路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【東京五輪汚職】:スポンサー企業の全てに国民の疑念 ■賄賂を要求されたのは角川とAOKIだけなのか

2022-09-17 06:25:50 | 【事件・犯罪・疑惑・詐欺・闇バイト・旧統一教会を巡る事件・ネット上の誹謗中傷他】

【東京五輪汚職】:スポンサー企業の全てに国民の疑念 ■賄賂を要求されたのは角川とAOKIだけなのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【東京五輪汚職】:スポンサー企業の全てに国民の疑念 ■賄賂を要求されたのは角川とAOKIだけなのか 

 弁護士から「賄賂に当たる可能性がある」と警告されても振り切って突っ走る。それがおぞましい利権の巣窟、五輪の“魔力”なのか。東京五輪をめぐる汚職事件は、紳士服大手「AOKIホールディングス」前会長の青木拡憲被告(83)に続き、贈賄側のスポンサー企業から2人目のトップが14日に逮捕された。

 出版大手「KADOKAWA」会長の角川歴彦容疑者(79)は、逮捕前の今月5日に取材に応じた際、大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者(78)に支払ったコンサルタント料について、賄賂の認識は「全くありません」と答え、「僕はそんな卑しい心で経営したことはない」とまで言い切っていた。しかし、東京地検特捜部は既に逮捕した同社の元専務らとの共謀を認定。「鶴の一声」で全てが決まるワンマン会社の創業家出身会長である。本人は容疑を否認しているというが、会長の了解なくして物事は進まないと判断したということだろう。


 一方、カネの動きはこうだ。

 特捜部は、高橋の「電通」時代の後輩のコンサルタントが代表を務める「コモンズ2」に対し、KADOKAWA側が支払った7600万円を、大会スポンサー選定に絡む賄賂と認定した。高橋は、スポンサー枠に「出版サービス」分野を新設。当初は2社に計5億円の負担を求め、負担額の8割をスポンサー料として組織委に、2割を「手数料」としてコモンズ2に支払わせることを計画したとみられる。1社は最終的に辞退したものの、高橋らの計画通り、2億8000万円のスポンサー料と合わせ、2割分にあたる7600万円が「手数料」としてKADOKAWA側からコモンズ2に支払われたのだ。

 AOKIのケースでは、特捜部が高橋への賄賂と認定したのは5100万円だが、高橋がAOKI側に示した契約金は7億5000万円だったとされる。

 ◆KADOKAWA会長は墓穴を掘った

 実際は5億円がスポンサー料で2億5000万円は“選手強化名目”だった。電通の子会社が2000万円を中抜きし、2億3000万円が高橋へ。そこから2つの競技団体に一部が寄付され、残りの1億5000万円程度が高橋の手元に残ったとみられる。

 AOKIとKADOKAWAが契約した「オフィシャルサポーター」は国内スポンサー3ランクの最下位ながら表向きの契約金は「15億円以上」。つまり、契約金をダンピングして、「手数料」をピンハネする手口が当たり前の世界だったように見えるのである。

 今後の捜査の行方について、元東京地検特捜部検事で弁護士の郷原信郎氏はこう話す。

 「スポンサーになることをお願いした企業にとって、高橋容疑者の立場が『(みなし公務員となる)組織委理事の権限に関するもの』なのか、『電通への影響力に関するもの』なのかで微妙な事件だと当初は見ていました。しかし、AOKI前会長は保釈されたので『理事の権限』で争うことはない、ということでしょう。KADOKAWAに関しては、電通の後輩の『コモンズ2』と高橋容疑者の財布が一体とみなせるかというさらなるハードルがあった。だが、5日の取材対応で角川会長は墓穴を掘りましたね。記者の質問に対し、『組織委の理事にお願いするのは当然』と発言した。これで検察は『理事の権限』だと立証しやすくなりました。それに角川会長は、自分の正当性を主張しようとして、取り調べでいろいろしゃべりそうです」

 注目はAOKI前会長もKADOKAWA会長も、スポンサー選定前に大会組織委の会長だった森喜朗元首相に会っていることだ。高橋が「AOKI側の依頼で森氏を紹介し、会食したことがある」と認めているというし、実際、AOKI前会長は「見舞金」名目で森に200万円を手渡している。KADOKAWA会長も選定前に高橋と2度面会し、そのうちの1回は森も同席していた。

 森がスポンサー選定の裏のキーマンだったのか。特捜部は森を参考人として、すでに3回、任意で事情聴取した。角川の逮捕で、さらに何が出てくるか。

◆五輪利権にはカネだけでなく「箔」「格」もある

 「なんとしてもスポンサーになりたい」──それがAOKIやKADOKAWAが贈賄に手を染めた動機だとすれば、他のスポンサーは大丈夫なのか。

 本来「1業種1社」だった大会スポンサーの原則が撤廃されたのは、商業イベントと化した五輪の巨額の運営費をまかなう目的と同時に、それだけ国内開催の祭典に参加したい企業がウジャウジャいた、ということでもある。

 IOC(国際オリンピック委員会)が管轄するワールドワイドのスポンサー3社とは別に、国内スポンサーとして上位から「ゴールドパートナー」「オフィシャルパートナー」「オフィシャルサポーター」の3ランクが設定され、65社が選ばれた。朝日、読売、日経、毎日など大メディアも横並びで加わった。

 「AOKIやKADOKAWAが契約した最下位スポンサーの『オフィシャルサポーター』は18社でしたが、スポンサーになりたい企業を吸収するための受け皿みたいなものでした」(大会関係者)

 AOKI、KADOKAWAとは別の第3のルートとして広告大手の「大広」も今月、特捜部に家宅捜索された。大広には、スポンサー獲得業務の一部を担う「販売協力代理店」に選ばれるよう高橋に依頼して1400万円を支払った疑惑が浮上している。さらに第4のルートは広告大手「ADKホールディングス」。同じくスポンサー獲得の再委託先で、既に7月に捜索されている。ADKの関係で今月7日に捜索された駐車場サービスの「パーク24」も最下位スポンサーだった。

