【天風録】:夜行列車の復活、超音速機の復権?
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録】:夜行列車の復活、超音速機の復権?
かつて出雲―京都間を12時間近くかけて走る国鉄の鈍行列車があった。「京都夜行」と呼ばれがちだったが、正しくは山陰号。満席だと、床に新聞紙を敷いて寝た。網棚に寝て車掌に起こされた友もいたっけ▲欧州で夜行列車が相次いで復活している。格安航空便との競争では劣勢だったものの、「脱炭素」で株が上がった。フランスでは首相自ら、パリ発の再開第1便に乗り込むほどの熱の入れようだ。もちろん床や網棚の世話にはならず、個室で快適に▲人1人が1キロ移動するのに出る二酸化炭素は鉄道が1なら、飛行機は5だという。小欄で何度か触れた新語「飛び恥」の由来である▲ところが逆風にめげず、米ユナイテッド航空はサンフランシスコ―東京を6時間で結ぶ超音速機を飛ばすという。従来のジェット燃料よりクリーンな代替燃料で、という触れ込み。失敗に終わったコンコルドの、雷のような騒音もないと報じられる▲もっとも、コロナ禍で航空会社の台所はいずこも厳しい。先日も国内の「エア」2社が統合を発表した。太平洋を6時間で飛ぶ技術よりも、クリーン燃料でコロナ明けに備える方が世の支持を得るだろう。乗り物は全てエコであれ。
元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】 2021年06月06日 06:41:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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