路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【検証 令和の新興宗教】:④摂理=キリスト教福音宣教会 SDGsで大学生を勧誘する手法で信者が16年前の3倍

2022-09-02 06:16:40 | 【新宗教=新興宗教と呼ばれる教団は多岐にわたり、時代的には19世紀に創始さ...

【検証 令和の新興宗教】:④摂理=キリスト教福音宣教会 SDGsで大学生を勧誘する手法で信者が16年前の3倍

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【検証 令和の新興宗教】:④摂理=キリスト教福音宣教会 SDGsで大学生を勧誘する手法で信者が16年前の3倍

 2006年にテレビや新聞がこぞって取り上げ大騒ぎになった韓国発祥のキリスト教系カルト集団がある。通称「摂理」。正式名を「キリスト教福音宣教会」という。

 騒動の発端は信者への強姦容疑で国際手配されていた教祖・鄭明析について、日本人を含む元信者の女性たちが性的暴行を受けたと記者会見を行ったことだった。

<picture>摂理の支部教会で行われたイベント(撮影)鈴木エイト</picture>
摂理の支部教会で行われたイベント(撮影)鈴木エイト

 ■長身グラマーの女性は「ハーレム」行き

 教祖の中国の潜伏先で性的暴行をされたと明かした韓国人女性は、そこに30人以上の日本人女性がいたとも語った。背が高く色白でグラマーな女性信者は、次々と教祖の潜伏先に連れて行かれる。

 地下の巨大な風呂に最大100人もの女性信者を並べて教祖が次々と性行為をする“グループセックス”が行われていると報じたメディアもあった。

 ただしセックス三昧なのは教祖だけ。信者たちは統一教会のような「合同結婚式」で結ばれたカップル以外、恋愛やセックスを禁じられている。

 摂理は日本の大学で宗教であることを隠し、文化系サークルなどを装って学生を勧誘していた。男性も勧誘されるが、女性は教祖の好みに合うと“ハーレム”行きとなる。そのため06年の騒動をきっかけに全国で摂理対策に取り組む大学が一挙に増えた。

 それでも摂理は大学での偽装勧誘をやめなかった。それどころか、学内の監視が厳しくなると大学の外で行き帰りの学生を狙って声をかけたり、SNSで大学生を狙って声をかけるなどの手法に切り替えた。高校生にも勧誘の手を広げている。

 勧誘の場所が変わっただけで、宗教と関係のない学生サークルを装う手法は同じ。最近では、SDGsについて学ぶオンラインイベントなどを開催し、それを名目に大学生を誘う。高校生には受験や大学生活について現役大学生がアドバイスするイベントを企画している。

 おかげで信者数が急増。06年当時は日本国内で2000人程度だったが、現在は3倍以上に膨れ上がった。18年以降、全国に点在する支部教会のいくつかは宗教法人格まで取得した。認証した自治体の関係者は筆者にこう話してくれた。

 「宗教法人の申請を出してきたのが摂理であることはわかっていた。しかし日本国内で刑事事件などを起こしておらず、申請を拒否できる法的根拠がなかった」

 教祖は07年に中国で逮捕され、韓国で服役して18年に出所した。ところが出所後、新たに性的暴行を受けたとして、今年3月にイギリスやオーストラリア国籍の元女性信者が韓国・ソウルで教祖を刑事告訴した。被害女性が記者会見を行うなど、なりゆきが注目されている。


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 ■藤倉善郎 ジャーナリスト

 1974年、東京生まれ。ジャーナリストとして、カルト問題を20年以上にわたり取材。2009年にニュースサイト「やや日刊カルト新聞」を創刊し、統一教会問題を取材するジャーナリスト・鈴木エイト氏とともに活動中。著書に「『カルト宗教』取材したらこうだった」(宝島SUGOI文庫)、「徹底検証 日本の右傾化」(共著、筑摩選書、塚田穂高編著)など。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・話題・連載「検証 令和の新興宗教」】  2022年08月19日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【検証 令和の新興宗教】:③「パナウェーブ研究所」は大学助教授の死亡で5人逮捕…19年前に白装束で世間を騒がす

2022-09-02 06:16:30 | 【新宗教=新興宗教と呼ばれる教団は多岐にわたり、時代的には19世紀に創始さ...

