【独占60分!インタビュー・①】:齋藤元彦・前兵庫県知事インタビュー「内部告発」と「県民局長の死」そして潜入ジャーナリストが問うた「ネット“分断”選挙」にいま思うこと
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【独占60分!インタビュー・①】:齋藤元彦・前兵庫県知事インタビュー「内部告発」と「県民局長の死」そして潜入ジャーナリストが問うた「ネット“分断”選挙」にいま思うこと
内部告発で失職した齋藤元彦・前兵庫県知事が、出直し知事選に出馬した。
4年前にトランプ信者の実像を潜入取材し、その成果を『「トランプ信者」潜入一年』として著したジャーナリストの横田増生氏が、10月25日、事務所開き前の「さいとう元彦 選挙事務所」で前知事と向き合った。
横田氏による独占インタビューを、発売中の「週刊現代」が報じている。「齋藤騒動」につづく出直し選挙は、はたしてどのような展開を見せるのか。「週刊現代」掲載のインタビューに一部加筆して全文を公開する。
◆ネット選挙の「亀裂」と「分断」
事務所開きの前の建物には、「さいとう元彦 選挙事務所」と書かれた看板の上に、白いビニールが被さっていた。事務所内に入ると、選挙事務所につきものの為書も胡蝶蘭も見えず、折り畳みの事務机とパイプ椅子などがあるだけだった。
机の上には、「さいとう元彦の政策」と「寄付(個人献金)のお願い」、それにB4に拡大コピーされた「週刊現代」の記事「齋藤元彦は、なぜあきらめないのか?」(2024年10月26日・11月2日合併号)があった。
私が兵庫県知事選の告示日を過ぎてもこのインタビューを世に問わなければならないと考えたのは、今回の選挙には昨今の政治と選挙の在り方が凝縮されている、と思ったからだ。
ポピュリズムやネット戦略に加え、齋藤元彦氏を支持する人と嫌悪する人に分かれ互いに激しくぶつかり合う選挙戦は、兵庫県のみならず、社会全体に分断と亀裂を生じさせようとしている。
兵庫県を歩いていると、「マスコミの報道は行き過ぎだ」と憤る左派系の知識人の話を聞いたかと思えば、タクシーに乗れば40代の男性運転手が「齋藤だけは絶対、知事に再選させてはいけない」と断じる。昼食の列に並んでいると、後ろにいた男性が「齋藤さんって公用車をセンチュリーからアルファードに変えて経費を削減したらしいよ」と同行の女性に話している声も聞いた。
兵庫がここまで注目されるのは、阪神淡路大震災以来という社会現象を生み出している。今回の選挙で分断と亀裂の中軸となるだろう齋藤元彦氏は、果たして、その点にどこまで自覚的であるのか、と私は問わずにおれなかった。
◆「県政改革」と「内部告発」――齋藤県政の光と影
――今回の選挙は、前回とは違い自民党や日本維新の会といった組織のバックアップがない。どのように戦っていくのか。
「知事時代の3年間の功績を、1人でも多くの県民にアピールしていくつもりだ。私自身の友人や知人、ボランティアとチームを作っていく」
――どこを功績として強調したいのか。
「主に3点ある。(1)約1000億円かかる県庁舎の建て替えの見直しを含めた県政改革、(2)行財政改革を断行したことで、県の貯金である財政調整基金が約30年ぶりに100億円を超え130億円近くまで積みあがったことで、コロナや大規模な災害が起こった場合でも、迅速に対応できるようになったこと、(3)県立大学の授業料の無償化を含めたZ世代と呼ばれる若者への支援――だ」
――今年3月、西播磨県民局長が作成した内部告発文書に端を発し、元局長の懲戒処分から自殺、百条委員会などがあった。県議会による不信任案を受け、失職を経たうえでの出直し選挙となる。
「文書問題によって、県政に対し県民の不安や心配を抱かせてしまったという結果責任については重く受け止めている」
――もしも、時計の針を告発文書問題が起きる前までに巻き戻すことができるのなら、違う選択肢を選んだのか。たとえば、今回のような告発文書をやり過ごしたり、告発者を処分しないという選択肢もあったように思える。
「あとからいろいろ言われているのは承知している。だが、全体的に見て非常に誹謗中傷性の高い文書だったので、無視することはできなかった。具体的な職員の実名や、企業・団体名も入っていたので放置することはできないという思いは今でも変わらない」
――齋藤さんが3月の記者会見で、「嘘八百」や「事実無根」、「公務員失格」と非難したあとで、文書に書かれていたことには事実も含まれていることも判明している。
「記者会見での言葉が強すぎたことは反省している。それは、これまでにも申し上げている。けれども、元局長が勤務時間中に、事実に基づかない文書や、不適切な文書を公用パソコンで作成したことは、懲戒処分に相当するという考えは今も同じだ。仮に時間をさかのぼれるとしても、同じ判断を下すだろう」
――齋藤さんが百条委員会に出席して、「道義的責任が何か分からない」と答え、大バッシングを受けた。
「百条委員会や議会でも、県政を停滞させた道義的責任をとって私が辞職したらどうか、という文脈で出てきた言葉。明確な根拠がある法的責任とは違って、道義的責任という言葉は、とにかく政治家が辞職することで、事を丸く収めようという日本的な意味で使われることが多い。けれども、私は文書問題の調査をしっかりとやりながら、私自身が反省すべき部分は改め、県政を4年の任期いっぱいまで担っていき、その後の選挙で、県民の皆さんの審判を仰ぐことが私の責任の取り方だという気持ちが、先の言葉となって表れた」
さらにインタビューは、ネット戦略を駆使した選挙戦へとつづく。齋藤氏は、兵庫県民に何を問おうとしているのか、果たしてネット選挙の功罪を、その中心にいる彼はどう考えているのだろうか。
◆後編『【独占インタビュー】齋藤元彦・前兵庫県知事に潜入ジャーナリストが斬り込んだ!前知事に問う「亀裂と分断の選挙戦」と「ネット陰謀論」への自覚と覚悟』でお伝えしていく。
元稿:講談社 現代ビジネス 主要出版物 社会 【疑惑・地方自治・兵庫県・内部告発で失職した齋藤元彦・前兵庫県知事・出直し知事選に出馬】 2024年11月01日 07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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