【社説・12.23】:米兵性暴力で県民大会 「もう繰り返させない」
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.23】:米兵性暴力で県民大会 「もう繰り返させない」
「二度と繰り返させない」
登壇した若者たちが口々に訴えたのは、沖縄戦から絶えることなく続く性暴力への怒りと、解決できなかった社会への異議申し立てだ。
未来に積み残してはならないとの決意に、大人たちは今度こそ応えなければならない。
昨年12月に発生した米兵による少女の誘拐と性的暴行事件に抗議する県民大会が沖縄市民会館で開かれた。
県女性団体連絡協議会を中心とする実行委員会が主催。女性が主体の県民大会は、これまでとは趣が異なる雰囲気だった。
会場は国際女性デーの象徴であるミモザの花や同花の黄色を身に着けた女性の姿が目立ち、ホールに入りきれなかった参加者はロビーにもあふれていた。
中でも目に付いたのは多くの女性や中高生からのメッセージだ。「怖い」「こんな世界は嫌だ」。事件を身近に感じ、安全に暮らしたいとの思いがつづられている。
大学生の崎浜空音さんは13歳の時、米軍属が20歳の女性を殺害した事件に抗議する県民大会に参加した。
「青春を、どうして、沖縄に住んでいるから、基地があるから、という理由で奪われなければならないのか。私たちが求めているのは当たり前のこと。もう絶対に繰り返してはならない」
女性や子どもの安全が守られないのでは、日米安全保障や米軍基地はいったい何を守っているのか。
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1995年に起きた米兵による少女暴行事件をきっかけに「米兵による性暴力は軍事基地がもたらす人権侵害だ」と真っ先に声を上げたのは県内の女性たちだった。
2016年の事件や19年に北谷町で起きた殺人事件でも。女性たちは繰り返し米兵による性暴力の根絶を日米両政府に訴えてきた経緯がある。
米兵に特権的地位を与える日米地位協定は、米軍の「占領者」としての意識を温存する結果を招いてきたのではないか。事件事故の解決と、被害者の尊厳回復を困難にしている。
事件は氷山の一角に過ぎない。
戦後79年が経過しても、米軍基地が集中する県内では常に、米兵の事件事故に巻き込まれる恐怖と不安の中で暮らしている現状がある。
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米軍関係者による一連の事件を巡っては嘉手納基地第18航空団司令官のニコラス・エバンス准将が「地域との関係の小さな一側面」と発言した。(17日付「星条旗」紙)
事件事故の影響を矮小(わいしょう)化するもので許されない。
米軍内に根強くある女性差別や当事者意識の欠如は、県内で性犯罪が繰り返される根源ともなっている。
もはや通り一遍の対応では済まされない。
女性の人権と尊厳を守るためには、兵力削減や地位協定改定といった根本の問題に取り組むべきだ。
元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月23日 04:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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