【検証 令和の新興宗教】:③「パナウェーブ研究所」は大学助教授の死亡で5人逮捕…19年前に白装束で世間を騒がす

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【検証 令和の新興宗教】:③「パナウェーブ研究所」は大学助教授の死亡で5人逮捕…19年前に白装束で世間を騒がす

 2003年に岐阜県八幡町(現・郡上市)の林道を占拠したり自動車十数台を連ねて全国を移動して連日ワイドショーに追い回された「パナウェーブ研究所」。信者たちが白衣と白マスクで身を包み、団体のクルマが白布で覆われていたことから「白装束騒動」とも呼ばれた。

<picture>犬は白装束ではなかった(撮影)藤倉善郎</picture>

   犬は白装束ではなかった(撮影)藤倉善郎

 パナウェーブ研究所は、千乃裕子を会長とする宗教団体「千乃正法会」の一部門。騒動の最中、千乃は「ニビル星」なる天体が地球に接近し天変地異で人類が滅亡すると予言して騒ぎ立てたが、予言は外れた。千乃は最終的に、金星人がニビル星に水素爆弾を打ち込んで粉々にしたため、地球の危機が回避されたと説明した。この騒ぎの直後、白装束の一行は福井県五太子町にある自分たちの施設に落ち着いた。

 ところが同年夏、パナウェーブ研究所のメンバーだった大学助教授が施設内で変死。司法解剖の結果、死因は熱中症と外傷性ショックの複合的要因の可能性があるとされ、県警は助教授を竹刀などで暴行したとして、メンバー5人を逮捕した。

 パナウェーブ研究所は、電磁波は人体に有害であると考え、車両に滞留している電磁波を地面に流して除去する「アースチェック」なる行為を行っていた。死亡した助教授は千乃が乗る車両のアースチェックに失敗したとして、メンバーから棒や竹刀で背中を殴打されていた。後に5人はそれぞれ罰金20万円の略式命令を受けている。

 筆者は06年に五太子町を訪ねたが、施設は白い布で覆われ、中をうかがい知ることはできなかった。白装束で犬の散歩をしている信者がいたが、犬に白布は巻かれていなかった。

 施設から100メートルほど離れた道路に車を止めて写真を撮っていると、信者からこう言われた。

 「クルマに電磁波が反射して千乃会長を攻撃している。千乃会長はいま具合が悪いので、立ち去って欲しい」

 筆者のせいではないと思うが、この12日後に千乃は死去。その後、五太子町の施設は白布が取り払われ、パナウェーブ研究所は消滅した。施設は普通の民家のような装いに変わって今も残っている。

  千乃正法会は存続していて、数年前に訪れた際は表札に同会の出版社の名が掲げられていた。千乃正法会の現在の活動状況は不明だが、ブログは更新を続けている。そこにはチャネリングによって得た宇宙人などからのメッセージのほか、トランプ前米大統領を支持するQアノンの陰謀論メッセージが掲載されている。トランプはカルト集団の間で大人気なのだ。 (一部敬称略)

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 ■藤倉善郎 ジャーナリスト

 1974年、東京生まれ。ジャーナリストとして、カルト問題を20年以上にわたり取材。2009年にニュースサイト「やや日刊カルト新聞」を創刊し、統一教会問題を取材するジャーナリスト・鈴木エイト氏とともに活動中。著書に「『カルト宗教』取材したらこうだった」(宝島SUGOI文庫)、「徹底検証 日本の右傾化」(共著、筑摩選書、塚田穂高編著)など。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・話題・連載「検証 令和の新興宗教」】  2022年08月18日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【検証 令和の新興宗教】:②神父が女性信者の股間にヨーグルトを塗って射精…共同生活で「謎の儀式」を続ける

2022-09-02 06:16:20 | 【新宗教=新興宗教と呼ばれる教団は多岐にわたり、時代的には19世紀に創始さ...

【検証 令和の新興宗教】:②神父が女性信者の股間にヨーグルトを塗って射精…共同生活で「謎の儀式」を続ける

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【検証 令和の新興宗教】:②神父が女性信者の股間にヨーグルトを塗って射精…共同生活で「謎の儀式」を続ける

 秋田県のY駅からクルマで15分ほどの小さな集落に立つ民家。ここに5、6人で共同生活をしているLというカルト集団がある。

 彼らの源流はオーストラリアにある。同国に聖母マリアのメッセージを受けたと主張して終末論を唱えるキリスト教系カルト集団があり、Lはその日本支部にあたるグループだった。

<picture>屋内から人の話し声が聞こえた(撮影)藤倉善郎</picture>

  屋内から人の話し声が聞こえた(撮影)藤倉善郎

 だがオーストラリア人の教祖が少女への性虐待で逮捕。そのためLのグループはオーストラリアの本部とは別の団体となり、「神父」を名乗る男性指導者が女性信者に“性の儀式”を続けていた。

 その儀式はこうだ。神父と女性信者が全裸になって祭壇に祈りを捧げたあと、床に敷いた布団の上でキスをして互いの体を隅々までなめ合う。女性信者が神父の性器を口に入れたり、シックスナインになったりと、まるでアダルトビデオの前戯のようだ。

 ところが、ひとしきり愛撫を終えると、女性の股間にヨーグルトを塗りたくり、そこに神父が性器をこすりつける。性器の挿入はせず、素股の要領でコップの中に射精。事が終わったあとは精液の入ったコップを祭壇に捧げる。これが「正しいセックス」だと神父は説くのだ。

 ■儀式の様子を動画サイトに公開

 メンバーには複数の女性がおり、神父がそれぞれと性の儀式をしている。しかも一時期、彼らはこのセックス儀式の様子を動画サイトに公開、自らDVD化して販売までしていた。女性信者たちの裸や性行為を見せ物にしているようなもので、客観的に考えれば女性への性的虐待といえなくもない。

 最近はセックス儀式映像の“新作”を発表していないようだが、神父と信者の共同生活は続いている。新型コロナウイルスが広まり始めた2020年3月、ブログやSNSの更新を全て停止した。メンバーたちが車で買い物に行った際に全員が集団感染し、帰りに発熱したというのが彼らの主張だ。

  いくらなんでも発熱までの時間が短すぎる。そのせいか、保健所に検査を依頼したものの、拒否されたという。本当に感染したのかどうかは不明だが、集団生活で「濃厚接触」をしていれば全員が感染しても不思議はない。同年11月にはSNSを再開して、当時のトランプ大統領を賛美する投稿を行ったが、まもなく更新を止め、現在も休止中だ。 

 筆者は21年7月に現地の民家に行ってみた。玄関に「コロナウイルス汚染中!うつらないよう入らないで!」との張り紙が。

 いくら呼びかけても反応はないが、エアコンの室外機は作動しており、屋内から人の話し声が聞こえた。少なくとも生存していることだけは確認できた。部外者との接触を絶っているようだ。中で何をしているのだろうか。

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 ■藤倉善郎 ジャーナリスト

 1974年、東京生まれ。ジャーナリストとして、カルト問題を20年以上にわたり取材。2009年にニュースサイト「やや日刊カルト新聞」を創刊し、統一教会問題を取材するジャーナリスト・鈴木エイト氏とともに活動中。著書に「『カルト宗教』取材したらこうだった」(宝島SUGOI文庫)、「徹底検証 日本の右傾化」(共著、筑摩選書、塚田穂高編著)など。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・話題・連載「検証 令和の新興宗教」】  2022年08月17日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【検証 令和の新興宗教】:①「サンクチュアリ教会」の教祖は文鮮明の息子 日本にも信者がいる“武装宗教団体”の実態

2022-09-02 06:16:10 | 【新宗教=新興宗教と呼ばれる教団は多岐にわたり、時代的には19世紀に創始さ...

【検証 令和の新興宗教】:①「サンクチュアリ教会」の教祖は文鮮明の息子 日本にも信者がいる“武装宗教団体”の実態

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【検証 令和の新興宗教】:①「サンクチュアリ教会」の教祖は文鮮明の息子 日本にも信者がいる“武装宗教団体”の実態

  7月8日、安倍晋三元首相が暗殺された。このとき山上徹也容疑者が旧統一教会分派の別団体に所属していたと一時的に報道された。ネット上ではそれが旧統一教会教祖・文鮮明の七男・文亨進率いる「サンクチュアリ教会」ではないかとの噂が流れて話題になったが、この話はデマだったようだ。ただ、サンクチュアリ教会がかなり特異な宗教団体であることは間違いない。

<picture>会場で信者に祈祷する旧統一教会・文鮮明の七男、文亨進(撮影)藤倉善郎</picture>

 会場で信者に祈祷する旧統一教会・文鮮明の七男、文亨進(撮影)藤倉善郎

 この教団は米ペンシルベニア州に本拠を置き、日本にも支部がある。2012年の文鮮明死去後、妻・韓鶴子と子供たちの間で後継者争いが勃発し、韓氏が教団を掌握。教団を離れた文亨進が設立したのがこのサンクチュアリ教会だ。

 文亨進は2016年の大統領選でトランプを支持。やがて、米国政府は「ディープ・ステート」(闇の政府)に牛耳られており、トランプはそれと戦う英雄であるとする「Qアノン」の陰謀論に染まる。20年の大統領選でトランプがバイデンに敗れると、Qアノンは選挙を不正だと主張し、連邦議会襲撃事件を起こした。文亨進もこの時、議事堂前での抗議活動に参加しており、混乱の様子を自らユーチューブに投稿している。

 「将来の迫害に対してドナルド・トランプ大統領のために武装して死ぬ準備をしなければならない」

 トランプ敗北後、文亨進が信者にこう語ったと米メディアで報じられた。

 ■軍用ライフルを持って合同結婚式も

 サンクチュアリ教会の特徴は銃を信奉していることだ。信者たちが自動小銃のAR-15を構え、銃弾を束ねた王冠を頭に載せて礼拝することから、米国では「銃の教会」として知られている。新郎新婦がそれぞれ自動小銃を持って合同結婚式を行う光景が報じられ、日本でもアマゾンプライムなどで閲覧できる。

 ペンシルベニア州の田舎町に購入した土地で格闘術や銃の射撃訓練を行うなど、やっていることは武装ゲリラ部隊さながらだ。日本にも信者がいて、18年ごろには首相官邸前で安倍元首相を応援する街宣を行っていた。彼らは独自に安倍元首相の追悼式を行うとしていた(実際は断念)。

 実は安倍元首相が殺害された7月8日、偶然にも文亨進は日本滞在中だった。6月に彼が日本の信者を集めて講演する縦断ツアーを開始。以来、日本にとどまっていたのだ。

 筆者は6月25日の東京大会を取材。文亨進のこんな発言を聞いた。

 「ワクチン接種を3回受けたら、自分の免疫システムが90%以上壊れていく。若い者たちも突然、心臓まひで死んでいる。世界経済も壊されていく。それは中産階級を殺す作戦だ。これが共産主義だ。政治サタン主義だ」

 完全に反ワクチン陰謀論だ。

 大阪大会では、こんな発言も。

 「(日本では)銃が持てないから軍の訓練ができない。それは言い訳だ。隣人と無線機パーティーをやって味噌ラーメンを食べましょう。無線機をあげて互いに気遣い合い、伝道する。これが平和軍警察だ」

 日本でも銃以外の道具を使って自警団をつくれと信者をあおって、文亨進は帰って行った。(一部敬称略)

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 ■藤倉善郎 ジャーナリスト

 1974年、東京生まれ。ジャーナリストとして、カルト問題を20年以上にわたり取材。2009年にニュースサイト「やや日刊カルト新聞」を創刊し、統一教会問題を取材するジャーナリスト・鈴木エイト氏とともに活動中。著書に「『カルト宗教』取材したらこうだった」(宝島SUGOI文庫)、「徹底検証 日本の右傾化」(共著、筑摩選書、塚田穂高編著)など。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・話題・連載「検証 令和の新興宗教」】  2022年08月16日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【HUNTER2022.09.02】:取り調べ同席、道警が通達やり直し「誤解招く表現あった」と警察庁

2022-09-02 06:03:50 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER2022.09.02】:取り調べ同席、道警が通達やり直し「誤解招く表現あった」と警察庁

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2022.09.02】:取り調べ同席、道警が通達やり直し「誤解招く表現あった」と警察庁 

 刑事事件の容疑者取り調べへの弁護人立ち会いについて、北海道警察がこれを認めないとする内部通達を出していた問題で、地元報道や弁護士会などの批判を受けた道警が8月に入って同通達を作り直していたことがわかった。問題とされた通達について、中央の警察庁は「誤解を招きかねない表現があった」としている。

◇   ◇   ◇

 本サイト既報の通り、同問題をめぐっては昨年12月、札幌弁護士会が道警に申し入れを寄せ、刑事事件の取り調べに弁護人の同席を認めるよう求めていた。これを受けた道警は申し入れ直後に刑事部長名の通達を出し、弁護人から立ち会いの求めがあっても一切認めないよう各警察署などに指示したことがわかっている。

 弁護人の取り調べ立ち会い権を明文化したルールはないものの、さりとて立ち会いを明確に禁じる法律があるわけではなく、国家公安委員会の「犯罪捜査規範」には第三者の取り調べ同席を想定した条文がある(180条2項)。実際にはほとんどのケースで同席が認められていないとはいえ、立ち会う権利そのものは決して否定されておらず、全国の都道府県警察を監督する警察庁も昨年5月、各警察本部などに宛てた事務連絡に次のような考えを記していた。

 《弁護人の立会いについては、その必要性と捜査への影響等を総合的に勘案しつつ慎重に検討する必要がある》

 《弁護人等から立会いの申出等があった場合には、警察署独自で判断させることなく、警察本部への報告を求め、組織的に対応するよう徹底されたい》

 立ち会いを一律に否定する道警通達は、これらの原則に適っているとはいえなかった。地元紙・北海道新聞は本年7月から8月にかけ、紙面でこの喰い違いを指摘。同紙の報道を受けた札幌弁護士会が改めて道警に抗議を寄せる事態となり、さらには札幌のみならず道南の函館弁護士会も会長声明を発表( https://hakoben.or.jp/archives/statement/1309 )、道警通達を強く批判して撤回を迫った。

 こうした動きを受けた道警が問題の通達を見直し、新たな通達を出していたことがわかったのは、8月下旬のこと。現在、公文書開示請求中の筆者はその内容を確認できていないが、先んじて同通達を入手したとみられる道新や朝日新聞の報道によると、新たな通達は8月18日付で発出。もとの通達の「立会いは認めないこと」などの文言は削除され、組織的に判断するとの内容に変更されたという。事実上、弁護士会などの抗議を受けて昨年の通達を撤回した形だが、この真意などを尋ねる筆者の取材に道警は現時点で回答を返していない。一方、8月下旬に取材を打診していた警察庁は同30日午前の文書回答で次のような認識を示すに到っている。

 《北海道警察が発出したお尋ねの通達については、一部に誤解を招きかねない表現が認められたことから、誤解が生じないよう表現を改めた通達を発出し直したと報告を受けています》

 取り調べへの弁護士同席を「認めない」と明記した通達の文言は「誤解を招きかねない表現」だったというのだ。この説明が腑に落ちるものになっているかどうかは、読者の公平な評価に任せたい。

 なお札幌弁護士会は昨年12月の道警への申し入れに際し、もう1つの捜査機関である検察にも同じ趣旨の求めを寄せている。今回の道警の問題を受け、筆者が札幌地方検察庁の定例会見で立ち会いの可否などを判断するルールについて尋ねたところ、同地検の次席検事は「(ルールの有無を)把握していない」と回答、過去に立ち会いを認めたケースがあるかどうかを確認する問いには「私が承知している範囲では、ない」と答えている。(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・話題・】  2022年09月02日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2022.08.23】:弁護士会が北海道警察に抗議|取り調べ同席認めないのは違法

2022-09-02 06:03:40 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER2022.08.23】:弁護士会が北海道警察に抗議|取り調べ同席認めないのは違法

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2022.08.23】:弁護士会が北海道警察に抗議|取り調べ同席認めないのは違法 

 札幌弁護士会(佐藤昭彦会長、821人登録)は8月17日、地元の北海道警察に抗議を寄せ、刑事事件で容疑者の取り調べに弁護士の立ち会いを認めるよう申し入れた。同趣旨の申し入れは昨年12月にも行なっていたが、これを受けた道警が各警察署に通達を出し、立ち会いを認めないよう指示していたことがわかったため、弁護士会は同通達の違法性を指摘して撤回を求めた。

◇   ◇   ◇

 札幌弁護士会(以下、札弁)は昨年11月、全国で初めて弁護士の取り調べ立ち会いを支援する制度を導入。立ち会いに取り組んだ弁護士に一定の費用を支給する取り組みを始めた。併せて立ち会い権の明文化を目指し、同12月には道警と札幌地方検察庁に取り調べへの弁護士同席を認めるよう申し入れを寄せている。札弁によると、ここ2年ほどの間に弁護士の立ち会いが認められたケースは全国で30件ほどあるものの、ほとんどの事件で「捜査への支障」などを理由に同席を拒否されているのが実情という。

 申し入れを受けた道警が各警察署に対し「立ち会いは認めないこと」と指示する通達を発したのは、申し入れ直後の12月下旬のこと。今年に入ってから地元紙・北海道新聞が公文書開示請求で同通達を入手し、その内容を報道したことで、事実が明るみに出た。同記事を受けて筆者が入手した刑事部長通達によると、道警は弁護士の取り調べ同席を認めないのみならず「取調室近くにおける待機」も認めないこととしており、徹底して容疑者と弁護人とを遠ざけようとしていることがわかる。

 この通達が弁護士などの間で問題とされたのは、公安委員会の規則や警察庁の指導などと矛盾しているため。国家公安委員会が定める「犯罪捜査規範」には、次のような条文がある。

 《取調べを行うに当たつて弁護人その他適当と認められる者を立ち会わせたときは、その供述調書に立会人の署名押印を求めなければならない》(同180条2項)

 第三者の立ち会いを認めることを前提とした文言。それもそのはずで、そもそも日本には取り調べへの弁護士同席を禁じるルールが存在しないのだ。

 さらに、中央の警察庁が昨年5月に各都道府県警などへ発した「指導連絡」には、こうある。

 《警察署に対して、弁護人等から立会いの申出等があった場合には、警察署独自で判断させることなく、警察本部への報告を求め、組織的に対応するよう徹底されたい》

 一読してわかる通り、決して弁護士同席を一律に否定する内容ではない。

 昨年暮れの道警通達はこれらの原則をおよそ顧みず、問答無用で弁護士立ち会いを拒むものだった。先の道新報道でこうした道警の姿勢を知るに及んだ弁護士会は、本年8月17日付の『抗議書兼要求書』で通達の違法性を指摘、強く撤回を迫ることになる。

 《取調室という密室において、法律の素人である被疑者が、強大な権限を有する取調べのプロたる警察官からの取調べを一人で受ける場面にあっては、得てして被疑者の黙秘権を中心とした供述の自由が確保されず、時に虚偽の自白を生み、ひいては冤罪事件発生の温床となる。このことは、我が国の刑事司法の歴史をみても公知の事実である

 申し入れに併せ、札弁は同日付で会長声明を発表。取り調べへの立ち会いが法令上禁じられていないことを改めて指摘し、道警の通達は容疑者の権利を不当に制限する違法・違憲なものであると訴えた。

 さらに申し入れ翌日の同18日には会員らを対象に研修会を開き、約90人の弁護士が立ち会い実践を促す講義に耳を傾けた。講師を務めた日弁連取調べ立ち会い実現委員会委員長の川上有弁護士(札幌)は、先の道警通達の影響で取調室の近くに待機する「準立ち会い」さえ認められなくなった事態を報告、こうした警察の姿勢を「許し難い」と批判した。

 同弁護士はこれまで2回ほど立ち会いを認められた実績があるといい、弁護士の取り調べ同席は「被疑者の供述の自由を確保する手段の1つ」と説明、積極的に警察や検察と交渉を進めていくよう参加者らに呼びかけた。

 同じく講師として登壇した大阪弁護士会の川﨑拓也弁護士は、かつて米国に留学した際の体験を引き「被疑者の長期拘束、検察官控訴、取り調べ立ち会い不可。この3つは日本司法の『三大びっくり』と呼ばれている」と報告、弁護士が容疑者の眼の前で立ち会いを強く求めるだけでも容疑者に心の余裕ができると訴えた。

 札幌弁護士会は本年9月から11月までの3カ月間にわたって「取り調べ立ち会い推進運動」を実施。立ち会いや準立ち会いを実現した弁護士に費用を支給するほか、同席を申し入れた結果の報告を広く募り、捜査機関との積極的な交渉を促していくとしている。同会は先の抗議書で、立ち会い不可の理由や適法性について道警に質問を寄せているが、現時点で道警からの回答は届いていない。(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・北海道警を巡る疑惑】  2022年08月23日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2022.07.29】:「官邸の番犬」中村格警察庁長官の評判

2022-09-02 06:03:30 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER2022.07.29】:「官邸の番犬」中村格警察庁長官の評判

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2022.07.29】:「官邸の番犬」中村格警察庁長官の評判 

 奈良市内における安倍晋三元総理の銃撃事件から20日が経過した。事件当時、周囲には約15人もの警察官が配置され警備にあたっていたが、現場で逮捕された山上徹也容疑者は、なんなく元総理の背後に近づき発砲に及んだ。警護対象者を守れなかったことの責めを負うのは奈良県警と警視庁だが、最高責任者は警察庁の中村格長官である。

 ■政権の犬

 国家公安委員長経験者の大物議員が、こう話す。

「安倍さんにごまをすり、気に入られ、安倍さんに尽くして最高のポストに上り詰めた。その結果、警備の大失敗で安倍さん射殺……。中村長官は事件後、ある自民党幹部からの電話に『本当に申し訳ございません』などと話していたそうだが、正直、申し訳ございませんでは済まない事件だ」

 中村長官は福岡県出身で、ラ・サール高校から東京大学、警察庁というエリート。政治と大きなかかわりを持つきっかけとなったのは、菅直人政権時代の2010年、中枢にいた仙谷由人官房長官の秘書官に抜てきされたこと。民主党政権時代は、枝野幸男氏や藤村修氏という官房長官に仕え、自民党が政権を奪い返すと、菅義偉氏の右腕として重宝された。そうした中、長期政権を続ける安倍元首相の目にも止まるようになる。

 中村氏の最高の「手柄」と揶揄されているのが、2016年に起きたジャーナリスト、伊藤詩織さん暴行事件への対応。警視庁が、TBSの記者だった山口敬之氏の逮捕状をとった時のことだ。元警察庁幹部が振り返る。

 「安倍元総理や菅氏に山口氏が泣きついた。そこで、当時、警視庁刑事部長という捜査の最高責任者だった中村氏が登場、上から逮捕状をストップさせた。この件は、その後、伊藤さんの民事訴訟でも同様の背景が指摘されている。普通なら大きく報じられマイナス評価になるが、当時は安倍一強時代で逆に政権との近さが評価を高める結果になった」

 当時、中村氏は週刊新潮の取材に「私が決裁した」と山口逮捕に待ったをかけたことを認めている。それが大きな功績と認められたのか、2019年9月、中村氏はついに警察庁長官のポストを射止める。この時点で、中村氏は「政権の犬」と呼ばれる存在になっていた。

 ■与党からも責任論

 警察庁長官は、警視総監と並ぶ警察組織内の最高ポストだ。歴代警察庁長官のキャリアを見ると、都道府県の本部長を経ているのが一般的。しかし、中村氏は本部長の経験がない。異例と言うべきだろう。

 「都道府県の本部長というのは、一つの自治体の警察についてすべてを任されるわけです。そこで問題を起こさないか、適正な捜査が尽くせるかが試される場なのです。本部長をやらずにトップにつくなんて聞いたことがない。誰もが、安倍元総理であり、菅氏が中村氏のバックに控えているからと思っていたはずです」(前出の元警察庁幹部)

 だが、安倍・菅という2人の後ろ盾のうち、銃撃テロという前代未聞の事件で安倍氏が消えてしまった。いくつもの問題点が指摘されている「警備」の最高責任者は中村長官だ。ある現役のSPは、次のような見解を示す。

 「報道で何度も繰り返して現場の動画を見ました。必ず警護対象者の真横か真後ろにSPがつかなければいけないのですが、安倍元総理が演壇にあがる直前、何故か一緒にいたSPが場所を少し離れた位置を変えています。この動きは意味が分からない。一方、山上容疑者ですが、せっかく元総理が来るのですから、正面側に行くのが当たり前。ですが、演説会の最初から元総理の後ろ側となるバスターミナルの歩道でうろちょろ。警備側は誰も、それを『あやしい』と察知できなかった。警察官の一人は山上容疑者から1、2mのところに何度か近づいているし、安倍さんに最も近いところにいたSPは、何度か山上容疑者に視線を送っている。山上容疑者が動き出して最初の発砲をするまで1分前後の時間があったにもかかわらず、2発目の銃撃まで許してしまった。完全に警備のミス、大失態でしょう」

