【社説・11.24】:バレー新リーグ/地域密着を深化させたい
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.24】:バレー新リーグ/地域密着を深化させたい
バレーボールの新リーグ「大同生命SVリーグ」が10月に開幕した。昨季までのVリーグを再編し、男子10、女子14のチームが参入する。兵庫からはいずれも女子で、西宮市に練習拠点を置く「大阪マーヴェラス」(JTから名称変更)と、ヴィクトリーナ姫路が名を連ねた。心機一転、新リーグで旋風を巻き起こしてほしい。
Vリーグ時代よりも「地域密着」を重視し、レギュラーシーズンは各チームの本拠地で全44試合の半数ずつを催す「ホームアンドアウェー」方式を導入する。上位8チームがチャンピオンシップ(プレーオフ)に進み、初代王座を懸けた熾烈(しれつ)な戦いが来年5月まで続く。
SVリーグは、競技、組織、事業のいずれの面でも2030年に「世界最高峰のリーグ」を目指すと掲げる。参入には6億円以上の売上高や、5千人以上が収容可能なホームアリーナで8割以上の試合を開催するなどの条件を満たす必要がある。
参加チームには地域密着や運営体制の強化を求める一方、サッカーのJリーグやバスケットボールのBリーグのような独立法人化や選手のプロ化は条件としなかった。チーム名も地域名で統一できず、多くのチームは企業名を残したまま戦う。
Vリーグがサントリーなど事業化を志向する企業と、東レなど福利厚生型を望む企業、さらにプロクラブなどが共存していたためだ。チームの多様な在り方は特徴でもあるが、大胆な改革には踏み切れていない。
バレーはかつて、日本のお家芸とされ人気を集めた。男子は1972年ミュンヘン、女子が64年東京と76年モントリオールの各五輪で金メダルを獲得した。しかし近年は世界のトップから遠のいて久しい。
次代を担う中学、高校生の競技人口の減少も深刻だ。地域に根差し市民に愛されるチームに育てていくことで裾野を広げ、ひいては日本代表のレベル向上に結びつけたい。SVリーグは外国人枠を増やし、世界トップクラスの選手も多く参戦している。若者らが憧れを抱くようなプレーで観客増も期待できる。
日本バレーの新時代を切り開くためにも、SVリーグは改革を重ねていかねばならない。
元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年11月24日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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