路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説①・01.09】:海自と防衛産業 国民裏切る癒着の構

2025-01-09 16:05:30 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【社説①・01.09:海自と防衛産業 国民裏切る癒着の構

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.09】:海自と防衛産業 国民裏切る癒着の構 

 防衛産業との根深い癒着の実態に、政府が急拡大させる防衛費の内実を疑わざるを得ない。

 海上自衛隊の潜水艦修理契約に絡む川崎重工業の物品提供問題を巡り、防衛省の特別防衛監察で川重が少なくとも約40年前から架空取引で裏金を捻出し、不正に充てていたことが明らかになった。

 乗員側から家電製品などを要望する「おねだり」も常態化していた。その原資は契約金額を膨らませた防衛費であり、許し難い。

 「防衛力増強」に巣くう産業との癒着や、腐敗の構造に徹底したメスを入れなければ、防衛のための増税など国民に理解されまい。

 中間報告によると、川重は取引先企業と結託して養生材などの大量発注を装い、2023年度までの6年間だけで計17億円を捻出。うち約6億円を裏金とし、乗員向けの携帯用ゲーム機や服飾の購入、飲食接待に充てていた。乗員側は靴サイズまでリスト化して要望しており、あぜんとする。

 川重側には現場の関係構築に加え、利益が目立って契約金額が下がらないよう、積算額をかさ増しする目的があったという。

 国内で潜水艦建造・修理は川重と三菱重工業だけに限られる。防衛関連は市場競争が働かず、相次いだ過剰請求や汚職、談合への対策として15年発足の防衛装備庁に調達を一本化したが、架空取引を上乗せした契約が見逃されてきた。なれ合いは現場レベルにとどまるだろうか。三菱重工とも問題契約が見つかった。

 政府は、5年間に総額約43兆円を投じる「防衛力の抜本的強化」を進め、25年度予算案で防衛費は過去最大の8・7兆円と突出した伸びだ。ただ、財源に見込む所得税増税は先送りが続く。

 川重や三菱重工の防衛関連の受注額は23年度に2倍超に増えて急拡大している。

 防衛省は川重を厳重注意し、過剰分の返納を求めるが、それで済む話ではない。膨らむ支出内容の厳正な精査と関係者の処分、実効性ある再発防止策が欠かせない。

 近年の防衛力強化では、高額な戦闘機やミサイルを「爆買い」する一方、約2万人の隊員定員割れを踏まえ、給与引き上げなど処遇改善方針を掲げた。

 だが、事務次官や海自トップの引責辞任を含め大量の処分者を出した特定秘密のずさんな取り扱い、手当の不正受給、パワハラなど不祥事が絶えない。

 国防の足元を見つめ直さねばならない。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月09日  16:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・01.09】:サイバー防御 「能動的」の中身慎重に

2025-01-09 16:05:20 | 【事件・未解決事件・犯罪・疑惑・詐欺・闇バイト・旧統一教会を巡る事件他】

【社説②・01.09】:サイバー防御 「能動的」の中身慎重に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・01.09】:サイバー防御 「能動的」の中身慎重に

 公的機関や企業を標的とするサイバー攻撃が相次ぐ中、いかに社会・経済活動と市民生活を守るかが焦眉の急だ。

 政府は先手を打って未然に被害を防ぐとする「能動的サイバー防御」導入に向け、通常国会に関連法案を提出する。

 重要インフラの保護を目指す一方、常時監視によって「通信の秘密」を脅かしかねない。情報収集が適正かどうか、チェックする第三者機関の設置を盛り込むとするが、課題は多い。

 法案では、空港や放送、金融など基幹インフラの計15業種を対象に、攻撃を受けた場合、事業者から報告を義務付ける方針という。

 サイバー空間で攻撃情報を検知するため、平時から情報を収集して監視し、攻撃側のサーバーに入り込み、無害化を図るとする。その措置を行う権限を警察と自衛隊に与える方向である。

 最も気がかりなのは、憲法21条が保障する通信の秘密の侵害に関わる問題だ。

 有識者会議がまとめた提言では、「公共の福祉のため必要かつ合理的な制限を受ける」として、通信情報の収集は限定的に容認されるとの考えを示した。

 目的外使用や漏えい、恣意(しい)的な運用で、際限なく個人情報が収集されないか。情報収集の内容、発信元の国や組織などの範囲もあらかじめ明確にするといったルールがないと、懸念は消えない。

 独立性の高い第三者機関をどこに置き、どう機能させるのか。厳格な歯止めが欠かせない。

 攻撃は、発信元を偽装するため外国の複数サーバーを経由することが多いため、監視対象は外国に関わる通信を想定する。事業者に同意を得て通信記録を提供させる仕組みも検討するが、取得の範囲をどう定めるのか、現場の裁量任せにはできまい。

 この年末も、日本航空や三菱UFJ銀行、みずほ銀行などで、サイバー攻撃によるシステム障害が発生した。

 警察庁や米国の連邦捜査局(FBI)は、日本のIT大手から巨額の暗号資産(仮想通貨)を不正流出させたのは、北朝鮮関連のハッカー集団と特定した。

 サイバー攻撃は国境をまたぎ、生成AI(人工知能)など新たな技術も駆使し、巧妙化、高度化している。

 能動的な対処だけで封じ込められるものではない。国民の権利や利便を守りつつ、ネット社会全体のセキュリティー体制の抜本的強化を急ぎたい。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月09日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《フィールドの向こうに・01.09》:2025年の「自分史」=田原和宏

2025-01-09 13:04:30 | 【学術・哲学・文化・文芸・芸術・芸能・小説・文化の担い手である著作権】

《フィールドの向こうに・01.09》:2025年の「自分史」=田原和宏

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《フィールドの向こうに・01.09》:2025年の「自分史」=田原和宏 

