【社説①・02.07】:選挙とSNS 公正さの確保へ改革を急げ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・02.07】:選挙とSNS 公正さの確保へ改革を急げ
SNS上の真偽不明な情報が選挙結果に影響を与える重大な事態が相次いでいる。自らは当選を目指さず、他候補を応援するために立候補する行為も看過できない。
選挙の公正、公平さを維持するため、政府と与野党は、法規制を含めた対策を急ぐ必要がある。
自民党が、選挙期間中のSNS規制に向けた論点をまとめ、各党に提示した。政党や候補者がSNS上で虚偽情報を確認した場合、事業者に「即日削除」を要請できるよう法改正するという。
現行法では、削除の要請を受けた事業者は投稿者に連絡し、「2日以内」に不同意の返事がなければ削除することになっている。
だが実際は、投稿者が匿名のため連絡できないケースが多いという。事業者の責任を明確にするには、投稿者の把握が不可欠だ。
昨年の兵庫県知事選では、SNS上に虚偽情報が氾濫した。動画の閲覧回数が増えるほど、多額の広告収入が得られるというSNSの仕組みが、そうした投稿を助長させたとも言われる。
このため自民は、選挙関連の真偽不明の投稿については、事業者が広告料の支払いを拒否できるとし、その賠償責任を負う必要もない、とする方向だ。
兵庫県知事選ではまた、他候補を応援する「2馬力」の選挙運動が問題となった。自民はこうした立候補の法規制も提案したが、野党からは「2馬力の定義が不明確だ」といった慎重論も出た。
公職選挙法は、候補者が使える選挙カーやビラの枚数を厳密に定めている。それが2倍になれば、運動量は大きく増そう。
昨年の東京都知事選では、ポスター掲示板の権利が事実上販売され、風俗店の広告などがあふれた。与野党は、ポスターの営利目的での使用を禁止する法改正を来月までに実現させる方針だ。
自民はまた、投稿削除などSNSの規制については法案の付則に改革の方向性を明記する考えだ。今夏の都議選や参院選での混乱を抑止する効果を期待している。
選挙運動に限らず、制度の 歪 みも大きい。現行の衆院小選挙区比例代表並立制は、風頼みの選挙になりやすく、議員が「小粒になった」との指摘は多い。
また、「1票の格差」是正を重視する司法判断を踏まえ、国会が定数是正などを行ってきた結果、地方選出議員は減る一方となっている。このままでは大都市の有権者の声ばかりが政治を左右することになる。それが妥当なのか。
元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年02月07日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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