柴田 元幸 訳,白水社(2020/7).
Amazon CM*****
精緻な筆致、圧倒的想像力で名匠が紡ぐ深遠な宇宙。表題作や「ミラクル・ポリッシュ」など奇想と魔法に満ちた8篇と独特の短篇小説論。
スティーヴン・ミルハウザーの最新短篇集Voices in the Nightは、2冊に分けて刊行する。まず1冊目が、それぞれ多彩な奇想に満ちた8つの宇宙が詰まった本書『ホーム・ラン』だ。(2冊目は『夜の声』[仮題]として2021年刊行予定。) ミルハウザーの短篇の多くに共通する、「ここではないどこかへの希求、その恍惚と挫折」ともいうべきテーマは、本書でも健在だ。むしろそうした流れのなかで、またしても意外な新手を繰り出してくる想像力と、技巧を凝らした一途な名人芸が、読者を圧倒するだろう。
魔法の鏡磨きが男と恋人の心にもたらす光と影を描く「ミラクル・ポリッシュ」、町に謎の自殺願望が流行した半年を記録する「私たちの町で生じた最近の混乱に関する報告」、一本の決定的本塁打がたどる驚異の軌跡を追う表題作など、緻密な筆致で、壮大かつ深遠な宇宙を描く8篇を収録。
日本版のみに特別収録した、ミルハウザー自身のエッセイ「短篇小説の野心」から引用する。「短篇は一粒の砂に集中する、そこに―すぐそこに、己の手のひらに―宇宙があると烈しく信じて」。*****
訳者あとがきから上記に引用された
「ここではないどこかへの希求,その恍惚と挫折」と言うべきテーマは....ほとんど不器用なまでの一途さが我々を圧倒する」が的確.
ちなみに1970年代後半から,この著者の本は柴田訳・白水社と決まっているらしい.
ただし著者の想像力は1編につきひとつ限定.
「私たちの町で....」と「Elsewhere」は同工異曲のようでもある.
「十三人の妻」は1,2,3...の各章でひとりずつ妻が語られるのだが,数を追うごとに内容が抽象化する.
「ホーム・ラン」は最後まで改行なし.ぼく的には期待外れ.銀河系を突き抜けるより人工衛星になったほうが良かったんじゃないの?
「息子たちと母たち」に心が動かされた.でも,なんでタイトルだけ「...たち」と複数なんだろう.
図書館で借用.なにやら高級な小説を読んだような充足感あり.
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精緻な筆致、圧倒的想像力で名匠が紡ぐ深遠な宇宙。表題作や「ミラクル・ポリッシュ」など奇想と魔法に満ちた8篇と独特の短篇小説論。
スティーヴン・ミルハウザーの最新短篇集Voices in the Nightは、2冊に分けて刊行する。まず1冊目が、それぞれ多彩な奇想に満ちた8つの宇宙が詰まった本書『ホーム・ラン』だ。(2冊目は『夜の声』[仮題]として2021年刊行予定。) ミルハウザーの短篇の多くに共通する、「ここではないどこかへの希求、その恍惚と挫折」ともいうべきテーマは、本書でも健在だ。むしろそうした流れのなかで、またしても意外な新手を繰り出してくる想像力と、技巧を凝らした一途な名人芸が、読者を圧倒するだろう。
魔法の鏡磨きが男と恋人の心にもたらす光と影を描く「ミラクル・ポリッシュ」、町に謎の自殺願望が流行した半年を記録する「私たちの町で生じた最近の混乱に関する報告」、一本の決定的本塁打がたどる驚異の軌跡を追う表題作など、緻密な筆致で、壮大かつ深遠な宇宙を描く8篇を収録。
日本版のみに特別収録した、ミルハウザー自身のエッセイ「短篇小説の野心」から引用する。「短篇は一粒の砂に集中する、そこに―すぐそこに、己の手のひらに―宇宙があると烈しく信じて」。*****
訳者あとがきから上記に引用された
「ここではないどこかへの希求,その恍惚と挫折」と言うべきテーマは....ほとんど不器用なまでの一途さが我々を圧倒する」が的確.
ちなみに1970年代後半から,この著者の本は柴田訳・白水社と決まっているらしい.
ただし著者の想像力は1編につきひとつ限定.
「私たちの町で....」と「Elsewhere」は同工異曲のようでもある.
「十三人の妻」は1,2,3...の各章でひとりずつ妻が語られるのだが,数を追うごとに内容が抽象化する.
「ホーム・ラン」は最後まで改行なし.ぼく的には期待外れ.銀河系を突き抜けるより人工衛星になったほうが良かったんじゃないの?
「息子たちと母たち」に心が動かされた.でも,なんでタイトルだけ「...たち」と複数なんだろう.
図書館で借用.なにやら高級な小説を読んだような充足感あり.
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