 2025年は「昭和100年」、戦後80年、さらに阪神大震災から30年にあたる。節目の年だが、一介のスポーツ記者が論じるには荷が重い。歴史のことは歴史家に聞け。東京・神保町の古書店を巡ると、色川大吉さんの著書「ある昭和史―自分史の試み」(中央公論社)の一節が目に留まった。

<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2025/01/09/20250109k0000m050137000p/9.webp?1" type="image/webp" />色川大吉さんの著書「ある昭和史-自分史の試み」と関連図書=東京都内で2025年1月8日、田原和宏撮影</picture>
色川大吉さんの著書「ある昭和史-自分史の試み」と関連図書=東京都内で2025年1月8日、田原和宏撮影

 「人は誰しも歴史をもっている」

 色川さんは正史よりも、名もなき人々の思いをつなぐ「民衆史」「自分史」の提唱者で知られる。21年に96歳で亡くなった。同時代にあって歴史の流れを見極めるのは難しい。個人の体験や認識がどれほど限られ、偏っているか。悔いや過ちを含めて書くことで、歴史の全体像に近づけると説いた。

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《憂楽帳・01.09》:冬の記憶

2025-01-09 13:02:30 | 【大学「国公立・私学・大学院・医学系・工学部系」、大学ファンド=優秀な研究成果】

《憂楽帳・01.09》:冬の記憶

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《憂楽帳・01.09》:冬の記憶

 冬の冷気を感じる時期になると、札幌市で過ごした大学院生時代をよく思い出す。

 十数年前に大学院で学んだのは河川工学。暖房のない部屋で長さ10メートルほどの水路に冷水を流し、寒さに震えながら水の動きをひたすら計測する実験に取り組んでいた。つらい記憶だ。

筆者が過ごした北海道大の構内=札幌市北区で2024年3月12日、鳥井真平撮影

筆者が過ごした北海道大の構内=札幌市北区で2024年3月12日、鳥井真平撮影

  院生のつたない研究とはいえ、苦労の一端を経験したからこそ、「抜け道」を探す研究者から目を離せなくなったのかもしれない…、

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【政界地獄耳・01.03】:小沢の考える国民の負託を受け、権力を奪取する政治家はもう皆無か

2025-01-09 07:40:20 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【政界地獄耳・01.03】:小沢の考える国民の負託を受け、権力を奪取する政治家はもう皆無か

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・01.03】:小沢の考える国民の負託を受け、権力を奪取する政治家はもう皆無か 

 ★1日といえば例年恒例の立憲民主党総合選挙対策本部長代行・小沢一郎の東京の私邸での新年会だ。党内のみならず議員、首長、関係者、マスコミが一堂に会する新年会を開いている政治家は今では小沢以外にない。今年も小沢節全開で「去年の衆議院選挙。国民は野党の訴えに対してその通りだと結論を出した。国民の自公政権への不信任の投票だったろうと思う。私はこれで3度目の野党政権ができるという思いを強くしたが、残念ながらヤマは動かず自民政権が続くことになった。あとは野党の議員諸君の自覚を待つのみだ」。

東京都内の私邸で開いた新年会であいさつする立憲民主党の小沢一郎衆院議員(撮影・中山知子)

 ★「現状を変えることを嫌う日本人がここまで意を決して野党に投票してくれたのに、野党の政権を作り得なかった責任は非常に大きい。今の状況をみると『自社体制』の野党の姿を思い出す。自民党にちょっとした要求をして、それが受け入れられると『勝ち取った、勝ち取った』と喜んでいる。一体何を勝ち取ったんだ。自民党があめ玉をくれたに過ぎない」。小沢のいら立ちがよく伝わってくる。国民のおかげで過半数割れを実現した野党各党が、まして立憲代表・野田佳彦を軸に政権が取れるところまで来たのに、好き嫌いを言い出した。「あいつとはやりたくない」「あいつとやるぐらいなら自民党と組む」と一政党を率いる党首の器も小さくなったものだ。普通に考えれば「過半数割れなら、与党にいろいろ揺さぶりをかけられる」と思うのが野党の党首の仕事のはずだ。

 ★首相・石破茂は1日放送の文化放送で少数与党の打開策に関し「大連立をする選択肢はあるだろう」とし「何のためにというのがない大連立は、1歩間違うと大政翼賛会になってしまう。そこは気を付けないといけない」と踏み込んだ。同日、公明党代表・斉藤鉄夫もニッポン放送で「少数与党の中で合意形成の要となり、結果的にそれが大連立につながるよう先頭に立っていきたい」とどうやら与党は大きなあめ玉を用意して楽な大連立を視野に入れ始めた。小沢の考える国民の負託を受け、権力を奪取する政治家はもう皆無か。(K)※敬称略

 政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2025年01月03日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・01.01】:予測困難な25年の政局 少し余裕が出た首相は解散権と公認権で石破降ろし回避か

2025-01-09 07:40:10 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【政界地獄耳・01.01】:予測困難な25年の政局 少し余裕が出た首相は解散権と公認権で石破降ろし回避か

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・01.01】:予測困難な25年の政局 少し余裕が出た首相は解散権と公認権で石破降ろし回避か

 ★今年は例年になく、どんな政治になるのか予測がつきにくい。年末になり少し余裕が出た首相・石破茂。昨年の世論調査では微増だが上昇している。補正予算の成立や野党分断、政治改革に前向きと国民からは捉えられたのだろう。昨年押し詰まってから石破は側近閣僚や高名な評論家と相次いで会食。テレビ出演もこなした。今月24日に始まる通常国会での熟議に思いをはせたのだろうか。米ドナルド・トランプ次期大統領との会談日程がずれ込んだのは懸念材料になるか。

