板倉聖宣「かわりだねの科学者たち」仮説社(1987).
を古書店で発見.定価3300円が,このたびは600円だったので迷わず購入.なぜこの本を覚えていたかというと,発売時にパラったら,もくじに永海佐一郎の文字があったから.
理科の先生から永海の本「化学の真髄と酸化および還元反応*」のことを聞いたのだが,ちゃんと読んだのは高1になってからだろう.板倉聖宣さんが「かわりだね...」の中で書いているのは「科学の基礎」という本だが,どうやら中身はおなじらしい.「元素の周期律表をもとにして考えれば,化学反応の7-8割は実験しないでも推定できる」ということが,じつにわかりやすく書かれている.
「かわりだね...」によれば,東工大名誉教授・永海佐一郎はもともとは隠岐の漁師の子で,東京高工,東工大の前身の見習職工から出発した.そのせいか彼の本には,「親孝行しろ」というようなことが随所に書かれていたらしい...「らしい」というのは,自分はその部分を忘れているからだ.
「科学の真髄...」を読んだ時は感激したし,その影響は原子力工学科に進学するあたりまでは細々ながら続いていたのだろう.でも東大闘争で価値観が変わってしまい,こうした記憶もどこかに埋められた.そもそも大人になると,本はおろか,文学でも絵でも音楽でも感激しなくなる.未完成や Django を初めて聴いたときが懐かしい.
* 写真の表紙の本 (1951年版 Amazon 古書で 1708円)ではなく,粗悪な紙に活字がめめり込むように印刷してあったと思う.
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