 ◆いよいよ検察の本気度が問われる

 スポンサー企業にしろ広告代理店にしろ、とにかく東京五輪でひと儲けしようと高橋に群がり、そこに目をつけた高橋が賄賂を懐に入れた、という構図なのか。それは、安倍政権下で、東京五輪が政府肝いりの「国家プロジェクト」のような位置づけになったことも無関係ではないだろう。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「利権のかたまりの五輪には、金銭的な利益だけでなく『箔』や『格』のようなものもあったと思います。AOKI前会長が『高橋さんのおかげで、地元で聖火リレーを走れた』と言っていたというのが象徴的です。五輪のスポンサーになれれば、創業家出身らしい名誉欲が満たされ、企業としての格も上がると考えたのでしょう。そこには“見返り”が発生する。東京五輪はいまだ費用の使途も不透明。そのトップにいたのが森元首相です。政界までメスを入れなければ真の疑惑解明にはなりません」

 東京五輪を巡っては、スポンサー選定以外でも怪しい疑惑がある。招致当時の菅官房長官が、安倍とも近いセガサミーホールディングスの里見治会長に「アフリカ人を買収するのに4億~5億円の工作資金が必要」「嘉納治五郎財団に振り込んでくれれば会長に迷惑はかからない。この財団はブラックボックスだから足はつかない」などと持ちかけ、実際に3億~4億円が財団に入ったと「週刊新潮」が報じた一件だ。裏金のトンネルになった疑いがあるこの財団の代表理事は森元首相だった。

 さらに森が、新国立競技場建設にともなう「神宮外苑地区の再開発」を目的に暗躍していたことは、知る人ぞ知る話。今後、建設業界ルートも出てくるのか。

 そもそも高橋に入ったカネはその先どこへ流れたのか。五輪の闇は底なしだ。

 「安倍政権が無理をして東京五輪を引っ張ってきて、ドロドロした動きには常に安倍元首相の影がちらついていた。『絶対に高橋さんは捕まらないようにします』と安倍氏が言っていたと月刊誌『文芸春秋』が報じましたが、安倍氏が凶弾に倒れることがなければ、五輪汚職は事件化しなかったでしょう。検察が安倍・菅政権の本丸に切り込んで行けば、リクルート事件以上の疑獄になりますよ」(郷原信郎氏=前出)

 検察は国民の怒りに真正面から応えてくれるのか。いよいよ本気度が問われている。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・疑惑・東京五輪汚職】  2022年09月16日  17:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【自民党】:下村博文氏が旧統一教会との関連報道を全面否定「撤回をするよう強く抗議をする」

2022-09-17 06:24:40 | 【事件・犯罪・疑惑・詐欺・闇バイト・旧統一教会を巡る事件・ネット上の誹謗中傷他】

【自民党】:下村博文氏が旧統一教会との関連報道を全面否定「撤回をするよう強く抗議をする」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【自民党】:下村博文氏が旧統一教会との関連報道を全面否定「撤回をするよう強く抗議をする」

 自民党の下村博文元政調会長は14日、党本部で会見し、政調会長時代に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体の幹部から党の公約に反映するよう依頼を受けていたと「文春オンライン」が同日、報じた内容について「間違った事実に基づく記事は即刻、撤回をするよう強く抗議をする」と全面的に否定した。

下村博文氏(2022年7月撮影)                   下村博文氏(2022年7月撮影)

 下村氏が第2次安倍政権で文科相を務めた2015年に旧統一教会の名称変更が承認され、これまでも旧統一教会や関連団体との接点が指摘されていた。関連団体の幹部について「統一教会の方という認識はまったくない」とし、自民党が所属国会議員に行った旧統一教会との関係について公表した点検に「追加で訂正するようなことはない」とした。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・自民党と旧統一教会との癒着疑惑】  2022年09月14日  19:47:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記・06.25】:弁護団を増強し情報開示訴訟…国が「訳のわからんこと」を言う理由とは

2022-09-17 06:05:10 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記・06.25】:弁護団を増強し情報開示訴訟…国が「訳のわからんこと」を言う理由とは

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記・06.25】:弁護団を増強し情報開示訴訟…国が「訳のわからんこと」を言う理由とは

 「ワシら、義勇兵みたいなもんやからな」

 真実を求める闘いに、心強い味方が現れた。財務省の公文書改ざん事件で命を絶った赤木俊夫さんの妻、雅子さん。財務省に情報開示を求める裁判で、弁護団に3人が参加し5人になった。これまでの松丸正弁護士、生越照幸弁護士に加え、森友事件の追及で知られる阪口徳雄弁護士と高須賀彦人弁護士、それに情報公開に詳しい坂本団(まどか)弁護士。6月23日の法廷が新弁護団の初陣となった。

<picture>大阪地裁に入る新弁護団(撮影)相澤冬樹</picture>

  大阪地裁に入る新弁護団(撮影)相澤冬樹

 冒頭は、裁判開始前に弁護団最年長の阪口弁護士が語った言葉。「義によって助太刀いたす」の心意気だ。5人そろって大阪地裁正面から堂々入庁した。

 ■グローマー拒否を許してはならない

 義勇兵は初日からさっそく戦線に参加した。赤木雅子さんが開示を求めているのは、森友事件の捜査で財務省が大阪地検特捜部に任意提出した関連資料。裁判で国はそもそも、資料を検察に出したかどうかを答えない。アメリカでの類似事案の名前から「グローマー拒否」と呼ばれる。これに対し弁護団は坂本弁護士の提案で雅子さんと私の共著「私は真実が知りたい」(文藝春秋)の抜粋を証拠として提出した。その154ページから次ページにかけて、赤木俊夫さんの直属の上司だった財務省近畿財務局の池田靖 統括国有財産管理官(当時)が雅子さんに打ち明けた話として、近畿財務局が大阪地検特捜部に資料を任意提出した事実が紹介されている。

 この話は録音データもあるので間違いない。あるとわかっている資料について「あるかないかも答えない」というグローマー拒否は法的に許されない。法廷で坂本弁護士と阪口弁護士が詰め寄った。

