《余録・12.28》:日本の学校給食は…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《余録・12.28》:日本の学校給食は…
日本の学校給食は、山形県鶴岡市が発祥の地とされる。1889(明治22)年、寺に作られた小学校に弁当を持参できない貧しい家庭の子どもたちのため、住職が寄付を募り食事を提供した。僧侶たちが托鉢(たくはつ)で資金集めに協力したこともあったという
▲発足時から「無償」と深い関係があった学校給食を巡る動きだ。立憲民主党など野党3党は全国の公立小中学校の給食を来春から国費負担で無償化する法案を国会に提出した。実現には5000億円近い財源が必要とみられている
▲子育て支援の拡充や子どもの貧困対策が課題となる中、給食無償化は自治体が主導して広がってきた。国によると、昨年9月時点で全体の約3割にあたる547自治体がすでに小中校で完全無償化を実施している。子どもの多い世帯を対象にするなど条件つきの実施を含めれば、さらに増える
▲政府も是非を検討しているが、アレルギーなどで給食を利用できない子どもとの不公平や、費用を抑えようと質が低下することを懸念する見方もある。少数与党政権に野党はさまざまな施策を要求しているだけに、優先順位が問われよう
▲学校給食を巡っては戦後の食糧難時代、日本を支援する国際NGOからの「ララ物資」が再開を後押ししたといういきさつがある。海外に移住した日系人らが支援の中心だった
▲共助に支えられた経験も持つ給食への公助をどう考えるか。憲法は「義務教育は、これを無償とする」と定めている。その意味を改めて考える時であろう。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】 2024年12月28日 02:16:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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