女の年齢と一致する.ちなみにこの年に 16 トンは小学生になった.16 トンが最初に就職した名古屋が舞台.狂言回しの勝利少年は料亭の御曹司だが,その料亭はせっかく焼け残ったのに 100 メートル道路を通すために立ち退かされたりする.
著者の 1970 年代の 中学・高校・受験殺人事件路線の復活 ?
青春小説として楽しく読めるが,ミステリとしての高評価には疑問を持つ.登場人物が出揃ったところで,(論理ではなく小説として) 犯人はこの人という流れだなと見当がついてしまうのだ.
帯の有無を計算したカバーデザイン ! ただしカバーイラストは昭和 24 年ではなく,令和の広島と言っても通用しそう.
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