 これに国はどう反論するのか? 準備にかかる時間を裁判長が尋ねたところ、国の代理人は「1か月少々」と答えた。ところが反論の文書提出期限を決める段階になって「2カ月近く先にしてほしい」と言い出した。おいおい、ちょっと待ってよ。弁護団から「1か月くらいで出せるという話だったですよね」と突っ込みが相次ぎ、期限は少し前倒しされた。しかし国は裁判の日程でも「都合が悪い」という答えを連発し、何とか進行を先送りしたいという考えがにじみ出た。

<picture>証拠提出された共著「私は真実が知りたい」の表紙コピー(撮影)相澤冬樹</picture>

 証拠提出された共著「私は真実が知りたい」の表紙コピー(撮影)相澤冬樹

 ◆「存在が明らかになってはマズイ」4つの文書とは

 弁論後の記者会見。冒頭で生越弁護士が「義勇兵が駆けつけてくれました」と新メンバーを紹介。その一人、坂本弁護士は堺市の情報公開審査会の会長を務める。「あるとわかっているのにグローマー拒否(あるかないかも答えない)ができないのは法律上常識です。私は大阪市の情報公開審査会の委員もしたことがありますし、今も堺市の情報公開審査会の委員をしていますが、このようなケースでグローマー拒否などというのは、あり得ないです」と経験を踏まえて指摘した。

 さらに阪口弁護士は、国が何も答えようとしない姿勢を取るのは、「存在が明らかになってはマズイ」4つの文書があるからだろうと指摘した。その4文書とは──。

 1)森友学園に値引き売却された国有地をめぐり、近畿財務局が土地を管理する国土交通省大阪航空局とやり取りした記録

 2)森友学園の籠池泰典理事長(当時)が安倍首相(当時)の妻、安倍昭恵さんと国有地前で撮った写真を持参して近畿財務局と交渉を行った際の記録

 3)安倍昭恵さん付きの政府職員だった谷査恵子氏が問題の国有地をめぐり財務省の国有財産審理室長とやり取りした記録

 4)問題が発覚した後の2017(平成29)年2月22日、菅官房長官(当時)が財務省理財局長だった佐川宣寿氏や財務官僚らを集めて開いた会議の記録

 これらの資料は存在が間違いないと見られながらいまだに明らかになっていない。しかし検察の捜査では任意提出したはずで、それが情報開示で明らかになると困るから、訳のわからないことを言いながら引き延ばそうとしているのだろう、という指摘だ。

 なかでも4番目の菅氏と財務官僚らの会議は、同じ日に2回に渡り開かれている。その5日前には安倍首相が「関係していたら総理も国会議員も辞める」と答弁。さらに会議の4日後に公文書改ざんが始まったことを考えると、そこで何が話されたのかは、極めて重大な意味を持つ。国が「もっとも隠しておきたい」文書と言えるだろう。それは逆に、真実を知るために欠かせない文書ということになる。

 思えばちょうど1年前の同じ日も国と佐川氏を相手取った裁判があった。あの時は夫、俊夫さんが改ざんについて記録した「赤木ファイル」が前日にようやく財務省から開示されたばかり。雅子さんは法廷で意見を述べた。

 「財務省の皆さんが改ざんの具体的経緯を明らかにしないことは、国民の疑惑や不信を招くような行為です。疑惑や不信を招くような行為をこれ以上続けないことを、私は心から願っていますし、夫も同じように願っていると思います」

 この言葉で締めくくり涙ぐむと、傍聴席から拍手が起きた。あの時の温かい気持ちを思い出した。同じように、財務省が出したくない文書を勝ち取ろう。

 ■阪口弁護士のつぶやきに親近感

 この日の裁判で雅子さんが一番面白かったこと。それは原告席で隣にいた阪口弁護士がもらした一言だった。

 「訳のわからんこと言うてんなあ、あいつら」

 引き延ばしのための苦しい言い訳を繰り返す国の代理人について、ぼそっと語ったのだ。雅子さんは思わず吹き出した。

 「おもろいこと言うなあ。弁護士さんも私と同じこと思ってるんだ」

 親近感がわいて、元気の出る“つぶやき”だった。

相澤冬樹
著者のコラム一覧
 ■相澤冬樹 ジャーナリスト・元NHK記者

 1962年宮崎県生まれ。東京大学法学部卒業。1987年NHKに記者職で入局。東京社会部、大阪府警キャップ・ニュースデスクなどを歴任。著書『安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』(文藝春秋)がベストセラーとなった。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・裁判・森友学園に関する財務省の決裁文書改ざんで自殺した近畿財務局の元職員赤木俊夫さん(=当時54)の妻雅子さん(51)が、改ざんを指示した佐川宣寿元国税庁長官に損害賠償を求めた訴訟】  2022年06月25日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記・05.29】:まだ情報開示裁判がある「私は真実が知りたい」…赤木雅子さん反撃へ弁護団を拡充

2022-09-17 06:05:00 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記・05.29】:まだ情報開示裁判がある「私は真実が知りたい」…赤木雅子さん反撃へ弁護団を拡充

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記・05.29】:まだ情報開示裁判がある「私は真実が知りたい」…赤木雅子さん反撃へ弁護団を拡充

 夫はなぜ死に追い込まれたのか? 財務省の公文書改ざん事件で命を絶った赤木俊夫さんの妻、雅子さんの「真実が知りたい」という願い。そのために裁判で元財務省理財局長・佐川宣寿氏ら5人の証人尋問を申請したが、大阪地裁で退けられたという衝撃。これですべてが終わってしまった……ように思える。だが、実は裁判はもう一つある。財務省に情報開示を求める裁判が。

<picture>赤木俊夫さんの手帳 2017年6月28日に「任ガサ」「18:30特捜部来庁」の文字(撮影)相澤冬樹</picture>

 赤木俊夫さんの手帳 2017年6月28日に「任ガサ」「18:30特捜部来庁」の文字(撮影)相澤冬樹

 ◇  ◇  ◇

 財務省による森友学園への国有地の巨額値引き売却と、取引の経緯を記した公文書の改ざん。これら森友事件の捜査の過程で、大阪地検特捜部は財務省から様々な関連資料の任意提出を受けた。捜査は佐川氏をはじめ全員不起訴で刑事責任を問わずに終わったから、提出された資料は返還されたはずだ。赤木雅子さんは、財務省と近畿財務  局が検察に任意提出した資料の開示を求めて裁判を起こしている。

だが国はそもそも、検察に資料を任意提出したかどうかを答えない。答えると捜査に支障を及ぼす恐れがあるとし て、そういう資料があるかどうかも答えない。これは法律用語で「存否応答拒否」、あるいはアメリカでの類似事案の名前から「グローマ-拒否」と呼ばれる。だが、それっておかしくないか? 財務省が森友事件の捜査で検察に資料を任意提出したというのは繰り返し報道された事実なのだ。

 この情報開示の裁判をめぐって重要な動きがあった。赤木雅子さんが弁護団を拡充することになったのだ。これまでの松丸正弁護士、生越照幸弁護士に加え、森友事件の真相追及で知られる阪口徳雄弁護士と高須賀彦人弁護士、それに情報公開に詳しい坂本団弁護士が参加することになった。

 5月25日の午後4時、佐川氏相手の裁判で証人尋問の申請が退けられた、まさにその日、メンバー全員による会議が開かれた。坂本弁護士は「情報公開・開示請求実務マニュアル」という著書がある。この日の会議で、ある提案をした。

 「本を証拠提出しましょうよ。財務省が任意提出したって書いてあるでしょ」

 ここで言う「本」とは、赤木雅子さんと私の共著「私は真実が知りたい」(文藝春秋)のことだ。その154ページから155ページにかけて、赤木俊夫さんの直属の上司だった近畿財務局の池田靖 統括国有財産管理官(当時)が雅子さんに打ち明けた話が出てくる。

 大阪地検特捜部が近畿財務局に資料の任意提出を受けに訪れた際のこと。池田氏は強制捜査と混同して「ガサ入れに来た」と表現しているが、俊夫さんが池田氏に「これも出していいですか?」と示したのが、後に「赤木ファイル」として知られることになる、改ざんの詳細を記録した書類だった。池田氏は「全部出してください」と答えたという。

<picture>亡くなった赤木俊夫さん(赤木雅子さん提供)</picture>

  亡くなった赤木俊夫さん(赤木雅子さん提供)

 池田氏の話から、財務省近畿財務局が大阪地検に資料を任意提出したこと、その中に「赤木ファイル」も含まれていたことは明らかだ。当時の担当者がそう話していて、その録音データまであるのだから事実に間違いない。
俊夫さんの手帳にも、2017(平成29)年6月28日に「任ガサ」という文字が残っている。これは「任意のガサ」つまり「任意提出」を指す。「18:30特捜部来庁」の文字もある。

 「赤木ファイル」がその後、財務省から雅子さんに開示されたのは、捜査が終わって資料が検察から戻ってきたことを指している。財務省は検察に資料を任意提出したし、その資料は返ってきている。だから、任意提出の経緯を記した本を証拠として裁判に出して、国の主張を覆そうという狙いだ。原告本人の著書を裁判で証拠にしようという奇手と言えよう。真実につながる情報は開示されるだろうか?

 ◇  ◇  ◇

 今までやってきたことを無にされるような証人尋問の却下。何もかも虚しく思えてもしょうがない。でも、無駄なことはないと思いたい。赤木雅子さんは、この情報開示の裁判にかけてみようと考えている。総勢5人になった弁護団で、ここから反転攻勢に出るんだ。そんな気持ちがLINEで届いた。

 「ここまで叩き落とされ叩き潰されたから、あとはもう上がるしかないと思います。これからどう生きるかですね」

相澤冬樹
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 ■相澤冬樹 ジャーナリスト・元NHK記者

 1962年宮崎県生まれ。東京大学法学部卒業。1987年NHKに記者職で入局。東京社会部、大阪府警キャップ・ニュースデスクなどを歴任。著書『安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』(文藝春秋)がベストセラーとなった。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・裁判・森友学園に関する財務省の決裁文書改ざんで自殺した近畿財務局の元職員赤木俊夫さん(=当時54)の妻雅子さん(51)が、改ざんを指示した佐川宣寿元国税庁長官に損害賠償を求めた訴訟】  2022年05月29日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記・05.27】:赤木雅子さんの覚悟「夫婦そろって日本に殺された。でも、私はまだ生きている」

2022-09-17 06:04:50 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記・05.27】:赤木雅子さんの覚悟「夫婦そろって日本に殺された。でも、私はまだ生きている」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記・05.27】:赤木雅子さんの覚悟「夫婦そろって日本に殺された。でも、私はまだ生きている」

 ◆国と闘い続けたベテランからメール

 そんなメールが赤木雅子さんに届いた。財務省の公文書改ざん事件で夫の赤木俊夫さんを亡くし、真実を知りたいと裁判を起こした雅子さん。ところが去年12月、国との裁判が“認諾”という異例の手続きで強制的に終わらせられた上、5月25日、元財務省理財局長・佐川宣寿氏との裁判でも、佐川氏や財務官僚ら5人の証人尋問の申請がすべて大阪地裁で退けられた。この裁判で真実を解明する道は事実上閉ざされてしまった。

<picture>布川事件勝利集会であいさつする桜井昌司さん(撮影・相澤冬樹)</picture>

  布川事件勝利集会であいさつする桜井昌司さん(撮影・相澤冬樹)

 その翌朝、事態を知ってメールを送ってきたその人は、桜井昌司さん(75)。強盗殺人の濡れ衣を着せられ、無実の罪で獄中29年間の末、再審(=裁判のやり直し)で無罪を勝ち取り、国などの責任を問う国家賠償訴訟でも勝訴。地名をとって「布川事件」として知られる。

 赤木雅子さんとは共通の知人を介して知り合い、意気投合して信頼関係を深めてきた。国を相手に闘い続けてきたベテランだからこそ、重みのある言葉が続く。

 「でも、雅子さんの闘いは無じゃないからね。その司法のウロンさを社会に知らしめ、日本を覚醒させる声になっているし、これで声を上げるのを止めないでしょ? ならば、その正義と真実を求める行動は、必ず人に届き、目的を実現させるはず。これに屈しないでやってね」

