【国原譜・12.22】:徳島県に伝わる阿波人形浄瑠璃を奈良市で…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【国原譜・12.22】:徳島県に伝わる阿波人形浄瑠璃を奈良市で…
徳島県に伝わる阿波人形浄瑠璃を奈良市で鑑賞する機会があった。演目はお家騒動を題材にした「傾城阿波の鳴門」で、幼い娘を思う母の姿を情緒たっぷりに描いた段。
太夫(たゆう)の名調子と人形のこまやかな動きに引き込まれ、1時間ほどの上演があっと言う間に感じられた。終わる頃にはすっかり涙腺が緩んでいた。
人形浄瑠璃は徳島県の伝統芸能で、阿波人形浄瑠璃は国の重要無形民俗文化財に指定されている。芝居を見ているような迫力がどこからと思えば、人形の頭(かしら)が文楽に比べて大きいのだという。
神社の境内など野外舞台で演じるための工夫で、人形の動きも大きい。地方に息づく日本の感性に触れた気がした。
年が明けると、奈良県では多彩な伝統行事が続く。五條市大塔町の天神社で1月25日に演じられるのが惣谷狂言で、こちらは県指定の無形民俗文化財。保存会が振り付けなどを工夫しながら受け継いでいる。
各地の神社で奉納されるおんだ祭もそれぞれ工夫があって面白い。身近な伝統行事を通して地域に息づく感性や祈りに出合いたい。(増)
元稿:奈良新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【国原譜】 2024年12月22日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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