城山三郎「大義の末 新装版」角川文庫 (2020/7).
Amazon に引用の「BOOK」データベース*****
思想書『大義』に影響され、予科練に志願した軍国少年・柿見は、理想とかけ離れた戦争の現実に深く絶望する。軍国主義を否定しておきながら、天皇の権威を再び政治に利用しようとする戦後社会で、人々と国家の変節に怒る柿見。なかったことにされた『大義』へ捧げた青春とそれを信じて死んだ友への想いから、破滅的な衝動に支配されていく。実体験に基づき、激動の時代を描いた、城山文学の原点というべき表題作ほか1篇。*****
著者は1959年「総会屋錦城」で直木賞.この「大義の末」の初版も1959年だが,受賞に先立っている.
戦後の主人公を置き去りにし,うまく立ち回る人たちは総会屋小説の登場人物と変わらない.この種の小説を読み慣れていると,ストーリーがわかってしまう気もする.
...などと,生意気なことを言ってはいけない.この小説に描かれている天皇制の問題は,現在と全く変わっていない.
「われわれの世代は戦争でひどいめにあってきた.軍隊という組織悪の標本みたいなものを身に染みて体験してきたから,こういうものを書きとめ,書くことによって復讐したいという気がある」とは,佐高信の解説に引用された著者の言.「国家というものが信じられない」と,紫綬褒章も拒否した.
著者は「大義の末」のもと軍国少年のものの見方の延長で,総会屋小説・企業小説を書いたのだろう.
もう一編の「軍艦旗はためく丘に」は住吉丸事件を扱っている.タイトルから「軍旗はためく下に」を思い出した.この結城昌治作品の増補新阪も7月に中公文庫に入った.
Amazon に引用の「BOOK」データベース*****
思想書『大義』に影響され、予科練に志願した軍国少年・柿見は、理想とかけ離れた戦争の現実に深く絶望する。軍国主義を否定しておきながら、天皇の権威を再び政治に利用しようとする戦後社会で、人々と国家の変節に怒る柿見。なかったことにされた『大義』へ捧げた青春とそれを信じて死んだ友への想いから、破滅的な衝動に支配されていく。実体験に基づき、激動の時代を描いた、城山文学の原点というべき表題作ほか1篇。*****
著者は1959年「総会屋錦城」で直木賞.この「大義の末」の初版も1959年だが,受賞に先立っている.
戦後の主人公を置き去りにし,うまく立ち回る人たちは総会屋小説の登場人物と変わらない.この種の小説を読み慣れていると,ストーリーがわかってしまう気もする.
...などと,生意気なことを言ってはいけない.この小説に描かれている天皇制の問題は,現在と全く変わっていない.
「われわれの世代は戦争でひどいめにあってきた.軍隊という組織悪の標本みたいなものを身に染みて体験してきたから,こういうものを書きとめ,書くことによって復讐したいという気がある」とは,佐高信の解説に引用された著者の言.「国家というものが信じられない」と,紫綬褒章も拒否した.
著者は「大義の末」のもと軍国少年のものの見方の延長で,総会屋小説・企業小説を書いたのだろう.
もう一編の「軍艦旗はためく丘に」は住吉丸事件を扱っている.タイトルから「軍旗はためく下に」を思い出した.この結城昌治作品の増補新阪も7月に中公文庫に入った.
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます