【検証 令和の新興宗教】:④摂理=キリスト教福音宣教会 SDGsで大学生を勧誘する手法で信者が16年前の3倍
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【検証 令和の新興宗教】:④摂理=キリスト教福音宣教会 SDGsで大学生を勧誘する手法で信者が16年前の3倍
2006年にテレビや新聞がこぞって取り上げ大騒ぎになった韓国発祥のキリスト教系カルト集団がある。通称「摂理」。正式名を「キリスト教福音宣教会」という。
騒動の発端は信者への強姦容疑で国際手配されていた教祖・鄭明析について、日本人を含む元信者の女性たちが性的暴行を受けたと記者会見を行ったことだった。
■長身グラマーの女性は「ハーレム」行き
教祖の中国の潜伏先で性的暴行をされたと明かした韓国人女性は、そこに30人以上の日本人女性がいたとも語った。背が高く色白でグラマーな女性信者は、次々と教祖の潜伏先に連れて行かれる。
地下の巨大な風呂に最大100人もの女性信者を並べて教祖が次々と性行為をする“グループセックス”が行われていると報じたメディアもあった。
ただしセックス三昧なのは教祖だけ。信者たちは統一教会のような「合同結婚式」で結ばれたカップル以外、恋愛やセックスを禁じられている。
摂理は日本の大学で宗教であることを隠し、文化系サークルなどを装って学生を勧誘していた。男性も勧誘されるが、女性は教祖の好みに合うと“ハーレム”行きとなる。そのため06年の騒動をきっかけに全国で摂理対策に取り組む大学が一挙に増えた。
それでも摂理は大学での偽装勧誘をやめなかった。それどころか、学内の監視が厳しくなると大学の外で行き帰りの学生を狙って声をかけたり、SNSで大学生を狙って声をかけるなどの手法に切り替えた。高校生にも勧誘の手を広げている。
勧誘の場所が変わっただけで、宗教と関係のない学生サークルを装う手法は同じ。最近では、SDGsについて学ぶオンラインイベントなどを開催し、それを名目に大学生を誘う。高校生には受験や大学生活について現役大学生がアドバイスするイベントを企画している。
おかげで信者数が急増。06年当時は日本国内で2000人程度だったが、現在は3倍以上に膨れ上がった。18年以降、全国に点在する支部教会のいくつかは宗教法人格まで取得した。認証した自治体の関係者は筆者にこう話してくれた。
「宗教法人の申請を出してきたのが摂理であることはわかっていた。しかし日本国内で刑事事件などを起こしておらず、申請を拒否できる法的根拠がなかった」
教祖は07年に中国で逮捕され、韓国で服役して18年に出所した。ところが出所後、新たに性的暴行を受けたとして、今年3月にイギリスやオーストラリア国籍の元女性信者が韓国・ソウルで教祖を刑事告訴した。被害女性が記者会見を行うなど、なりゆきが注目されている。
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1974年、東京生まれ。ジャーナリストとして、カルト問題を20年以上にわたり取材。2009年にニュースサイト「やや日刊カルト新聞」を創刊し、統一教会問題を取材するジャーナリスト・鈴木エイト氏とともに活動中。著書に「『カルト宗教』取材したらこうだった」(宝島SUGOI文庫)、「徹底検証 日本の右傾化」(共著、筑摩選書、塚田穂高編著)など。
元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・話題・連載「検証 令和の新興宗教」】 2022年08月19日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。