2022年『メトロポリタン美術館展』-エリザベート・ルイーズ・ヴィジェ・ル・ブラン「ラ・シャトル伯爵夫人」
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/a6ad9b0abb244ad613e40282f8fd57ab
ヨハネス・フェルメール
「信仰の寓意」
1670-72年頃
油彩/カンヴァス
(『週刊世界の美術館-メトロポリタン美術館①』より)
「女性はマグダラのマリアを想定しているともいわれ、カトリックの信仰を擬人化して描いた晩年の傑作。頭上のガラス球は心の浄化を象徴し、床に転がるリンゴは原罪を意味する。画中画は画家が所有していた同時期の宗教画家ヨルダーンスの『磔刑(たっけい)』。
世俗的なものを意味する地球儀を足で踏みしだく女性は、進行の擬人化である。押しつぶされて血を流す蛇は、信仰の勝利を示す。注文主は、裕福なカトリック信者だといわれる。」
(2008年『フェルメール展』公式カタログより)
「『信仰の寓意』はフェルメールの晩年の様式をよく示している。一段と概念化が進み、生硬で、様式化が顕著なのである。1654年のフェルメールのカトリックへの改宗は、『マルタとマリアの家のキリスト』のような物語画を好む初期の主題選択に影響を及ぼしたかもしれないが、この作品は、神学的概念を形象化した彼の唯一の寓意画である。『絵画芸術』にきわめてよく似た構図を採っているが、ここには日常体験と似たものは何もない。描かれているのは、青と白の衣を着て、絨毯で覆われた壇上に腰掛ける女性である。彼女は、右手を胸に当て、天井から吊るされたガラス球を見上げ、右足をヘンドリック・ホンディウスの地球儀の上に載せ、開いた聖書、聖杯、十字架の載ったテーブルにもたれている。彼女の前の大理石の床には、りんごと、重い隅石につぶされた蛇が見える。奥の壁には、ヤコブ・ヨルダーンスの大きな『磔刑(たっけい)』の絵が掛かっている。
このフェルメール作品の大部分の要素は、彼が1644年のオランダ語訳で知っていたと思われるチューザレ・リーバの『イコノロギア』に由来する。女性のローブの色彩、身振り、聖杯、つぶれた蛇、りんごは、すべてリーバが「信仰」に関連した二つの記述の中で述べている要素である。リーバが説明するように、彼女の身振りは、生きた信仰が心のなかにあることを示す。蛇は、キリストを象徴する隅石によって押しつぶされている。そして、りんごは原罪を暗示する。エディ・デ・ヨンダ(1976年)が最初に気づいたように、銀色の球体は、間違いなく、イエズス会士の著述家ウィレム・ヘシウスの寓意画(1636年)に由来する。この寓意画には、魂を象徴する有翼の少年が十字架と太陽を映すガラス球を持ち上げる様子が描かれている。添えられた詩は、宇宙の広大さを映し出す球体の可能性を、神を信じる心の力になぞらえている。この作品が注文されたものだったかどうかは不明だが、デルフトのイエズス会にフェルメールが関係していたことを考えれば、裕福なカトリックの顧客から注文されたものだと容易に想像できる。しかしながら、この図像がそのパトロンから指示されたというわけではなかろう。独創的で複雑んプログラムからは、《絵画芸術》におけるフェルメールの寓意の使用が思い出される。その上、リーバは言及していないが、フェルメールが付け加えたいくつかのモチーフ(特に、ヨルダーンスの絵画、黒檀の十字架、その背後の金皮革のパネル)は、彼の家財だった。天に向けて視線を泳がす女性の身振りと表情が、イタリア美術、特にグイド・レーニの作品を想起させることを付け加えてもよいだろう。この作品が描かれたのは、ちょうど、フェルメールがイタリア絵画の専門家として仕事をするために1672年にハーグに呼ばれたときのことだった。」
2018年『フェルメール展』-「マルタとマリアの家のキリスト」
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/4746712a778e601285af4899bc7384c1
2018年『フェルメール展』-「マルタとマリアの家のキリスト」(2)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/004cbcaa9ee908f0ba8a519f1a6141fe
2008年『フェルメール展』より-「絵画芸術」(1)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/f2ad501910ac6a4107c16d85d5cfae57
2008年『フェルメール展』より-「絵画芸術」(2)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/11effaddb89f73955d8d35d0079e11a9
2008年『フェルメール展』より-「絵画芸術」(3)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/5fa725d1bb37bf67386419bbc06d6e04
2008年『フェルメール展』より-「絵画芸術」(4)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/6a11dbd3f99f46e068b14aacc150e562
2008年『フェルメール展』より-「絵画芸術」(5)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/63115588370af07835450577c376de8a
2008年『フェルメール展』より-「絵画芸術」(6)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/24dbc7ad3b1b65fbdabfebe193243142