 ★それでも党内には公然と石破降ろしや参院選前の退陣をいう声がある。無論、政治改革に熱心になれば党内から突き上げられ、改革を投げだせば国民から見捨てられる。昨年末27日には、国会で内閣不信任決議案が可決されたり予算案が否決されたりした場合に言及。「そういう事態が起きた時に内閣が正しく、国会が間違っているという判断をするなら、主権者たる国民の信を問うことは当然ありうべきことだ。予算案や極めて重要な法案が否決された場合も、国民に決めてもらおうということは憲法の趣旨からして当然だ」と少数与党ながら、政権としての不退転の決意を講演で述べ野党を強くけん制した。

 ★政界内には今夏の参院選挙に合わせて衆院を解散、衆参ダブル選を警戒する向きが多い。自民党内には落選議員を軸に絶対安定多数にするため早期解散論がある。石破は野党をけん制しながら解散権を利用して党内基盤を強めようとしているのではないか。解散直前にいろいろ処分が出れば、昨秋の衆院選の二の舞いとなる。解散権と公認権で石破降ろしを回避させる、いわば解散発言は党内向けとの見方もできる。一方、連立を組む公明党は都議選と参院選に加え衆院選のトリプル選など受け入れがたい。解散権をもてあそぶと「公明党は自民党についていけない」が公然化する。公明党も自民党に長く付き合い過ぎて、また政治とカネで多くの返り血を浴びているのだ。今年の焦点は公明党の政権への対応だろう。その引き金の引かれ方によっては事態は与野党を巻き込んだ政界再編へ進むかもしれない。(K)※敬称略 

 政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2025年01月01日  07:51:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・12.31】:24年の顕著な現象「違法でないから適法」「選挙では勝者が正義と勘違い」

2025-01-09 07:40:00 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【政界地獄耳・12.31】:24年の顕著な現象「違法でないから適法」「選挙では勝者が正義と勘違い」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・12.31】:24年の顕著な現象「違法でないから適法」「選挙では勝者が正義と勘違い」 

 ★今年の日本政治を振り返れば、特徴的なキーワードは「選挙」と「交代」だろう。4月に東京15区の衆院補欠選挙。その後の都知事選挙、衆院選挙、兵庫県知事選挙と続いたが、ここではSNSと選挙が大きくクローズアップされた。13年、公職選挙法が改正され、ネット選挙が解禁されたが、約10年でネットの概念と使い方が法律をはるかに超えた。また政党の代表交代も続いた。1月、日本共産党委員長に田村智子が就任。9月には首相・岸田文雄退陣に伴う自民党総裁選挙で総裁・石破茂(首相)、同時期に任期満了に伴う立憲民主党代表選挙で代表・野田佳彦が生まれた。衆院選後の11月に公明党代表・斉藤鉄夫、12月には日本維新の会共同代表・吉村洋文(大阪府知事)、前原誠司がそれぞれ交代した。

 ★さて選挙とSNSだが、なんとなく世論の整理や受け止めはネット情報対新聞・テレビ・ラジオなどのオールドメディアとの戦いのように扱われている。オールドメディアの敗北とまとめる人までいる。これは米次期大統領に決まったドナルド・トランプが言い立てたことと重なる。だがオールドメディアは法規制の下に運営され内容の信ぴょう性や社会的影響力に多大な責任を負う。対してネットメディアは法的にはほぼ無法地帯で内容も情報の信ぴょう性という意味では複数のチェックを通して世の中に出る情報というより、発信者の思いや信じる情報に近いといえる。そうなると最後は誰がいつ言ったのか、本当かよりもバズる方が評価が上がりかねない。

 ★1945年、哲学者カール・ポパーは「もし社会が無制限に寛容であるならば、その社会は最終的には不寛容な人々によって寛容性が奪われるか、寛容性は破壊される」としている。今年は自民党の保守の立ち位置も問われた。議論に参加してきた各党で選択的夫婦別姓を認められないのも自民党だけだ。今まで保守こそ寛容でリベラルが不寛容と思われたがそうでもない。「違法でないから適法」「選挙では勝者が正義と勘違いしている」なども今年顕著に表れた現象か。熟議だけではなく熟考が必要だ。(K)※敬称略

 政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2024年12月31日  07:29:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・01.08】:萩生田氏を追い詰める自民党東京都連の裏金疑惑

2025-01-09 07:01:20 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【HUNTER・01.08】:萩生田氏を追い詰める自民党東京都連の裏金疑惑

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・01.08】:萩生田氏を追い詰める自民党東京都連の裏金疑惑 

 「今年は、まさに選挙イヤー。参議院選挙と東京都議選のダブル選挙だ」――自民党の幹部はそう言いながら新年のカレンダーに予定を書き込んだ。

 昨年12月、自民党の裏金議員はこぞって政治倫理審査会に出席。「派閥が……」「秘書が……」と逃げを打ち、ほとんど真相究明にならなかった。自民党の裏金議員は約90人。衆議院選挙で落選した議員もいるが、「当初、年内に衆参すべての議員が政倫審に出席して幕引きする予定だったが、あまりに数が多過ぎて年明けの国会に持ち越さざるを得なかった」と前出の自民党幹部がため息をつく。その政倫審出席者の中で最も注目されたのは、萩生田光一衆議院議員だった。

            ◆   ◆   ◆

 安倍派5人衆の一人で、一度は取りやめになったキックバックの再開について大きなカギを握る人物とされていた萩生田氏。しかし「政治資金パーティーの運営や会計に関与する立場にも、知り得る立場にも、ありません」「キックバックを中止と決めその後、再開ということですがその協議にもかかわっていない。報告もない」と関与を完全否定した。