 雅子さんはすぐに返事を返した。

 「ありがとうございます。『これが日本だよ』って。そうなんだなあって、その日本に殺されたんだなあって、夫婦そろって日本に殺されたんだなあって思います」

 夫の俊夫さんは、財務省近畿財務局で森友学園との土地取引をめぐる公文書の改ざんに反対して組織内で孤立し、見放された状況で命を絶った。いわば「日本」にそっぽを向かれて殺されたようなものだ。

 そして雅子さんは、なぜ夫が命を絶つところまで追い込まれたのか、真実を知りたいと裁判を起こしたけれども、国も佐川氏も裁判でほとんど何も語らず、裁判所も証人尋問を認めなかった。雅子さんは、今度は自分が日本に相手にしてもらえなくなったと痛感した。「私はいま、日本に殺されかけています」と。だけど、希望は捨てていない。桜井さんへの返事につづった。

 「でも、私はまだ生きています。朝からご飯をモリモリいただきました。この裁判は終わりますが、何ができるか(弁護士の)先生方と相談して闘い続けます」

 これに桜井さんがすかさず返事を送ってきた。伝えたかったのは「社会に訴える」ことの大切さだ。布川事件を最終的に勝利に導いた恩人と桜井さんが感謝する柴田五郎弁護士(故人)は、初めて面会で会った時、「この事件は裁判だけでは勝てない。社会に訴えろ」と告げたという。

 実際その通りだったと桜井さんは感じている。裁判は法廷内で闘うのはもちろんだが、それだけではない。最後は社会的な支援も得たから裁判にも勝てた、というのが実感だという。

 「雅子さんも同じだよ。最後は世論だからね。正義と真実の声は強いから、その力を信じて闘うようにね」

 その通りだと雅子さんも感じる。夫、俊夫さんが改ざん指示のメールなどを記録に残していた、いわゆる「赤木ファイル」が裁判で開示されたのも、世論の後押しがあったからだろう。これからも真実を知りたいと闘い続けるためには、ますます世間の共感と支援が必要になる。

 もちろん、25日の法廷で起きたこと、証人尋問がすべて却下されたのは悔しいし、クヨクヨする気持ちがないと言えばウソになる。でも、この事態を前向きにとらえるようにしたい。自分を変えて何かを始めなければ。雅子さんは、これから何ができるかを考えている。そして今、強く願っていることは……。

 「あの裁判官が、尋問しときゃよかったって後悔するような世の中にならないかなあ」

相澤冬樹
著者のコラム一覧
 ■相澤冬樹 ジャーナリスト・元NHK記者

 1962年宮崎県生まれ。東京大学法学部卒業。1987年NHKに記者職で入局。東京社会部、大阪府警キャップ・ニュースデスクなどを歴任。著書『安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』(文藝春秋)がベストセラーとなった。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・裁判・森友学園に関する財務省の決裁文書改ざんで自殺した近畿財務局の元職員赤木俊夫さん(=当時54)の妻雅子さん(51)が、改ざんを指示した佐川宣寿元国税庁長官に損害賠償を求めた訴訟】  2022年05月27日  13:50:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記・05.26】:森友問題・佐川氏らの証人尋問認められず…「希望の光が消えた」が終わらない

2022-09-17 06:04:40 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記・05.26】:森友問題・佐川氏らの証人尋問認められず…「希望の光が消えた」が終わらない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記・05.26】:森友問題・佐川氏らの証人尋問認められず…「希望の光が消えた」が終わらない

 終わった。みんなそう思うだろう。私も最初はそう思った。でも、終わらない。終われない。

 25日、大阪地裁での弁論。開始早々に中尾彰裁判長が告げた。

「原告が申請した証人尋問はすべて必要ないと判断します」

 原告の赤木雅子さんが申請していた、被告・佐川宣寿元財務省理財局長をはじめ財務省幹部。それに、公文書改ざんを苦に亡くなった赤木俊夫さんの直属の上司だった池田靖さん。改ざんに深く関わった財務省職員5人の証人尋問は、この裁判長の一言ですべて退けられた。

<picture>弁護団の会見(撮影)相澤冬樹</picture>

    弁護団の会見(撮影)相澤冬樹

 その時、私は傍聴席から原告席の赤木雅子さんの姿を見ていた。表情を変えずに、じっと裁判の行方を見つめているように見えた。弁論が終わった後、マスコミ各社の取材に「希望の光が消えた」と語った。

 ■次回、雅子さんが意見を陳述

 もともと、真実を知りたいという願いで始めた裁判だ。その切り札となるはずだったのが、佐川氏をはじめ改ざんに関わった財務省の人々の証人尋問だった。それがすべて退けられた以上、裁判で真相解明の道は断たれたに等しい。裁判は次回、赤木雅子さん本人が意見を述べる機会を設けた上で、審理を終え、判決を迎える見通しだ。そして、その判決は敗訴となるであろう。だから「希望の光が消えた」というのは、まさにその通りだ。

 でも、それですべてが無になるわけではない。赤木雅子さんは同時に語った。

 「裁判を起こしてよかったと思います。夫が亡くなって2年間、何もできずにいたけど、起こしてから2年間は、少しずつだけど、いろんなことがわかりました。多くの方にこの出来事を知ってもらうこともできました。無駄ではなかったと思います」

 そして、最後に付け加えた。

 「まだできることはあると思います。これからじっくり考えてみます」

 雅子さんは最後に意見を述べる機会を設けられた。そこで亡き夫、赤木俊夫さんが死の間際に残した「手記」と題した事実上の遺書について語るつもりだ。夫が必死の思いで書いた改ざん告発の文書。夫が伝えたかったことを、夫に代わって語ること。それが自分にできる精いっぱいのことだと思うから。そこには次のように記されている。「元は、すべて、佐川理財局長の指示です」「刑事罰、懲戒処分を受けるべき者 佐川理財局長」

 佐川さんは今頃、祝杯をあげているのだろうか? そんなことはないだろう。裁判が終わっても佐川さんが幸せになることはない。真相を隠したまま、心穏やかになることはないはずだから。