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/a6ad9b0abb244ad613e40282f8fd57ab
ヨハネス・フェルメール
「信仰の寓意」
1670-72年頃
油彩/カンヴァス
(『週刊世界の美術館-メトロポリタン美術館①』より)
「女性はマグダラのマリアを想定しているともいわれ、カトリックの信仰を擬人化して描いた晩年の傑作。頭上のガラス球は心の浄化を象徴し、床に転がるリンゴは原罪を意味する。画中画は画家が所有していた同時期の宗教画家ヨルダーンスの『磔刑(たっけい)』。
世俗的なものを意味する地球儀を足で踏みしだく女性は、進行の擬人化である。押しつぶされて血を流す蛇は、信仰の勝利を示す。注文主は、裕福なカトリック信者だといわれる。」
(2008年『フェルメール展』公式カタログより)
「『信仰の寓意』はフェルメールの晩年の様式をよく示している。一段と概念化が進み、生硬で、様式化が顕著なのである。1654年のフェルメールのカトリックへの改宗は、『マルタとマリアの家のキリスト』のような物語画を好む初期の主題選択に影響を及ぼしたかもしれないが、この作品は、神学的概念を形象化した彼の唯一の寓意画である。『絵画芸術』にきわめてよく似た構図を採っているが、ここには日常体験と似たものは何もない。描かれているのは、青と白の衣を着て、絨毯で覆われた壇上に腰掛ける女性である。彼女は、右手を胸に当て、天井から吊るされたガラス球を見上げ、右足をヘンドリック・ホンディウスの地球儀の上に載せ、開いた聖書、聖杯、十字架の載ったテーブルにもたれている。彼女の前の大理石の床には、りんごと、重い隅石につぶされた蛇が見える。奥の壁には、ヤコブ・ヨルダーンスの大きな『磔刑(たっけい)』の絵が掛かっている。
このフェルメール作品の大部分の要素は、彼が1644年のオランダ語訳で知っていたと思われるチューザレ・リーバの『イコノロギア』に由来する。女性のローブの色彩、身振り、聖杯、つぶれた蛇、りんごは、すべてリーバが「信仰」に関連した二つの記述の中で述べている要素である。リーバが説明するように、彼女の身振りは、生きた信仰が心のなかにあることを示す。蛇は、キリストを象徴する隅石によって押しつぶされている。そして、りんごは原罪を暗示する。エディ・デ・ヨンダ(1976年)が最初に気づいたように、銀色の球体は、間違いなく、イエズス会士の著述家ウィレム・ヘシウスの寓意画(1636年)に由来する。この寓意画には、魂を象徴する有翼の少年が十字架と太陽を映すガラス球を持ち上げる様子が描かれている。添えられた詩は、宇宙の広大さを映し出す球体の可能性を、神を信じる心の力になぞらえている。この作品が注文されたものだったかどうかは不明だが、デルフトのイエズス会にフェルメールが関係していたことを考えれば、裕福なカトリックの顧客から注文されたものだと容易に想像できる。しかしながら、この図像がそのパトロンから指示されたというわけではなかろう。独創的で複雑んプログラムからは、《絵画芸術》におけるフェルメールの寓意の使用が思い出される。その上、リーバは言及していないが、フェルメールが付け加えたいくつかのモチーフ(特に、ヨルダーンスの絵画、黒檀の十字架、その背後の金皮革のパネル)は、彼の家財だった。天に向けて視線を泳がす女性の身振りと表情が、イタリア美術、特にグイド・レーニの作品を想起させることを付け加えてもよいだろう。この作品が描かれたのは、ちょうど、フェルメールがイタリア絵画の専門家として仕事をするために1672年にハーグに呼ばれたときのことだった。」
2018年『フェルメール展』-「マルタとマリアの家のキリスト」
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/4746712a778e601285af4899bc7384c1
2018年『フェルメール展』-「マルタとマリアの家のキリスト」(2)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/004cbcaa9ee908f0ba8a519f1a6141fe
2008年『フェルメール展』より-「絵画芸術」(1)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/f2ad501910ac6a4107c16d85d5cfae57
2008年『フェルメール展』より-「絵画芸術」(2)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/11effaddb89f73955d8d35d0079e11a9
2008年『フェルメール展』より-「絵画芸術」(3)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/5fa725d1bb37bf67386419bbc06d6e04
2008年『フェルメール展』より-「絵画芸術」(4)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/6a11dbd3f99f46e068b14aacc150e562
2008年『フェルメール展』より-「絵画芸術」(5)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/63115588370af07835450577c376de8a
2008年『フェルメール展』より-「絵画芸術」(6)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/24dbc7ad3b1b65fbdabfebe193243142