《社説②・01.31》:中国経済の減速 懸念される世界への影響
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・01.31》:中国経済の減速 懸念される世界への影響
中国経済の低迷が長引き、回復の兆しが見えない。米国との貿易戦争が再燃する可能性もあり、世界への影響が懸念される。
2024年の国内総生産(GDP)の成長率は、物価変動を除いた実質で5・0%となった。政府目標の5%前後には届いたが、23年の5・2%から減速した。
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物価の影響を反映し、生活実感に近いとされる名目GDPの伸びは4・2%にとどまった。デフレに陥るリスクが高まっている。
景気減速の主な要因は、不動産不況の長期化と消費の伸び悩みだ。24年の不動産開発投資は前年比10・6%減で3年連続のマイナスとなった。国民の節約志向が強まり、消費者物価指数の上昇率は0・2%とほぼ横ばいだ。
一方、24年の輸出総額は前年比5・9%増で、貿易黒字は過去最高を記録した。内需の不振を輸出でカバーする構図となっている。
米欧は、中国企業が政府の補助金で電気自動車(EV)などの価格競争力を高め、輸出攻勢をかけていると批判している。
トランプ米大統領は中国製品に高関税を課す構えで、頼みの綱の輸出に対する逆風が強まりそうだ。中国が報復関税などで応じれば、1期目のような貿易戦争に発展することは避けられない。
問われているのは、中国が輸出依存から脱却し、内需主導の成長モデルを確立できるかである。
習近平指導部は今年の経済運営で内需拡大を重要課題と掲げ、金融緩和と財政出動の方針を示す。
既に自動車や家電製品の買い替え補助をはじめとする景気刺激策を実施しているが、消費低迷の背景にある国民の不安を解消するものとは言えない。
不動産不況を克服する道筋を示すとともに、格差の是正や社会保障の拡充といった構造的な問題に取り組む必要がある。いずれも痛みを伴うが、持続的な成長を目指すならば先送りはできない。
中国の24年末の総人口は14億828万人で、建国以来初めて3年連続の減少となった。16年まで続いた「一人っ子政策」の影響に加え、景気の停滞も少子化に拍車をかけるとみられている。
習指導部は難題に背を向けるのではなく、実効性のある政策で経済を立て直すべきだ。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年01月31日 02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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