【14色のペン】:感じてほしい学ぶ楽しさ 障害ある子どもたちの学習塾
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【14色のペン】:感じてほしい学ぶ楽しさ 障害ある子どもたちの学習塾
障害のある子どもたちに算数や数学を教えている学習塾があります。東京都武蔵野市の遠山真学(しんがく)塾。誕生から約40年。どのような学びの場を提供しているのか知りたくて、塾を訪ねました。【東京社会部・銭場裕司】
遠山真学塾の代表を務める小笠直人さん。大人の生徒には社会に関心を持ってもらえるような話題も話せるように準備しているという=東京都武蔵野市で2022年11月22日午後5時48分、銭場裕司撮影
JR武蔵境駅から歩いて5分ほどの場所にある塾を訪れると、小笠(おがさ)直人さん(48)が迎えてくれた。1983年に塾を開いた小笠毅(たけし)さん(82)の次男。3年前から代表を務めている。
◆数学者、遠山啓の遺志を継ぎ
塾の講師にとって大切な能力だろう。小笠さんは朗らかな人柄で話も分かりやすい。大学卒業後はいったん民間企業に就職し、販売の仕事をしたという。そこで「この人生は違う」と思い立ち、父に頭を下げて塾で働くようになった。それから23年。「まだまだ勉強不足だと思いますが、人と出会える仕事で刺激がたくさんあります」
塾は、父の毅さんが数学者、遠山啓(ひらく)の遺志を継いで開設した。タイルを教材に使って計算の仕組みを理解する「水道方式」を提唱したことで知られる遠山は、晩年に障害のある子どもたちへの教育に力を注いでいた。
◆スモールステップを積み重ねて
現在の生徒は約80人。ダウン症、自閉症、学習障害など障害の内容や学ぶ力はそれぞれ異なり、生徒に合った授業をマンツーマンで実践している。学齢期にあたる生徒は約半分。残り半分は、学齢期を過ぎた後も通い続けている人たちで40代の人もいるそうだ。
塾の学びの目的は「意義深く発展的な人生にするため」にある。小笠さんが願うのは子どもたちに学ぶ楽しさを実感してもらうことだ。ある青年の学びの歩みを教えてくれた。現在は20代になった青年は、子どものころから通い続け、…、
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