相澤冬樹
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 ■相澤冬樹 ジャーナリスト・元NHK記者

 1962年宮崎県生まれ。東京大学法学部卒業。1987年NHKに記者職で入局。東京社会部、大阪府警キャップ・ニュースデスクなどを歴任。著書『安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』(文藝春秋)がベストセラーとなった。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・裁判・森友学園に関する財務省の決裁文書改ざんで自殺した近畿財務局の元職員赤木俊夫さん(=当時54)の妻雅子さん(51)が、改ざんを指示した佐川宣寿元国税庁長官に損害賠償を求めた訴訟】  2022年05月26日  14:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記・05.07】:安倍元首相また“やらかし”ツイート 赤木雅子さんの会見内容を「捏造」呼ばわり

2022-09-17 06:04:30 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記・05.07】:安倍元首相また“やらかし”ツイート 赤木雅子さんの会見内容を「捏造」呼ばわり

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記・05.07】:安倍元首相また“やらかし”ツイート 赤木雅子さんの会見内容を「捏造」呼ばわり

 安倍晋三さん、また“やらかし”てくれましたね。えっ、何のことかって? 安倍さんの公式ツイッターで4月26日に投稿したこのツイートですよ。

 「相変わらずの朝日新聞。珊瑚は大切に。」

 ここでいう「珊瑚」とはもちろん、朝日新聞が33年前に“やらかし”た珊瑚記事捏造(沖縄の海に潜った朝日新聞のカメラマンが自ら珊瑚にK・Yという傷を付けて捏造写真を撮った)のことですね。では、安倍さんのこのツイートはなぜ“やらかし”なのでしょう?

<picture>相変わらずの安倍元首相(本人の公式ツイッターから)</picture>

  相変わらずの安倍元首相(本人の公式ツイッターから)

 ◇  ◇  ◇

 安倍さんのツイートは、朝日新聞の社説に関するものです。8年前の4月25日、森友学園の理事長だった籠池さんが、当時の安倍首相の妻・昭恵さんと、値引きが問題になる国有地の前で写真を撮りました。3日後、その写真を近畿財務局の担当者に見せて「いい土地ですから前に進めてください」と言われたと伝えました。その後、土地取引が有利に進みました。

 そう指摘する朝日の社説について、産経新聞編集委員の阿比留瑠比さんが批判。昭恵さんが「いい田んぼができそうですね」とも話したという事実に触れていないとして、「朝日のいつもの手法」とツイッターで投稿。安倍さんはそれをリツイートして「珊瑚は大切に」と書きました。つまり朝日の社説は捏造だと言っているようなものです。でも、そうでしょうか?

 昭恵さんはなぜあの国有地を訪れたのでしょう? 籠池さんが設立を目指していた小学校の候補地だったからです。そして何より重要なのは、籠池さんがそこで昭恵さんと撮った写真を財務局の担当者に見せ、昭恵さんも前向きだと伝えたことです。担当者は「上司に見せますから」と言って写真のコピーをとります。以後、土地取引が森友学園の有利に進んだのですから、昭恵さんの存在が大きく作用したことは間違いありません。しかも昭恵さんはその後、この小学校の名誉校長に就任しています。

 にも関わらず、国有地の巨額値引きが明るみに出ると、安倍さんは「私や妻が関係していたら、総理大臣も国会議員も辞める」と国会で答弁しました。あれが引き金になって、土地取引に関する公文書の改ざんが始まります。そのことは、改ざんの内部調査にあたった財務省の当時の秘書課長が、改ざんで命を絶った赤木俊夫さんの妻、雅子さんに説明しています。

 朝日の社説は、日本記者クラブで行われた赤木雅子さんの会見で、改ざんと土地売買の関係性を見据えての発言があったと伝える内容でした。それを「捏造」呼ばわりするのは、昭恵さんの存在が土地取引での特別扱いを招き、公文書改ざんへとつながったという事実を“なかったこと”にする“やらかし”ツイートと言わざるを得ません。

 ◇  ◇  ◇

 産経の阿比留さんが書いて、安倍晋三さんがツイートする。このパターンは去年もありました。赤木俊夫さんが改ざんについて詳細な記録を残した、いわゆる「赤木ファイル」を財務省がようやく開示した後。ファイルの中で俊夫さんが「現場として厚遇した事実もない」と書いている部分があることを阿比留さんが記事にします。それを安倍さんの公式ツイッターが「報道しない自由によって握り潰されています」とツイートしました。

 しかし俊夫さんは土地取引の時は担当者ではありませんでしたから、値引きのいきさつを知りません。上司の言うままに信じていたことを書いたと思われますが、後に取引のおかしさに気づいていたことがその後の発言からうかがえます。

 赤木ファイルで明らかになった重要な事実は、財務本省が改ざんの最初から安倍昭恵さんの名前を文書から消すよう近畿財務局に指示していたことです。そこに触れずに自分に都合のいい文言だけを紹介するのは、これまた“やらかし”ツイートと言わざるを得ません。ちなみに、同じ赤木ファイルについて産経新聞の別のコラムでは「国は真摯な対応に努めるべきである」と記しています。翌日に載った阿比留さんの記事と正反対です。

 この時の安倍さんのツイートは、阿比留さんの記事が出た同じ日に投稿されました。今回はわずか40分後です。しかも翌日には阿比留さんが別のところで安倍さんと同じ「珊瑚は大切に。」という言葉をツイートしています。密に連携しているのでしょうか?

