Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

星新一「つねならぬ話」

2020-09-16 08:33:17 | 読書
新潮社 (1988/11).
現在は新潮文庫に入っているが,こちらは凝った造本.装丁 東幸見.挿画(西のぼる)入り.大活字で,A5 1ページに12行.この時代はまだ出版界にも余裕があったのだろう.

星新一公式サイトの Editor's Pick (発売から時間がたっているものをあらためて紹介するページ) の,文庫版の紹介によれば

*****
星新一が自分でまとめた最後の作品集です。 神話、民話、昔話、そして夢、どれもとってもみじかい52話。 1001編達成後、もうショートショートにカウントされなくてもいいと考えたら、こういう作品になったということか……?

作家へのアドバイスのような文が、ところどころに見うけられます。
たとえば、こんなの

焼きなおしなら、もっとうまくやれと。(天空の神話)
もっと大げさに話してみるか。(やじうま神話)
では、旅行記をお書きなさい。(旅情)
そう終らせては、よくできた話になってしまう。(壷)
つじつまを、無理に合わせることはない。(緑)

この作品群は小説家を引退する儀式だったのでしょうか。
*****

でも71歳の逝去はこの出版の8年後.この8年間をどう過ごされたか,近頃晩年を実感している79歳の16トンとしては興味がある.



これが目次.「はじまりの...」「もしかしての...」「ささやかれた...」が雑誌に発表されたときのタイトルはそれぞれ「創世の物語」「歴史の副読本」「ささやき民話集」.
「はじまりの...」の「さざれ神話」は「君が代」を題材にしている.
「もしかしての...」は一応ストーリーがある.エス氏もエヌ氏も出てこないが,あいかわらず会話が SNS 以前の電報みたい.
「ささやかれた...」はオチのない小噺集.

思い出したときにパラパラと読むのはいいが,連続して読むのはつらいかな
古書 350円.

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