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【社説・11.11】:福島第1デブリ回収 廃炉への一歩につなげよ

2024-11-12 04:00:30 | 【原発事故・東電福島第一・放射能汚染・デプリ・処理水の海洋放出と環境汚染

【社説・11.11】:福島第1デブリ回収 廃炉への一歩につなげよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.11】:福島第1デブリ回収 廃炉への一歩につなげよ

 廃炉に向けた第一歩となるよう、東京電力と政府の今後の取り組みに注目したい。

 2011年3月の東日本大震災で大規模な事故が起きた福島第1原発の廃炉作業に向け、東京電力は2号機から溶融核燃料(デブリ)の試験的な取り出しを完了した。強い放射線を出すデブリの取り出しは廃炉工程で最難関とされる。事故後初めてとなる今回の回収を、廃炉作業に生かさねばならない。

 東日本大震災で、福島第1原発の1~3号機は原子炉が冷却できなくなり、炉心溶融(メルトダウン)を起こした。デブリは溶け落ちた核燃料と制御棒などの構造物が混ざったもので、高い放射線を出す上、性状もよく分かっていない。1号機に279トン、2号機に237トン、3号機に364トンと、合わせて880トンあると推計されている。

 今回回収されたのは、5ミリ程度の小石状で、重さは約0・7グラムだ。今後、日本原子力研究開発機構の施設で成分や結晶状態、放射線量などを分析し、本格的な取り出しに向けての工法や保管方法などの検討に活用するという。全体量からすればわずかだが、次につながる一歩であることは間違いない。

 しかし、ここに至るまでにも多くの課題があった。当初は21年開始の計画だったが、機材の開発などが難航し3度の延期を繰り返した。ことし8月22日、開始に向けた準備作業の段階でパイプの並び順を間違える初歩的なミスが発覚し中断。再開後の9月17日には採取装置のカメラの映像が遠隔操作室に映らなくなる不具合が発生した。

 パイプの並び順ミスは、下請け企業に任せ東電社員が一度も確認していないことが原因だ。カメラの不具合も高い放射線の影響とされるが、不具合発生は想定できたとの指摘もある。いずれも基本的なミスであり、東電の管理能力に問題はなかったのか。東電は一層の緊張感を持って作業に当たってほしい。

 政府と東電は2051年までに廃炉を完了させる計画だが、解決すべき課題は山積している。東電は20年代後半に段階的に取り出し規模を拡大させ、30年代初頭から3号機での本格的な取り出しを始める青写真を描く。

 しかしデブリは1~3号機で性状や分布状況が異なるとみられ、本格的な取り出しには複数の場所から採取する必要がある。また、取り出したデブリや廃炉に伴い生じる放射性廃棄物をどこで保存し、処分するかも不透明なままだ。膨大な量の取り出しには作業の難航も予想され、廃炉完了時期も危ぶまれる状況だ。政府や東電に加え学識経験者も含めた議論を加速させねばならない。

 原発事故から13年半。廃炉作業がいたずらに長引けば、被災者らの不信感を増大させる。東電と政府には常に真摯(しんし)かつ丁寧な説明が引き続き求められている。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月11日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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