フランク・グルーバー, 白須清美 訳「おしゃべり時計の秘密」論創社・論創海外ミステリ(2019/6).
ジョニーとサムという,怪しい本を売り歩く香具師コンビでシリーズになっているらしい.ジョニーの方が要らざる好奇心で突っ走り,サムがいやいやフォローするのが,いつもの展開.ふたりはたいてい文なし状態で,タクシー代,電話代などがいちいち何セントと書かれているのがみみっちくておもしろい.
コンビが一文なしになって豚箱に打ち込まれると同房の若者が殺される.彼は瀕死の富豪の孫で,残された「おしゃべり時計」を質入れしていた.ジョニーとサムは殺人容疑者として,相続人・悪人に混じって時計の奪い合いに首を突っ込む.富豪の館の庭には中心に通じる12本の路がある,というと「...館の秘密」めくが,そちらには展開しない.
コンビのどたばたに多少のミステリ風味を加えれば,いくらでも書けそう...というのは,あんまりな言い方だが,ストーリーは軌道に乗らないし,謎解きもなんだか唐突.はっきり言って,ハードカバーがもったいない B 級作品,図書館本.
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