【筆洗】:年忌法要のうち十三回忌は、亡くなって十二年後の命日に営む。…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:年忌法要のうち十三回忌は、亡くなって十二年後の命日に営む。…
年忌法要のうち十三回忌は、亡くなって十二年後の命日に営む。近親者のみで行うことが多いらしい
▼葬儀会社のウェブサイトにこうある。「亡くなってから長い歳月が流れており、規模を縮小することが多い法要です。したがって、遺族も参列者も平服と呼ばれる略喪服を着用します」。ワンピースやスーツは黒色に限らず、暗い色は許されるという。年月の経過ゆえ仏事に日常がにじむ
▼東日本大震災から今日で十二年。妻、息子、妹を亡くした宮城県東松島市の菅原節郎さん(72)は先日、娘一家と一緒に寺で早めの十三回忌を済ませた。三回忌や七回忌の法要は営まなかったという。「心にも余裕がなくて。震災から何年といわれても、昨日までと何が違うんだと思っていました」
▼ずいぶん前から、故人に恥じぬ生き方をしようと震災からの日にちを数え続け毎朝、仏壇で「震災から○○日。今日もがんばるよ」と語りかけてきた。震災翌日から数え始めると今日で四千三百八十三日。日々を積み重ねようやく少し心の余裕を得た
▼住職だった松井惠光(えこう)さんは著書『年忌法要のための法話』で年忌は自分の報告法要と書いた。「いまだに迷い続けています」「恥ずかしいことです。やはりお金のことが思われて」などと先祖に語りかけ、さらけだすよう説く
▼迷いながらも今日まで生きてきたこと自体が尊い、十二年後である。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】 2023年03月11日 07:06:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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