Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「モンタギュー・エッグ氏の事件簿」

2021-11-16 09:20:55 | 読書
ドロシー・L・セイヤーズ, 井伊順彦 訳,論創社 論創海外ミステリ (2020/11).

出版社からのコメント
*****女流作家ドロシー・L・セイヤーズ 1893-1957 の傑作短編を日本独自の編纂で集成 ! モンタギュー・エッグ・シリーズの4作とノン・シリーズ物8作を収めた、
英国セイヤーズ協会推薦の一冊 ! 「収録作品は、いずれもセイヤーズの生前に刊行された三冊の短編集の短篇集のなかでも選りすぐりで、私はこの一書を強くお勧めします」ドロシー・L・セイヤーズ協会事務局長 ジャスミン・シメオネ.*****

冒頭の「アリババの呪文」は本格ものではなく犯罪組織のパーティを舞台とするへんてこな冒険小説 ? で,エッグ氏ではなく,ピーター・ウィムジイ卿なる素人探偵が登場する.こちらの探偵のシリーズも訳出されるらしい.

「アリババ...」は訳本で 30 ベー字余りだが,残りは 15 ベージ内外の,気の効いた短編ばかり.
モンタギュー・エッグ氏はワインのセールスマンで,事件簿の舞台はたいてい彼が泊まる安宿である.多くの場合事件が90%解決したところで終幕となる.
残りのノン・シリーズ物のほうが佳作揃いというのがぼくの評価で,この本のタイトルには疑問.カバー画像は Greg Brave とあるが,本書にマッチしているかは疑問.

セイヤーズ協会推薦の弁には「セイヤーズが執筆していたのはもう百年近く前のことなので,英語圏の現代人でさえわかりづらい表現が多い」とある.
「いつわりの振り玉」は時計の重りに時刻用・時鐘用のふたつがあることを常識としている.
ことば遊びネタ「ネブカドネザル」では,洪水のように繰り出される蘊蓄群は,ほとんどわからなかったが,オチは推測できた.英文学科の輪講に良いんじゃないの ?
著者の活動期間はアガサ・クリスティ 1890-1976 とかなり重なっている.しかしクリスティの作品が現代でも難なく楽しめるのに対し,セイヤーズ作品はいかにも古典.訳者あとがきはとても親切.


図書館で借用.ちゃんとしたミステリではあった!!

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