【金口木舌・01.01】:戦後80年の初めの日に
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌・01.01】:戦後80年の初めの日に
戦火が続くウクライナやパレスチナ自治区ガザから届く悲しい知らせを聞きながら年の瀬を送った。ガザでは乳児が凍死したという。幼い命は年を越すことができなかった
▼2人の戦争体験者を思い出す。1人は元学徒隊員。南部の戦場をさまよい大けがを負った級友を置いて逃げた。80代になっても、助けられなかった自分を責め続けた。「年を取って同級生が夢に出るようになった」
▼両親を失った女性は「銃声が聞こえるから」とラジオを大音量で流す日々を送っていた。時を経て耳に響く銃声に女性はさいなまれていた。2人は心の中に戦場を抱え、長い戦後を送ってきたのである
▼「戦後80年」の年を迎えた。時が止まった心の中の戦場と向き合い続ける体験者がいる。それなのに、この国は戦争準備に余念がない。新たな戦場へと突き進む時を一刻も早く止めなければならない
▼「戦争をおこすのはたしかに人間です/しかしそれ以上に戦争を許さない努力のできるのも私たち人間ではないでしょうか」。県平和祈念資料館に掲げられた言葉に希望の光を見る。そこへ向かって、しっかり歩む年でありたい。
元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2025年01月01日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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