ローレンス・ブロック,田口俊樹 他 訳「短編画廊 絵から生まれた17の物語」ハーパーコリンズ・ ジャパン (2019/6) の「絵」はすべて Edward Hopper 1882-1967 の作品.物語と絵をいくつか.
「夜鷹 ナイトホークス」マイクル・コナリー 古沢嘉通 訳
冒頭の絵のタイトルも Night Hawks で,ホッパーの絵では最も有名なうちに入るらしい.ネットにも解説が多数存在する.この小説にもこの絵が登場するが,フォーカスするのは左端の後ろ向きの人物で,「都市から都市を渡り歩き,いつもひとりきりでカウンターに座っている夜行性の人物」と描写される.
「11月10日に発生した事件につきまして」ジェフリー・ディーヴァー 池田真紀子 訳
ソビエト国防省参謀本部諜報部の大佐から第一副首相・将軍への書簡という体裁.この絵
(タイトルはHotel by a Reilroad) と同じ服装の男女が駅の待合室にいて,それが鍵になる.
「キャロラインの話」ジル・D・ブロック 大谷瑠璃子 訳
絵のタイトルは Summer Evening.この高校生カップルから生まれ,両親から引き離された女の子が40年後に母親を訪ねる.この本には珍しく,ハッピーエンドとまではいかないが,暗くない結末.
「牧師のコレクション」ゲイル・レヴィン 中村ハルミ 訳
City Roofs.著者は伝記も書いている,ホッパー研究の第一人者.ホッパーの姉の教区の牧師が,その姉の家の屋根裏からホッパー作品・資料などを持ち出してわがものにする.他の作品と違って,どうやらノンフィクションらしい.
「海辺の部屋」ニコラス・クリストファー 大谷瑠璃子 訳
Rooms by the Sea という絵から,よくこんな作品が産み出せるものだ.読み進むうちに,年に一部屋ずつ (後にはもっと頻繁に) 部屋が増殖する迷路のような家と,この家から出ない謎の料理人...といった輪郭が現れる.
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます