Morton Feldman と，実験バンドの音楽

ジャズの，まずテーマの提示があって，それから個々のソロ回しがあって...という形式は，アフリカの土俗音楽が西洋音楽と妥協した産物．もともとは，なんとなく始まって，各自勝手にやるうちになんとなく盛り上がり，だれてきたところでなんとなく終わる，というものだっただろう．

この前，学祭ジャズ喫茶に実験バンドとして出たときの最後の曲 Mr. A.O. は，「なんとなく形式」であった．しかもたいした打ち合わせもないままに，なんとなくこの形式に陥ってしまったところがスバラシイ．

しかし，この形式は，一晩中だらだらとやるのには向いているが，残り時間 5 分でやるのは無理，と痛感してオワタ．


ところでこの YouTube から拝借した映像は Morton Feldman の現代音楽．われわれのバンドでも「他人の出した音が終わったら音を出す」という実験をしたことがある．音を重ねない - ハモらない - という精神はこの作曲家の特徴らしいが，そんなことは知らないでこのルールで演奏してみると，この映像に近い結果になる．

この手の音楽は，見ても聴いてもおもしろくない．ヒトマエで演るには勇気が足りないが，演ってみると，つまらないということはない．また演ってみたくなると言ったほうが良い．
漫然と音を出すという行為は，自然な，本能的な行為と思える．

ただし Feldman の音楽の演奏となると，このページを読んだら，作曲者の意図に反した音は一音たりとも出せなくなりそう．
われわれのお遊びとは違って，やっぱりクラシックなんだろう．


宣伝です．

小方・高田・中川・山本 著
「視て聴くドレミ - フーリエ音楽学への招待」大阪大学出版会(2013/03)．
各ネット書店，丸善ほかの有名書店，ヤマハ銀座店等で発売中です．

学祭 OB/OG バンド

大学の学園祭　ジャズ研究会主催の「ジャズ喫茶」の OB/OG バンド．O田(fl)，S吉(jb)，I黒(elb)，M山(ds)，O川(vo)．

ことしはリハまでして臨んでくれた．写真はほとんどの楽器がジャズ喫茶に運び出されたボックス (サークル室) でのリハ風景．ドラムは 2 点セットだが，そのうちシンバルは M 山氏が持参したもの．S 吉嬢はぶっ壊れたピアノ椅子にきゃっきゃっと喜んでおられた - 「ここでは何でも壊れるのね」．

でも，かってのみなさんの時代に比べると清潔になったように思えますが...

さて，曲目は

1 HeighHo
2 What's New
3 The Rainbow Connection
4 Night and Day

5 Blue Bossa

1 はディズニーの「白雪姫」から．2 は恒例の「お久しぶり」ソング．4 はボーカル，3 は，歌は知っていたが，演奏する曲として意識したのは初めて．
5 は現役も交えての大セッションで大いに盛り上がった．O 田氏は一年生にフルート奏者がふたりもいるのでご満悦だった．

OB/OG バンド出演は 4 年目だが，来年はどうなるのだろうか．ありがたいことに，毎年ボランティア的に ? 出て下さる方々がおられるのだが，客観的には，広島周辺在住で・卒業してもシャズを続けていて・しかもこの時期都合がつく人は少ない．

みなが仙人さまのHPにも写真が載っています．

元祖ユーモア・ミステリ ?

ロバート・バー 平山雄一訳「ウジェーヌ・ヴァルモンの勝利」国書刊行会 (2010/10)

ホームズと同時代の，すなわち古き良き時代のミステリ．
もとフランス刑事局長のウジェーヌ・ヴァルモンがへまをして首になり，ロンドンで私立探偵になる．「我輩」の一人称で語られる (訳がうまい)．探偵はホームズほど論理的ではなく，しばしばドジをふむ．事件はたいてい彼の予期せぬ結末となるのだが，たいていは冒頭で探偵自身が謙虚にもそのことをまず暗示する．

ポワロの造型はこのヴァルモンがヒントになっているという説もあるそうだが，ポワロより，この我輩さんのほうが愛嬌がある．
どの作品でも，フランス人探偵のイギリスの国民性に対する揶揄がマクラになっているが，作者はカナダ人，すなわち蝙蝠みたいに，英人仏人どちらでもあるような/ないようなヒトなんだろう．

全８篇が執筆順に並んでいて，最初の方はいささかまだるっこしいが，後になるほど調子があがる．「うっかり屋協同組合」は「健忘症連盟」のタイトルで江戸川乱歩のアンソロジーに入っているそうだ．

「ばかミス」は言い過ぎかもしれないが，とにかく面白かった．
いつの間にか忘れてしまい，何年か経ってから読み直て，また面白がることが出来る類いの一冊．

宣伝 : 実験ジャズ @ 学祭

大学祭の場を借りて，またまた　懲りずに　実験ジャズを演ることになっている．メンバーは去年とほとんど同じ．

広島大学ジャズ研究会の「ジャズ喫茶」そのものは　11/6 (日) 1020-2000　広島大学　マーメイドカフェ　(中央図書館前)．
チケット　(ケーキ付き)　500円．
乞　ご来場．

われわれの出番は，タイムテーブルによれば 1850-1915．

1 コルトレーンとふつうの II-V-I 進行を無造作につなげた曲．
2 前後を10拍子ではさんだ，フリーのバッハ．
3 dim 一発の 16 小節ブルース．
段階的に過激になる予定．

各メンバーは実験ジャズに対して同床異夢．ケージっぽい・あるいはモートン・フェルドマンっぽいのとか，ポリリズムとか，図形楽譜とか，いろいろやってみたが，物理の実験と同じで，たいていうまくいかない．
それでも　ゼミっぽく断続的に続けて来たので，レパートリーはたくさんある．そこで　今回とは別にコンサートをやりたいと思っている．
しかし，ライブハウスでは「営業」のつもりが「営業妨害」となりそう (お客さんが怒って帰ってしまうかもしれない) ので，大学の教室で学術的にやろうか　と話し合っているところ．でも，実現まで行き着くかどうか怪しいところです．

ひき続き　ジャズ喫茶のトリは OB/OG バンド．
その後半は現役学生と入り乱れての O 田氏仕切りによるジャム・セッション．2000 終了予定．



拙著・電子書籍「ドレミの科学」が，DL-MARKET, http://www.dlmarket.jp/product_info.php/cPath/799_800/page/1/products_id/145552
よりお求めただけます．500 円です．

わが家でピアノ発表会

第 7 回 大人のピアノ発表会
- アートな油絵と共に -　だ　そうです．

J 子が習っている，O川N子先生の教室の発表会．うちでやるのは初めて．プログラムは25曲で，聴くだけの方も含めて30名．

先生の伴奏で，クライスラー「ベートーベンの主題によるロンディーノ」をビブラフォンで弾いてみた．クラシックは，何度か弾いているうちに覚えてしまうのだが，何も考えなくても手だけ動くようになると，間違えることを発見．ジャズベースには歌いながら弾く人が多いが，頭の中でメロディを浮かべながら弾くといい感じになるようだ．でも　いい気になりすぎるとフェイクしてしまう．

休憩時間．いつもヴァイブはお子様に人気．
ピアノを習っていればかんたんなもの．下が白鍵，上が黒鍵と教えたら，さっそく「あわてん坊のサンタクロース」を F で演奏．
楽しそう!!