 だが一方で「平成15年に衆議院で初当選した時、ノルマを超過して販売したものが政治活動費として戻されると説明があった」と発言し、キックバックが20年以上も前から行われていたことを認めている。

 20年間、ずっと黙ってキックバックを受け続け、その間に閣僚や党三役を経験して安倍晋三元首相の最側近となった。本サイトでも報じてきたが、検察が不起訴にした萩生田氏の裏金問題は、国民目線でながめると「グレー」としか思えない(既報)。

 その萩生田氏に政倫審で舌鋒鋭く迫ったのが、立憲民主党の米山隆一衆議院議員。萩生田氏はが裏金2,728万円を「パーティー券専用の口座があった。そこで売上を管理して(キックバックなどが)あったりした。またその口座は使用するので、すべて引き出し(裏金を)事務所の机の中で管理していた」とする釈明に疑念を示した。

 「かなり奇怪なことをされますね。現金でもらったものを現金で机に(しまっておく)というのならわかります。しかし、銀行口座にあるものを(おろしてから)机に入れる――。なんのために帳簿があるのか」

 2020年5月に経産相として外遊した萩生田氏の政治資金収支報告書を確認してみた。すると裏金事件発覚後に、アメリカ外遊の3日間で約32万円(5月3日)、約8万円と約9万円(5月4日)、約9万円(5月5日)が会食費として修正追記されている。裏金事件が発覚していない時点で、計上されていたなかった会食費だ。要は、裏金がバレて裏金で会食費を支払ったことを「自白」しているということだ。

 「あのアメリカでの30万円、現金で払ったのか、ドルで数えて払ったのか?」「30何万も飲食するのに、カード使うしかないが」と迫る米山氏。これに対し萩生田氏は「私が支払ったのではない。カードで払った分もあれば現金もある」――。それなら、カードで払った分だけでも明細を公開すべきだろう。

 萩生田氏には、身内の自民党裏金議員からも「不満」があがっている。疑問を投げかけたのが、稲田朋美元防衛相。「安倍会長から2022年5月にノルマ超過分の還付はしないと聞いた。その時はじめて還付のことを知った」「安倍会長がやめると決断したが、いつ誰がなぜ復活させたのか。幹部は明かすべき」と述べ、萩生田氏をはじめとした安倍派5人衆に説明責任を求めた。前出の自民党幹部も「萩生田氏はますます追い込まれつつある」と語る。

            ◆   ◆   ◆

 本サイトでも報じてきたが、萩生田氏が会長を務めていた自民党東京都連が2023年と2022年に開いた政治資金パーティー券の収入の一部が、政治資金収支報告書に記載されてなかったことが判明。都連は報道を受けて訂正したが、不記載額は832万円と大きい。神戸学院大学の上脇博之教授が、萩生田氏や東京都連の会計責任者らを政治資金規正法違反の容疑で刑事告発したことが分かっている。

 告発状の中で上脇氏は、不記載について《被告発人萩生田光一、同代表者兼会計責任者である被告発人遠藤衛及び同事務担当者である被告発人加藤賢一がお互いに共謀した結果であろう。被告発人らは、政治資金規正法第26条の3第3号違反に該当する》として、萩生田氏と会計責任者らとの共謀を指摘している。

 この件については朝日新聞も、昨年12月25日の朝刊で《東京都議会の自民党会派が開催した政治資金パーティーをめぐり、会派事務局が政治資金収支報告書に記載しなかった収入の総額が直近5年間で3千万円前後に上る疑いがあることが、関係者への取材で分かった。政治資金規正法違反の虚偽記載罪(公訴時効5年)の立件目安は3千万円とされ、東京地検特捜部は、同法違反(虚偽記載)の疑いで会派の会計担当職員の聴取などを進め、立件の可否を検討している》と報じた。

 検察から事情を聞かれたある東京都連関係者は、筆者の取材に対し「NHKと読売新聞も同じような記事を出してきましたね。いよいよカウントダウンがはじまったという東京都連の幹部もいます。ひやひやしながらのお正月でした。安倍派などの裏金事件も含め、年明け直後に政治とカネで強制捜査となる可能性があります。本当に気が重い」と話している。

 都連の最高責任者は会長だった萩生田氏。「Xデー」に注目が集まる状況だ。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【自民党・政治とカネ・東京都議会の自民党会派が開催した政治資金パーティーをめぐり、会派事務局が政治資金収支報告書に記載しなかった収入の総額が直近5年間で3千万円前後に上る疑い】  2025年01月08日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・01.07】:前途多難! 撤退した「都構想」にすがる日本維新の会

2025-01-09 07:01:10 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【HUNTER・01.07】:前途多難! 撤退した「都構想」にすがる日本維新の会

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・01.07】:前途多難! 撤退した「都構想」にすがる日本維新の会 

 「参議院選挙に東京都議選、時期は分からないがいずれ解散総選挙になる。それまでうちの党は存続しているだろうか?」。苦々しげにそう語るのは、日本維新の会のある国会議員だ。低迷する党勢、分裂含みの党内、売れない万博のチケット――維新を取り巻く状況は厳しさを増すばかり。そこに、撤退が宣言されたはずの「大阪都構想」が復活した。

 ■復活した「都構想」

 昨年12月の代表選で吉村洋文大阪府知事が代表に就任。吉村氏は地域政党である大阪維新の会の代表も兼ねる。その大阪維新の会が同月、記者会見を開き「大阪都構想」の検討チームを設置すると公表した。過去2度も住民投票で否決されている大阪都構想を再び持ち出し、低迷する党勢を立て直そうという魂胆が透けて見える。

 かつて維新が党としての“一丁目一番地”に位置付けた「大阪都構想」は、大阪市を廃止して現在24の区を4つの特別区に再編するというもの。「大阪府と市の二重行政を解消し行政運営を効率化する」と主張して2度の住民投票に挑んだが、いずれも否決されている。