 そして、安倍さんの2つの“やらかし”ツイートは、どちらも昭恵さん絡みです。安倍さん、森友の件で昭恵さんに触れられるのがよほど嫌なのでしょうね。 

 相澤冬樹

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 ■相澤冬樹ジャーナリスト・元NHK記者

 1962年宮崎県生まれ。東京大学法学部卒業。1987年NHKに記者職で入局。東京社会部、大阪府警キャップ・ニュースデスクなどを歴任。著書『安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』(文藝春秋)がベストセラーとなった。

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記】  2022年05月07日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記・04.28】:公文書改ざん直前の官房長官と財務官僚の会議内容 裁判で「証言」求める申し出

2022-09-17 06:04:20 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記・04.28】:公文書改ざん直前の官房長官と財務官僚の会議内容 裁判で「証言」求める申し出

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記・04.28】:公文書改ざん直前の官房長官と財務官僚の会議内容 裁判で「証言」求める申し出

 森友学園との土地取引をめぐる財務省の公文書改ざん事件で焦点の一つとなっている、当時の菅官房長官と財務官僚らの改ざん直前の会議について、事件で命を絶った職員の妻が、出席した官僚に裁判で証言させるよう大阪地裁に申し出たことがわかった。この会議の4日後に公文書の改ざんが始まっていることから、裁判所が証言を認めるか注目される。

 申し出を行ったのは、公文書改ざんに強く抵抗し、のちに命を絶った財務省近畿財務局の職員、赤木俊夫さんの妻、雅子さん。財務省理財局長として改ざんを主導した佐川宣寿氏を相手に損害賠償を求める裁判を大阪地裁で続けている。

<picture>被告の佐川宣寿氏(C)日刊ゲンダイ</picture>

      被告の佐川宣寿氏(C)日刊ゲンダイ

 ◆「私や妻が関わっていたら総理大臣も国会議員も辞める」

 原告の赤木雅子さんが4月20日、大阪地裁に提出した申出書では、佐川氏と、その部下で財務省理財局総務課長だった中村稔氏について、当時の菅官房長官が財務官僚らと開いた会議に出席していたことを踏まえ、開かれた経緯や協議内容、決定事項などについて問いただす必要があるとしている。この会議は2017年2月22日に首相官邸と菅氏の事務所で相次いで開かれ、その4日後に土地取引をめぐる公文書の改ざんが始まっている。

 また会議の5日前の2月17日には、当時の安倍首相が土地取引について「私や妻が関わっていたら総理大臣も国会議員も辞める」と国会で答弁している。実際には改ざんされた文書には安倍氏の妻、昭恵氏の名前が複数書かれていたが、改ざんによってすべて消された。これを受けて申出書では、安倍氏の国会答弁に関し、佐川氏や中村氏らが何らかの指示を受けたかどうかも聞きたいとしている。この安倍氏の答弁が間接的に改ざんを引き起こしたことは、雅子さんに対し改ざんの調査結果の説明に訪れた財務省の当時の秘書課長も認めている。

 ◆駐英公使の航空費は雅子さんが負担
 
 さらに改ざん当時、財務省理財局の国有財産審理室長だった田村嘉啓氏、課長補佐級職員で本省と近畿財務局の担当窓口だった杉田氏、近畿財務局で俊夫さんの直属の上司だった池田靖氏も証人として申請し、俊夫さんが改ざんに強く抵抗していると聞いた時の状況などを問いただしたいとしている。

 こうした経緯を踏まえた雅子さん側の申し出に対し、佐川氏の代理人は4月27日、大阪地裁で開かれた協議で「証人尋問は必要ない」として、申し出をすべて退けるよう主張した。今後、大阪地裁が証言を認めるかどうか、判断が注目される。
 
 対象者のうち中村稔氏はその後、外務省に出向し駐英公使となってロンドンに赴任した。証人と認められるとイギリスとの往復航空費は、申し出をした雅子さんが負担することになる。駐英日本大使館のウェブサイトに掲載されている画像には、向かって右端に笑顔で立つ中村氏の姿が写っている。雅子さんは「真実を知るために必要な費用は負担するので、裁判所は申し出をしたすべての人を証人として法廷で証言させてほしい」と話している。
 
<picture>大阪地裁で協議を終えた赤木雅子さん(撮影)相澤冬樹</picture>
 大阪地裁で協議を終えた赤木雅子さん(撮影)相澤冬樹
 
 ◆「裁判もうまくいきそうな気がします」
 
 この日、雅子さんにはうれしいことがあった。知り合いの勧めでファスティングという断食ダイエットに1週間前から取り組んでいた。その甲斐あって、きつくなっていたこれまでのスーツを元通りすっきり着こなせるようになったのだ。

 「断食は最初きつかったけれど、慣れてくると頭がさえてきますよ。裁判もうまくいきそうな気がします」

  次は5月25日に法廷で弁論が行われる。

 相澤冬樹

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 ■相澤冬樹ジャーナリスト・元NHK記者

 1962年宮崎県生まれ。東京大学法学部卒業。1987年NHKに記者職で入局。東京社会部、大阪府警キャップ・ニュースデスクなどを歴任。著書『安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』(文藝春秋)がベストセラーとなった。

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記】  2022年04月28日  15:20:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記・04.10】:財務省は法廷でも後ろの席とごにょごにょ…「持ち帰って検討します」を連発した

2022-09-17 06:04:10 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記・04.10】:財務省は法廷でも後ろの席とごにょごにょ…「持ち帰って検討します」を連発した

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記・04.10】:財務省は法廷でも後ろの席とごにょごにょ…「持ち帰って検討します」を連発した

 何を聞いても後ろの席とごにょごにょ相談。あげく「持ち帰って検討します」。そんな光景が法廷で繰り返された。

 公文書改ざんで夫を亡くし、真実を知りたいと裁判を起こした赤木雅子さん。財務省は昨年12月“認諾”という手続きで裁判を一方的に打ち切ったが、雅子さんは別途、国に情報開示を求める裁判を起こしている。その弁論が8日、大阪地裁で開かれた。

<picture>国の文書の「押収」に雅子さんが「にんいていしゅつ」と書き込んだ(撮影)相澤冬樹</picture>

 国の文書の「押収」に雅子さんが「にんいていしゅつ」と書き込んだ(撮影)相澤冬樹

 この裁判で雅子さんは財務省に対し、大阪地検特捜部に任意提出した文書を開示するよう求めている。改ざんなどの捜査で提出されたものだが、国はそういう文書があるかどうかも答えない「存否応答拒否」を行い、それが妥当だと書面で主張した。

