路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説①・01.08】: 世界経済 トランプ関税で問われる結束

2025-01-08 05:00:50 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説①・01.08】:世界経済 トランプ関税で問われる結束

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.08】:世界経済 トランプ関税で問われる結束

 ◆繁栄支えたルール崩壊させるな◆ 

 「米国第一」主義を掲げるトランプ次期米大統領の再登場は、戦後の繁栄を支えてきた経済の国際ルールに対する重大な挑戦になるだろう。

 主要各国は結束して、トランプ氏が振りかざす関税政策に対処していかねばならない。

 新型コロナウイルスの後遺症とも言うべき高インフレを克服し、安定成長へ移行できるか。リスクへの対応力が問われよう。

 ◆物価高との戦いに勝利

 2025年は保護主義の足音で幕を開けた。退任間際のバイデン米大統領が、日本製鉄のUSスチール買収計画に禁止命令を出したことは、世界経済の安定成長を脅かす不穏な動きである。

 トランプ氏のみならず、米国民に内向き志向が強まっている証左だとも考えられるからだ。

 今年の世界経済の展望自体は、前向きになれる状況にある。歴史的な物価高との戦いには、勝利への道筋が見え始めている。

 主要な先進国や地域の中央銀行は昨年、深刻な景気後退を回避しながら、利下げへの転換を果たした。

 経済協力開発機構(OECD)は、今年の世界の実質経済成長率について、前年から0・1ポイント上昇の3・3%と予測した。米国は2・4%、ユーロ圏も0・5ポイント上昇の1・3%と堅調な経済を見込んでいる。

 ◆貿易の縮小は大打撃だ

 安定成長を脅かす最大のリスクは、トランプ次期米政権の経済政策である。世界経済の秩序に公然と挑戦しようとする、その姿勢は憂慮せざるを得ない。

 戦後の世界経済は、「自由・無差別・互恵」を基本理念とする自由貿易体制の下で、「ヒト・モノ・カネ」が自由に行き交うことにより発展してきた。

 世界最大の経済大国である米国のリーダーシップにより、そのルールは守られてきた面が強い。

 しかし、トランプ氏は、互恵関係によって各国が発展していくという考え方を取らない。

 国内製造業を保護することを目的に、中国からの輸入品に一律60%、世界には10~20%の関税をかける考えを示している。これによって貿易の大幅な縮小を招けば、世界経済への打撃は甚大だ。

 トランプ氏は、関税を実際に引き上げるのか。個別に成果を引き出すためのディール(取引)の道具なのか。各国は、出方を見極めて対処していく必要があろう。

 そもそも、高関税政策は、輸入物価の上昇を通じてインフレを助長し、米国にとってマイナスが大きいと指摘されている。

 主要国は、歴史的な混乱を防ぐために連携し、トランプ氏が自制するように粘り強く働きかけていかなければならない。

 対米貿易黒字が大きい日本もトランプ氏の標的になる可能性がある。官民で意思疎通を図り、対応策を練っていくことが大切だ。

 自由貿易体制が揺らぐ中、日本が果たすべき役割は大きい。米国が離脱した後に、環太平洋経済連携協定(TPP)を推進してきた実績があるからだ。

 TPPは昨年12月、英国が加盟して12か国に拡大し、人口5・8億人、世界の国内総生産(GDP)の15%を占める経済圏となった。日本は自由貿易の重要性を訴える先導役を果たしていってもらいたい。

 コロナ禍後は、米国の成長力の高さが際立ち、一強と称される。だが、巨大IT企業が支える米株式市場には過熱感も見える。ドル高が続く国際金融市場に不測の事態が起きないか、警戒も怠れない。

 一方、世界2位の経済大国である中国の低迷は続くとみられる。関連産業を合わせてGDPの4分の1に上るとされる不動産の問題で抜本的な対策が先送りされているためだ。社会不安は解消せずにデフレ傾向も強まっている。

 ◆中国のリスクに警戒を

 習近平政権は海外に活路を見いだそうとしている。風力発電や電気自動車(EV)などの脱炭素製品で製造業大国になる戦略だ。

 しかし、過剰生産したEVなどの販路を海外に求め、安値で「デフレの輸出」を推進すれば、激しい貿易摩擦は避けられない。中国は内需や消費が主導する経済への転換を図っていくべきだ。

 また、コロナ禍の際は、各国が景気対策のために巨額の財政支出を行った結果、債務が大きく積み上がった。財政健全化は重要な政策課題だが、歳出の削減策などに対しては、物価高に苦しんできた低所得者層の反発が強い。

 独仏などでは財政政策を巡り、政局が混乱した。持続的な成長には政治の安定も不可欠になる。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月08日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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