 「安部さんの国葬後に辞職するらしいが、中村君はただちに更迭されるべきだ。警備の問題点を検証すると言っているが、失敗の検証を、失敗した組織のトップがやるということ自体が間違い。安倍さんのおかげで長官になれたのだから、守れなかった責任は重い。そもそも、今の安全で平和な日本で、元首相が射殺とは考えられない。奈良県警に責任を押し付けて居残るような噂もあったが、そんなことは許されない。しっかりと責任を取ってもらわねばならない。中村君は、検証が終わってからと命乞いするようなことを周囲に語っていたそうだが、国葬を待たずに辞めた方が中村君の将来のためにもいいと思う」(前出・国家公安委員長経験者)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・奈良市内における安倍晋三元総理の銃撃事件から20日が経過・警護対象者を守れなかったことの責めを負うのは奈良県警と警視庁だが、最高責任者は警察庁の中村格長官】  2022年07月29日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2022.05.23】:北海道警の黙秘権侵害・私物検閲疑い| 被害女性が取り調べ映像「提出」申し立て

2022-09-02 06:03:20 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER2022.05.23】:北海道警の黙秘権侵害・私物検閲疑い| 被害女性が取り調べ映像「提出」申し立て

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2022.05.23】:北海道警の黙秘権侵害・私物検閲疑い| 被害女性が取り調べ映像「提出」申し立て 

 札幌市の女性が北海道警察による不当捜査の被害を訴えている裁判で、原告側が取り調べ映像の開示を求めて裁判所に「文書提出命令」を申し立てたことがわかった。被告の道警は裁判で、当時の取り調べに違法性はなかったなどとして請求棄却を求めている。

 ■「違法捜査」で国賠訴訟

 昨年12月に道警を相手どる国家賠償請求訴訟を起こしたのは、同年6月に起きた事件で道警の捜査を受けた女性(のち不起訴)と、事件を担当した河西宏樹弁護士(札幌弁護士会)。本サイト既報の通り、原告の女性は処分保留で釈放されるまでに警察の執拗な取り調べを受け続け、黙秘権行使の意向に反して供述を強要されたり、私物の『被疑者ノート』などを無断で持ち去られるなどの被害に遭ったという。

 弁護人らは道警に対し計4度にわたって抗議・苦情を寄せ、また札幌弁護士会も不当捜査を控えるよう申し入れたが、道警は黙秘権侵害などの事実を否定、私物の検閲についても「刑事訴訟法に基づく適切な職務行為だった」としていた。

 昨年9月に不起訴処分となった女性は当初、不当捜査から受けた不利益への賠償を求める考えがなかったが、「訴えを起こすことが違法捜査の抑止に繋がる」と考えた河西弁護士らが国賠提訴を決意、女性の了承を得た上で札幌地方裁判所に訴訟を提起するに到った。

 ■注目される「取り調べ映像」

 原告側は本年2月の第1回口頭弁論後、当時の取り調べを記録した映像の証拠提出を求める考えを明かしていた。不起訴事件では原則として刑事記録の開示が認められておらず、原告側が提出できる証拠は限られている。取り調べ映像が開示されれば、当時の捜査の適正性を客観的に検証できる可能性があった。

 ところが被告の道警側は、5月17日に開かれた2回目の弁論で「映像はすべて検察に送っており、こちらではいかんともしがたい」と、証拠提出を事実上拒否。これを受けた原告側は、裁判所が検察に映像提出を命じるよう求める「文書提出命令申し立て」の意向を示し、弁論3日後の同20日に申し立てを行なった。被告の道警からは「必要性を認めない」などの意見が出ることが予想されるが、提出命令の主体は飽くまで裁判所。札幌地裁の谷口哲也裁判長が開示の必要性を認めれば、検察は映像を提出せざるを得なくなる。

 原告代理人の吉田康紀弁護士(札幌)は「文書提出命令で取り調べの映像が開示されたケースは、おそらく過去にないのでは」と話し、開示の必要性について次のように話す。

 「当時の捜査が適正だったかどうかということは、捜査員の語気とか態度などを映像で観ないことには正確に判断できない。開示されたところで不利益を蒙る人は誰もいないし、原告自身が開示を求めているのでプライバシーの問題もありません。取り調べの適法性を判断する上で最良の証拠が存在するわけですから、それが提出されるのは当然です」

国賠訴訟の次回弁論は6月21日だが、裁判所の判断が期日までに示されるかどうかは未知数。吉田弁護士らは「違法な取り調べを抑止する見地からも、事後的に取り調べ状況を検証して裁判で争えるようにすべき」と話しており、まさに映像の開示が捜査の適正化に繋がることを訴えている。(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・札幌市の女性が北海道警察による不当捜査の被害を訴えている裁判】  2022年05月23日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【HUNTER2022.05.30】:道警裏金告発・原田さん逝く|札幌「偲ぶ会」で有志ら追悼