 1回目は維新の創業者・橋下徹氏が先頭に立って推進したが否決。2回目は吉村知事が全面的に旗を振ったが再び否決。その際、吉村氏は「僕が政治家の間、再度、都構想を掲げることはありません」と“撤退”を明言している。撤退したはずの都構想を持ち出してきたのが、他らなぬ吉村氏なのだから呆れるしかない。維新の関係者がその背景を次のように解説する。

 「うち(維新)は昨年10月の衆議院選挙で負けました。ただ、大阪府内の小選挙区だけは全勝。党内から『やっぱり維新は大阪だ』『復活するには大阪を中心に出直すべき』という意見が多くあがりました。身を切る改革で党勢拡大してきた維新ですが、衆議院選挙やそれ以外の地方選挙ではその旗印がまったく通じなくなっています。他に思いつくのは大阪都構想しかない。というか、他に打ち出す看板政策がないというのが現状であり、うちのレベル。吉村知事も前言を翻すしかなかった。大阪の国会議員や地方議員は『維新はやっぱり大阪だ!』と勢いがいい。しかし、大阪以外の議員は『この党ではもうダメだ』と意気消沈しているのが現状でしょう」

 代表選の当選会見で吉村知事は、「野党一本化の予備選を実施すべき」と訴え、これまでの「全国政党化」を撤回するような発言を繰り返した。前出の国会議員は「吉村知事の全国政党化見合わせ発言で、正直分裂が見えてきました。大阪都構想が盛り上がるたびに維新は割れています。吉村知事もそれを理解しているはず。なのに、また党分裂でいいのでしょうかね」と懸念を示す。

 ■分裂の歴史

 維新は昨年、高額な「飲み食い」がバレたことや衆院選の敗北で馬場伸幸前代表が退陣に追い込まれた。吉村知事が国会議員の共同代表に指名したのは、旧民主党時代に閣僚経験もある前原誠司衆議院議員だ。前原氏が、国民民主党を離党し「教育無償化を実現する会」を結成したのは2023年。1年後の24年10月には維新に合流する。前出の国会議員はこう話す。

 「前原さんは馬場さんが代表になった時に維新に引き込んだ人物だ。維新は、馬場さんを中心にする旧執行部と、吉村知事を重んじる大阪組、それ以外の国会議員派と3つに別れている。旧執行部は基本的に大阪が地元の議員が多いのですぐには割れない。馬場さんが自民党から『新党を作って出ろ』と誘いを受けているようだが、今は自重している。国会派で勢力を伸ばしているのが、代表選に出馬して2位につけた松沢成文参議院議員と、元東京都知事の猪瀬直樹参議院議員。会議になると声の大きいこの2人の意見が通ってしまうことがよくある」

 2012年、維新は石原慎太郎氏の「太陽の党」と合併し、国政政党として大躍進。しかし14年に分裂した。直後、みんなの党から分かれた江田憲司衆議院議員の「結いの党」と合流したが、15年に「お家騒動」が勃発して再び分裂する。

 「大阪都構想の機運が盛り上がり、“それ住民投票だ”となるといつも維新は分裂する。大阪側が声高に『国政も大阪都構想に協力しろ』と求めるからです。国会は外交、安全保障、国家予算などを審議する場。大阪ローカルの政治課題である大阪都構想について『質問しろ』なんて指示が来るんです。大阪以外の国会議員、誰もいい気はしませんよ」――かつて維新に在籍した国会議員のAさんはそう当時を振り返り、平成26年4月17日に行われた衆議院総務委員会における上西小百合衆議院議員(当時)の質疑の議事録を見せてくれた。

上西:私ども日本維新の会は、先行して呱々の声を上げた大阪維新の会結党以来、一貫して、都道府県を市町村という、加えて国もそうですが、それぞれ階層が異なる行政府、自治体が重複して似たような事務をして行政コストが増大することを、二重行政の無駄、こういうふうに位置づけ、その解消策をさまざま提唱してまいりました。(中略)府と市がばらばらに進め、府と市の不一致でフシアワセ、こういったふうに揶揄されていた戦略や政策を一本化する大阪都構想実現は、私どもの至上命題だと確信をしておるところでございます」

新藤義孝総務相(当時):大阪都構想につきましては、その以前に大阪市の抱える問題という独自のものがあった、その地域固有の課題を解決するためにそのようなお考えで進め、それが、その地域住民の有権者の賛意を得て進めるべきかどうかとなっている。

 つまり、答弁した総務大臣が「大阪の問題だ」と指摘していたわけだ。前出のAさんが次のように警告を発する。

 「これ、国会でやるネタでしょうか。ローカル政党の至上命題なら地方議会でやればいい。上西さんは大阪選出だったのですが、関係ない議員にまで大阪都構想の質問をしろと上から目線でやっていた。しない議員には『維新スピリッツがない』と大阪の地方議員からクレームがくるほどでした。とにかく、大阪都構想となると周りが見えなくなり、大阪主導、上から目線。他の地域の議員は使われるだけ。またそれが繰り返されるのではないですか」

 馬場氏の旧執行部グループには、すでに自民党が手を伸ばしている可能性がある。そして、国会組の受け皿には旧民主党系の会派である「有志の会」がなるのではないかという情報もある。前出のAさんの予測はこうだ。

 「維新には、労組が最大の支援者となっている立民と国民には距離を置きたいという思いがある。維新内には旧民主党にいた国会議員も少なくなく、労組アレルギーがあるのは確かだ。すると有志の会が受け皿になりやすいのではないか。また、維新にはかなり右寄りの議員もいて、日本保守党という選択肢もあると聞いている」

