《発言・01.01》:実演芸術にもっと価値置く国に=尾上墨雪・日本芸能実演家団体協議会理事
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《発言・01.01》:実演芸術にもっと価値置く国に=尾上墨雪・日本芸能実演家団体協議会理事
新たな年を迎え、新春公演が始まる。私たち伝統芸能に携わる実演家にとって、国立劇場は年初めの華やかで初々しい心持ちで立つ特別な舞台だった。それが閉場し、1年以上が経過した。
国立劇場再整備は先の見えない状況が続いたが、昨年末に国が補正予算を計上したことで、我々もようやく胸をなでおろした。しかし、一部予算が上乗せされただけで安心してはいられない。劇場とは単なる建築物ではなく、公演が行われ、観客が入って初めてその役割を全うするのである。日本の伝統ある芸を継承し、創造と発展を支える場として、再整備中と再開場後も、継続的な予算措置が必要であることは言うまでもない。
私も一人の舞踊家として、大切な劇場が長期間失われることに対して大変な危機感を持ち、日本の顔である劇場の整備は、国が責任を持って行うべきだと強く訴え続けてきた。この国で実演芸術を豊かに創造し続けることはできるのか。伝統芸能に関わらずとも、多くの方が疑念を抱いたに違いない。
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元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【発言】 2025年01月01日 02:03:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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