2022-09-02 06:03:10 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2022.05.30】:道警裏金告発・原田さん逝く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2022.05.30】:道警裏金告発・原田さん逝く|札幌「偲ぶ会」で有志ら追悼 

 2004年に全国で初めて実名で警察の裏金づくりを証言し、当時の北海道警察に組織的な不正経理を認めさせるなど警察改革に尽力した元道警幹部・原田宏二さんを偲ぶ会が5月28日午後、札幌市内で行なわれ、別れを惜しむ参列者たちが貴重な活動の意義を讃えた。原田さんは昨年12月に急逝していたが、遺族の意向でその公表が控えられていた。

◇   ◇   ◇

 偲ぶ会は、原田さんの告発会見に立ち会った市川守弘弁護士(旭川弁護士会)らが主催。生前「葬式は出すな」「ひっそり死にたい」と言っていたという故人の思いを尊重し、親交のあった人たちなどに参列者を絞り込んで開催した。道警裏金問題を追及してきた報道関係者や、原田さんの立ち上げた市民団体のメンバーなど、約40人が足を運んで遺族とともにその功績を振り返った(下の写真)。

 一連の裏金報道で菊池寛賞などを受けた元北海道新聞デスクの高田昌幸さん(62)は、ビデオメッセージで「原田さんはずっと取材陣を励ましてくれていた」と語り、稀有な人柄を「稀に見るピュアな正義漢」と評した。

 「これまでいろいろな内部告発者と会ってきましたが、原田さんだけはどこか違っていました。だいたいは個人的な恨みが告発の動機になるものですが、原田さんからはそういうものを一切感じなかった。純粋に組織を立て直そうとした人でした」

 同じくビデオでコメントを寄せたジャーナリストの大谷昭宏さん(76)は、原田さんの告発は警察への愛情に由来するものだったと話した。(*下の写真

 「警察官一人一人をすごく愛していらした。その警察官をあらぬ方向に運んでしまう『組織』というものに、並々ならぬ怒りを持っておられたと思います。組織というものが暴走し出すとどれだけ恐いかということを、ご自身の体験から身に沁みてわかっていたんです」

 函館市から足を運んだ元警察官の齋藤邦雄さん(74)は、原田さんの裏金告発を受けて新たな証言に名乗りを挙げた1人。「原田さんをバックアップしなければ一生後悔すると思った」と当時を振り返り、現職時代に趣味の自転車レースなどでともに過ごした時間を懐かしんだ。

 市川弁護士や遺族によると、原田さんは昨年11月に体調不良を訴えて医療機関を受診、間質性肺炎と診断されて入院治療にあたっていたが、12月11日に容態が急変し、帰らぬ人となった。葬儀は近親者のみで済ませ、亡くなった事実は本年4月まで公表が控えられていた。

 札幌在住の筆者はそれまで毎月1回の頻度で原田さんと杯をともにし、警察不祥事などの話題で元幹部としての意見を請うなどしていた。一昨年からはウイルス禍で交歓もままならなくなったが、原田さんからはその後も頻繁に連絡が届き、入院直前の昨年10月には忘年会の誘いを受けたところだった。11月下旬、請われて貸していた道警関連の資料が家族を通じて返却され、それから2週間と経ずに訃報が届いた。生前に触れた印象的な言葉に「警察官は正義を語るなかれ」という一句がある。法の執行者は法のみに従うべし、との諌言だ。なぜならば「正義は暴走する」――。自身は組織を敵に回してまで正義を貫きつつ、そういう客観的な視点を常に忘れない人だった。

 原田宏二さんは1937年札幌生まれ。札幌南高校卒業後の1958年に道警入りし、初任地の札幌中央警察署で裏金づくりを知った。組織では裏金を捻出する側と受け取る側の両方を経験し、定年前の95年に57歳で退職。ノンキャリアで方面本部トップにまで上りつめ(釧路方面本部長)、最後の階級は上から3番目の「警視長」だった。退職後の2004年2月、北海道新聞の裏金報道を受けて告発会見を開き、組織的な不正経理を実名で証言。同3月には地元議会でも証言に立ち、全国で初めて警察の裏金づくりが公式に認められる成果を導いた。2007年、市民の立場で警察を監視する「市民の目フォーラム北海道」設立、代表(14年解散)。その後も警察を相手どる裁判の支援などを引き受け続け、晩年には首相演説ヤジ排除事件の国会賠償請求訴訟で原告の立証活動に力を貸していた。享年83。(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・北海道・2004年に全国で初めて実名で警察の裏金づくりを証言し、当時の北海道警察に組織的な不正経理を認めさせるなど警察改革に尽力した元道警幹部・原田宏二さんを偲ぶ会】  2022年05月30日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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