 夏に予定される参院選の情勢はかなり厳しいとみられる維新。東京都議会での議席は現在たった一つだ。4月の開幕を控えた大阪・関西万博の前売りチケットは半分程度しか売れていない。維新にとっては、かなり厳しい年になりそうだ。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・行政 【政治ニュース・日本維新の会】  2025年01月07日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・01.09】:年金制度改革 与野党が熟議尽くす時だ

2025-01-09 07:00:55 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説・01.09】:年金制度改革 与野党が熟議尽くす時だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.09】:年金制度改革 与野党が熟議尽くす時だ

 厚生労働省が年金制度改革に関する報告書をまとめた。5年に1度の「財政検証」の議論に基づき、働く高齢者の在職老齢年金や、厚生年金保険料の労使折半ルールの見直しなどが盛り込まれた。

 時代の変化に合わせて制度を手直しすることは必要だ。ところが、今回の焦点だった国民年金(基礎年金)の給付水準底上げは「さらに検討を深めるべきだ」という表現にとどまった。報告書を基に、国会へ法案提出を目指す政府の方針にも不透明感が漂う。

 国民生活に関わる年金問題に後ろ向きでは困る。与野党ともに責任ある制度設計を示し、熟議を尽くす時だ。

 国民年金加入者には低所得者や学生も多く、保険料免除や猶予で実際に納付している人は約半数にとどまる。さらに、年金制度を維持するために給付水準を調整する「マクロ経済スライド」という仕組みもあって、給付額は現行よりも約3割も目減りすると危ぶまれている。

 保険料を満額納めても給付額は月約65千円と、生活保護費より少ない。保険料未納者が生活保護費を受給し、納付者の年金がそれより少ないようでは制度への信頼自体が失われかねない。年金の水準が下がれば、とりわけ就職氷河期に直面し、非正規労働者の多い世代が貧困にあえぐことも懸念される。

 今回の報告書で、厚労省は会社員の厚生年金財政からお金を回し、国民年金を穴埋めすることをもくろんだ。会社員は厚生年金は減っても基礎年金部分は増えるので、厚労省はほぼ全員が損はしないと説明してきた。しかし、実際にはここ10年ほどの間に受給が始まる世代は受取額が減る。世代間に不公平をもたらす案には、専門家の評価も割れた。今回の報告書で表現が「さらに検討」とされたのもそれが理由だろう。

 厚生年金の果実を国民年金に回すことは「取りやすいところから取る」場当たり的な対応と言わざるを得ない。国民の手取り増が求められているのに、逆に手取り減となる「年収106万円の壁」の撤廃で厚生年金への加入を促したのもそういうことなのか。

 福田康夫政権では基礎年金の全額を税方式に改める検討がされた。税方式ならば未納者はいなくなる。消費税34%分の負担増が見込まれるが、その代わりに基礎年金分の保険料もなくなる。

 自民党の河野太郎氏は総裁選で、保険料方式から税方式への転換を訴えた。将来世代への仕送りである賦課方式から積み立て方式への見直しも提案した。こうした抜本的な見直し議論を求めたい。

 欧米では年金の支給開始を67~68歳に徐々に引き上げている。高齢化が顕著な日本が65歳にこだわる理由はない。年金改革を進め、高齢者でも働きやすい環境を同時に整えていくことが不可欠だ。

 厚労省の示す案を少数与党の石破茂政権がそのまま政府案としても国民の安心にはつながるまい。与野党が抜本的な案を出しあって議論を重ね、年金制度を再構築することこそ熟議の国会と言える。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月09日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・01.08】:学術会議の改革案 独立性、これで保てるのか

2025-01-09 07:00:45 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【社説・01.08】:学術会議の改革案 独立性、これで保てるのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.08】:学術会議の改革案 独立性、これで保てるのか 

 日本学術会議の在り方を議論していた政府の有識者懇談会が最終報告書をまとめた。現行の「国の特別機関」から法人に移行させるという。

 会員の首相任命をなくし、国に助言する権限や国からの財政支援を保障するなど、学術会議側の要望を受け入れた部分もある。とはいえ、活動状況を確認する「評価委員会」に加え、予算や業務の執行をチェックする監事も首相が任命するとした点は疑問だ。政治介入の余地が残り、独立性が損なわれかねない。

 政府は、法改正案をまとめる構えだが、懸念の残る改革を急ぐ必要はない。

 問題の発端は、2020年に当時の菅義偉首相が学術会議の推薦した会員候補105人のうち6人だけ任命を拒否したことだった。6人は政府方針に異を唱えたことがあったが、政府は「総合的、俯瞰(ふかん)的な活動を求める観点から判断した」と説明するだけ。具体的な理由は今なお明らかにしていない。

 任命拒否に対し、学術会議側は「学問の自由の侵害」だと強く抗議した。ところが、政府は「組織の在り方に問題がある」と論点をすり替え、4年余り議論を重ねてきた。

 政府の真の狙いは何か―。これまでの議論から透けて見える。コントロールの利く組織にしたいのだろう。学術会議が1949年の発足以来、一貫して軍事目的のための科学研究に明確に反対してきたことが背景にある。過去の戦争協力に対する反省から生まれた軍事研究反対の姿勢が気に入らないようだ。

 政府は近年、防衛力強化を目指し、大学や研究機関を軍事関連分野の研究に引き込もうと努めている。15年度に始めた、軍事応用も可能な基礎研究に助成する防衛省の公募制度などだ。これに対し、学術会議は17年、「研究の進捗(しんちょく)管理などで政府による介入が著しく、問題が多い」と批判した。政府にとっては厄介な組織なのだろう。

 それだけに、政治介入の余地を残す法人化は問題だ。政府は年10億円に上る税金投入を理由として挙げているが、任命を拒否する前は特段、問題視していなかった上、運営に口も出してこなかった。今になって、税金投入を理由に関与を強めようとするのは理解し難い。