 この書面に徳地淳裁判長が疑問を呈した。「捜査機関が押収」という言葉があったからだ。実際にはこの事件で大阪地検特捜部は財務省の強制捜査をしていないから、押収された文書はない。文書はすべて財務省が任意提出したものだ。

 国は「押収された文書について詳細を明かすと捜査の内容を明らかにすることになる」と主張しているが、任意提出した文書の扱いは財務省の判断であり、捜査内容には関係ない。そこを裁判長に指摘されると、国の担当者は背後を振り返って後ろの席にいる担当者とごにょごにょ相談を始めた。数分間相談した末に「持ち帰って検討します」という。

 ■雅子さん「税金の無駄遣いやなあ」

 次に雅子さんの代理人の生越照幸弁護士が、雅子さんの夫、赤木俊夫さんが改ざんに関する資料をまとめたいわゆる「赤木ファイル」についても、国は存否応答拒否をするのか明確ではないとして確認を求めた。すると再び後ろを振り返ってごにょごにょ。そして再び「持ち帰って検討します」。徳地裁判長が「いつまでに回答しますか?」と尋ねると、またも背後とごにょごにょかなり長いこと相談したあげく、「1カ月ほどください」。これには傍聴席から失笑が漏れた。

 「たったそれだけのことに何でそんなに時間がかかるん?」

 時間の引き延ばしをしているとしか思えない。そのために国の担当者は11人も法廷に並んでいる。雅子さんは思った。

 「税金の無駄遣いやなあ。さっさと資料を出してくれたら裁判はすぐに終わるのに……」

 救いは、公文書開示に詳しい弁護士が「この文書は絶対に出てきますよ」と言ってくれたこと。それが心強かったという。それを励みにこれからも裁判に臨む。

 相澤冬樹
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 ■相澤冬樹ジャーナリスト・元NHK記者

 1962年宮崎県生まれ。東京大学法学部卒業。1987年NHKに記者職で入局。東京社会部、大阪府警キャップ・ニュースデスクなどを歴任。著書『安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』(文藝春秋)がベストセラーとなった。

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記】  2022年04月10日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記・02.10】:佐川宣寿氏“認諾”せず 最大の武器「証人尋問」で真実は明らかになるか

2022-09-17 06:04:00 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記・02.10】:佐川宣寿氏“認諾”せず 最大の武器「証人尋問」で真実は明らかになるか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記・02

.10】:佐川宣寿氏“認諾”せず 最大の武器「証人尋問」で真実は明らかになるか

 「ふざけんな!」の認諾。財務省公文書改ざん事件で赤木雅子さんが「私は真実が知りたい」という一心で起こした裁判は、認諾という国の不意打ちにより無理やり終わらされてしまった。雅子さんの無念が記者会見で「ふざけんな」という言葉となってあふれた。

<picture>逃げずに「真実」を(佐川宣寿元財務相理財局長)/(C)日刊ゲンダイ</picture>

 逃げずに「真実」を(佐川宣寿元財務相理財局長)/(C)日刊ゲンダイ

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 しかし裁判はすべてが終わったわけではない。佐川宣寿元財務省理財局長を相手にした裁判が残っている。認諾から2カ月を前に9日、大阪地裁で裁判が行われた。

 最大の注目は、佐川氏も認諾してくるのではないかということ。裁判を終わらせたい気持ちは同じはずだから。しかし雅子さんの弁護団もそうはさせない。事前に佐川氏に対する損害賠償の請求額を3倍の1650万円に引き上げた。金額が増えれば認諾はしづらい。実際、してこなかった。

 すると焦点は、訴訟はどう進むのかという本筋に戻る。裁判長の問いかけに代理人の生越照幸弁護士は答えた。

 「証拠調べになりますね」

 この時点で原告の雅子さん側は立証に必要な証拠はほぼすべて出している。残る証拠といえば、事件の背景を知りうる人物の証言、すなわち証人尋問しかない。誰を証人として呼びたいのか? 生越弁護士は答えた。

 「少なくとも被告の佐川さん本人ですね。それ以外にも検討します」

 ■被告の代理人は表情がこわばった

 法廷に佐川氏本人は来たことがないが、代理人の弁護士は来ている。表情がこわばった、ように見えた。

 雅子さんは、改ざん事件で命を絶った夫、俊夫さんの「真実」を知りたいから裁判を起こした。その最大の武器が「証人尋問」。事件に関わったのに口を閉ざしている人物に法廷で証言してもらいたい。国があわてて認諾したのは、それを恐れたからだろう。だが佐川氏への裁判が続く限り、可能性は残されているのだ。

 私が思うに、証言を求めたいのは佐川氏だけではない。俊夫さんが死の直前に改ざんを告発した「手記」。改ざんをめぐる資料を保管した「赤木ファイル」。そこには財務省や近畿財務局、それ以外にも多数の関係者の実名が記されている。その人々すべてから真実を聞きたい。裁判がその方向へ進むことを、雅子さんは願っている。

 相澤冬樹

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 元稿:日刊ゲンダイDIGTAL 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記】  2022年02月10日  14:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【2022年09月15日 今日は?】:米証券大手リーマン・ブラザーズ経営破綻

2022-09-17 00:00:20 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【2022年09月15日 今日は?】:米証券大手リーマン・ブラザーズ経営破綻

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2022年09月15日 今日は?】:米証券大手リーマン・ブラザーズ経営破綻

 ◆9月15日=今日はどんな日

  米証券大手リーマン・ブラザーズ経営破綻。世界的金融危機の引き金に(2008)

 ◆出来事

  ▼朝日麦酒(アサヒビール)が日本初の缶入りビール発売(1958)▼敬老の日に合わせ、東京の国鉄中央線などに優先席「シルバーシート」初登場(1973)

 昭和33年(1958年)9月15日に「朝日麦酒(現アサヒビール)」から日本初の缶入りビール「アサヒビール」が発売されました。

 ◆誕生日

  ▼竹下景子(53年=女優)▼彦摩呂(66年=タレント)▼藤谷美紀(73年=女優)▼井浦新(74年=俳優)▼アンジェラ・アキ(77年=シンガー・ソングライター)▼古畑奈和(96年=SKE48)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・今日は?】  2022年09月15日  00:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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