【社説①・02.06】:京都府予算案 持続的な財政へ精査を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・02.06】:京都府予算案 持続的な財政へ精査を
京都府が2025年度当初予算案を発表した。
来年4月が任期満了の西脇隆俊知事にとって2期目の総仕上げとなる予算だ。厳しさを増す財政のやり繰りに追われつつ、健康や子育て、災害対策などで何とか独自色をにじませた。
一般会計は前年度比3・5%増の1兆298億円。新型コロナウイルス禍の対策費が膨らんだ21~23年度を除き、過去最大となる。
それでも、編成の自由度は限られる。歳出では社会保障関連経費を含む扶助費・補助費が過半を占め、丹後郷土資料館改修や舞鶴署建て替えなどの建設費がかさむ。
新規の施策では、コロナ禍を踏まえ、新たな感染症に備える専門機関「京都版CDC(疾病対策センター)」設立を打ち出した。京都市と共同で、専門家らが連携して実態把握と分析を行うという。
災害対策では昨年の能登半島地震を受け、避難生活の環境改善を図り、半島や山間部の孤立対策としてヘリポートを舞鶴港に整備する。減災や救援の体制を着実に整えたい。
一方で歳入は、府税収入が伸びるものの、支出増を賄えない。特別職や管理職の報酬・給与カット、事業の見直しなどで38億円を削減し、府立施設の使用料の改定などで収入増を図るが、それでも185億円が不足する。
これまでは特例的な地方債「行財政改革推進債(行革債)」で財源の穴を埋めていたが、国の交付税措置がないため将来へのツケは重い。異例の対応として水道事業会計の剰余金から20億円分を入れることにした。いわば子会社からの借金で、親会社の金利負担を抑える狙いである。
それでも行革債の発行は前年度より10億円多くなり、借金返済の負担度を示す「実質公債費比率」も過去最悪の水準が続く。
予算案には含まれないが、向日市に建設する総事業費348億円の新アリーナ計画も今後のしかかる。財政運営は綱渡りの様相だ。
制約が強まる中で目立つのが、京都市と連携して事業を行う「府市協調」の姿勢だ。府市で分かれていた妊娠や出産の相談窓口を一本化し、年中無休の受け皿を整える。観光客の分散化でも連携する。
人口減を前提にした持続可能な市町村行政への支援も一段と求められよう。
予算案を点検する府議会の姿勢も問われる。与野党を問わず、事業の中身や費用対効果を十分に精査し、議論してもらいたい。
元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年02月06日 16:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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