 その前に政府には、やるべきことがあるのではないか。「自民党1強」態勢で強行した6人の任命拒否について理由や経緯を、きちんと説明する必要がある。

 感染症や気候変動など、科学と社会の関わりは、かつてなく深まっている。例えば生成人工知能(AI)は私たちの暮らしを便利にし、経済発展の礎ともなりそうだ。ただ、悪用されれば、人殺しの武器をさらに強力なものに変えてしまいかねない。

 AIをはじめ、新たな分野の研究を進めるのは科学者の務めだろう。それでも、軍事目的に陥ることのないよう、歯止めを設けることが不可欠だ。学術会議にこそ期待される役割である。軍事研究をしないという戦後の原点を改めて誓うことにもなる。 

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月08日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・01.09】:水道のPFAS 周回遅れの対応を見直せ

2025-01-09 06:05:50 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

【社説①・01.09】:水道のPFAS 周回遅れの対応を見直せ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.09】:水道のPFAS 周回遅れの対応を見直せ

 暮らしに欠かせない水道水は市民の健康に直結する。被害の恐れがある以上、国は先手を打ち対策を講じる責任がある。

 発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)について、政府は現行の暫定目標値を水道法上の水質基準に格上げする方針を決めた。

 PFASは全国各地の水道や河川、地下水などから検出されている。暫定目標値はそれ以下に抑えることを目指す基準に過ぎず、法的強制力はない。超えても改善は努力義務にとどまる。

 格上げ後は、自治体などの水道事業者に定期検査と基準値を超えた場合の改善を義務付ける。2026年4月の施行を想定している。

 PFASは水や油をはじき、焦げ付きにくいフライパンや防水スプレーのほか、半導体の製造過程でも使われてきた。自然界では分解されにくく蓄積されやすい。

 00年代初めに海外で有害性が指摘されるようになった。代表的なPFOSとPFOAは国際条約で製造や使用が禁止された。原料に使っていた工場、泡消火剤を使用していた米軍や自衛隊の基地などで地下水に染み込み、検出されているようだ。

 健康への影響について科学的知見は十分ではない。しかし健康被害を防ぐため、危険性を重視して未然に対応する「予防原則」の考え方は何より重要だ。

 PFAS対策で日本は周回遅れと言わざるを得ない。暫定目標値はPFOSとPFOAの合計で1リットル当たり50ナノグラム(ナノは10億分の1)だ。米国の飲料水は、この2種の基準が各4ナノグラムと厳しい。欧州でも厳格化の動きがある。

 環境省は暫定目標値をそのまま水質基準に採用する構えだが、妥当なのか十分な説明はない。規制の遅れが被害拡大を招いた過去の公害の反省を踏まえ、対応をためらってはならない。科学的知見の積み上げも急務だ。

 国は初めて大規模調査を行い、昨年公表した。給水人口の大半を占める上水道と簡易水道で、検査した水道事業の2割にPFASが検出されたものの、暫定目標値は超えていなかった。以前超えた地域は水源変更などで改善したとみられる。

 一方、社宅や病院など特定の居住者に供給する専用水道は、暫定目標値を超えた施設があった。福岡県の航空自衛隊芦屋基地では30倍となった。各施設とも上水道に切り替えたり応急的に浄水器を備えたりしている。

 全国的に発生源が不明な所が多い。発生源の特定手法や改善策について国に指針を求める声がある。速やかに実施したい。検査や改善に多額な費用がかかり、水道料金が上がる可能性もある。国の財政支援も検討すべきだろう。

 健康被害への不安も募る。住民の要望があれば血液検査を実施するなど柔軟な対応が求められる。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月09日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・01.09】:羽田事故の報告/教訓生かし被害軽減策を

2025-01-09 06:00:50 | 【不慮の事故・自動車事故・予期せず、意図せず、発生する惨事、火災他】

【社説・01.09】:羽田事故の報告/教訓生かし被害軽減策を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.09】:羽田事故の報告/教訓生かし被害軽減策を

 報告書に目を通すと、いかに危険な状況だったかに慄然(りつぜん)とする。教訓を丁寧にくみ取り、悲惨な事故の再発防止に生かさねばならない。

 昨年1月に羽田空港で日航と海上保安庁の航空機が衝突、炎上し海保機の5人が死亡した事故で、運輸安全委員会は調査の経過報告を公表した。最終報告は来年以降になる見通しのため、現時点で判明している情報を対策に生かしてもらう趣旨だ。

 事故の直接原因は、海保機が離陸順を表す「ナンバー1」の無線連絡を離陸許可と誤認し、滑走路に入ったことだ。交信記録によると、副機長は管制官の指示を正しく復唱したが機長は不完全で、さらに両者とも誤進入の認識がなかったとされる。

 海保機は能登半島地震の支援物資を新潟空港へ運ぶ予定で、機長は離陸が優先されると思い込んだ。出発が遅れ、羽田に戻った後の乗員の帰宅方法を考慮し「なるべく急ぎたい」との考えもあったという。

 時間に追われる状況では注意力が散漫になり、人為的ミス(ヒューマンエラー)が起きやすくなる。特に臨時発着など普段と異なる状況下の管制では、誤認を防ぐ丁寧な意思疎通を図る必要がある。

 ミスをカバーするため二重三重に張られた対策も機能しなかった。

 管制塔には航空機の誤進入を表示する装置があるが、管制官は日頃から「当てにしづらい」と感じ表示を見逃した。海保機を目視した別の管制官が担当官に状況を尋ねたが、意図が伝わらなかったという。

 日航機側も海保機の灯火を認識せず、衝突直前になって存在に気付いた。3者とも機体接近に気付かなかった事実は極めて重い。抜本的な対策見直しにつなげねばならない。

 経過報告は、日航機の379人が脱出した経緯も詳述する。延焼が迫る中、全員が無事に避難できた要因として、乗客が乗務員の指示を守り通路や出口に殺到しなかったこと、機内放送が使えない中、乗組員が機内を移動しながら指示伝達や逃げ遅れの確認をしたことなどを挙げる。

 物理的な要因として、日航機が海保機に乗り上げる形で衝突したため「致命的」な損傷がなく、さらに滑走路を約2キロ逸脱しながら転覆せず草地で止まったことも見逃せない。

 昨年12月に韓国・務安で起きた旅客機事故では、胴体着陸を試みた機体が滑走路から約250メートル離れた構造物に激突し、181人中179人が死亡した。人的被害に大きな差が生じた要因の分析が重要だ。

 事故が起きた際に乗客の生死を分ける「サバイバルファクター」の分析は安全対策に欠かせない。最終報告ではあらゆる観点から安全性の向上に資する提言を行ってほしい。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月09日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《24色のペン・01.09》:我が子に希少難病、家族の挑戦=銭場裕司

2025-01-09 06:00:10 | 【障害者を取り巻く諸問題・差別・虐待・雇用・バリアフリー・支援の輪】

《24色のペン・01.09》:我が子に希少難病、家族の挑戦=銭場裕司

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《24色のペン・01.09》:我が子に希少難病、家族の挑戦=銭場裕司 

 発達の遅れが気になっていた長男にようやく診断名が付いたのは4歳半の時だった。

 判明したのは、国内で診断された人が当時10人にも満たない希少難病。現在の医療では治療方法も確立されていない。

 それから約2年半、家族は新しい挑戦に乗り出し、多くの出会いに恵まれた中で人生の歩みを進めている。

<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2025/01/08/20250108k0000m040076000p/8.webp?1" type="image/webp" />南里たいちさんは3歳半ごろから歩き始めるようになったという。父親の健太さんは確実な成長を感じている=家族提供</picture>
南里たいちさんは3歳半ごろから歩き始めるようになったという。父親の健太さんは確実な成長を感じている=家族提供

 ◆障害のある子どもたちの事業所

 障害のある子どもたちのために、児童発達支援と放課後等デイサービスを手がける事業所「ヒトノワ南大泉教室」(東京都練馬区)を訪れると南里(なんり)健太さん(43)が迎えてくれた。

 ポトキ・ルプスキー症候群。長男である、たいちさん(7)が診断された病名だ。染色体の一部に重複があることで発達の遅れなどが生じるという。この難病が、南里さんが事業所を開設するきっかけになった。

 ◆感じられた発達の遅れ

 たいちさんは2017年、大きな泣き声で元気いっぱいに生まれた。誕生を心待ちにしていた南里さんは「溺愛しました」と語る。

 だが、定期的な健康診断で発達の遅れが気に掛かるようになる。1歳半になっても立つことはできず寝ている状態で、座る姿勢も苦手だった。その後も言葉を発することができない。

 近所の子どもたちが公園で遊ぶ時期を迎えても、たいちさんはベビーカーの中にいた。

 「もう少し様子を見ましょう」「きっと大丈夫」

 医師や知り合いからはそう声をかけられたが、もやもやした思いを抱え続けたという。

 療育施設で歩行などに向けた訓練を始めたものの、慣れない場所のためか、たいちさんは泣き続けた。1時間近くかけて通っても抱いてあやすだけで終わる日も続き、南里さんが車の中で一緒に泣きながら帰ることもあった。

 「本人が来たくて施設に来ているわけじゃないので『たいちゃん、ごめんね』と声をかけました。この時期は本当に苦しかった」

 ◆「いつまで原因不明なんですか」

 3歳になっても発達が遅れている原因は分からないまま「様子見」の状態が続いた。ある時、南里さんは思わず強い口調で医師に尋ねたという。

 「いつまで原因不明なんですか。そんなに分からないものなんですか」。…

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《24色のペン・01.08》:食べ物の向こう側にいる人たち=田中理知

2025-01-09 06:00:05 | 【移民・難民・亡命・密入国・入管・在留資格・日本語学校・偽装結婚・技能実習生他】

《24色のペン・01.08》:食べ物の向こう側にいる人たち=田中理知

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《24色のペン・01.08》:食べ物の向こう側にいる人たち=田中理知 

 段ボール箱の中に、白米やカップ麺、レトルトカレー、コーヒーにスナック菓子などを丁寧に詰め込んでいく。これで、年末年始を温かく過ごせるかな。そんなことを考えながら、小さな鏡餅も入れた。封をする前に、1枚のメッセージカードを添えた。「一人じゃないよ」

 昨年12月、日本で暮らす難民12世帯に食料などを送るボランティアに参加した。名古屋市内で開かれ、40人が集まった。その中には7人の難民の姿もあった。

 私の班のメンバーは学生や会社員、定年退職した人など年齢も肩書もさまざま。「メッシと呼んで」。アフリカ出身の若い難民男性は、自身のニックネームをそう紹介した。由来を尋ねると、少し照れくさそうに、ファンだというサッカー男子アルゼンチン代表のリオネル・メッシ選手の名前を挙げた。

 テーブルいっぱいに並んだ食料の中から、各班3世帯分の食料を選んで箱詰めしていく。必要な物を、必要な人に届ける。単純なようで、これが案外難しい。家族構成や、宗教的な理由やアレルギーで食べられないものはないかなど、担当する難民世帯の情報と食品表示を見比べながら、ああでもない、こうでもないと作業していたら、あっという間に3時間が過ぎた。

 メッシさんは最初こそ緊張した様子だったが、困っているメンバーを見かけるとさっと手を貸していた。作業が一息ついた頃、…

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