今日、愛国者の邪論の住む地域のあるご高齢の職人さんと話す機会がありました。途中は省略するとして、その人曰く、「消費税が8%、10%上がったら、死ぬ人が増える、やっていけないし、病気になっても医者にいけないし、な」「4歳の孫が大人になる頃の日本は潰れている」「なんとかしないといかんと思うが、どうしようもない」「エジプトとかトルコとか、ブラジルなどのように、国民の行動が起こらないのが不思議だ。よくわからん。日本人はダメだ」「消費税分を施工主さんに課すことはしていないので、材料業者はどんどん値上げしてくるので、消費税が上がったら苦しい、やっていけない」「金持ちがカネを出してくれないと貧乏人までは回ってこない」などなど、お孫さんが幼稚園の送迎車で送られてくるまでの、ちょっとした時間に、いろいろ話しました。
そこで、思い出しました。以下の記事をご覧ください。
2013年12月14日放送 8:15 - 9:30 NHK総合 ニュース深読み
http://datazoo.jp/tv/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%E6%B7%B1%E8%AA%AD%E3%81%BF/688233
”認知症800万人”はいかい事故をどう防ぐ?
認知症で徘徊して列車事故にあった家族に名古屋地裁が8月、賠償責任を命じる判決を下した。徳永アナウンサーが介護家族の典型例をまとめた。「5年程前から認知症になった父、母はつきっきりで娘も手伝っている。認知症は昔の事より今の事から忘れていく為理由があって外に出ようとする。外に出て傷を負って帰ってきた為、家族は外に助けを求めようとする。しかしこの段階ではまだ要介護度1、デイサービスと家族で24時間体制で看る事となる。GPSや服に名前と連絡先を書くなどの対処をする。それでも徘徊し、レジを通さずに商品を持って帰ってき家族が謝りに行くなどが起こる。最終的に苦渋の選択でセンサーをつけて24時間出られないようにする。そうするとストレスで認知症の症状が進んでしまう。施設に預かってもらおうとしても入所待ち42万人の状態、グループホームでは高すぎるなどの事から、結局家で看るしかなくなる。認知症の半分の方がこうして家族と一緒に過ごしているというデータもある。そしてセンサーもGPSも突破して父が出てしまう。そして警察に捜査願いを出し、線路の上で見つかった。というようなケースは珍しくない。警察が認知症で行方不明となった方去年1年間で9376人、死亡者は359人、という実態を発表した。」などと解説した。GPS名古屋地方裁判所認知症
なぜ家族が抱え込む?
なぜ家族が抱え込む?という点についてNPOアラジン理事長の牧野史子さんは「基本的に日本では家族がやって当然という考え方がある。初期の場合は特に隠してしまいたい思いが働く。本人も他人を嫌がるなどの理由からサービスを使う時期が遅くなる。」と答えた。医師の新田國夫先生は「もともと介護保険は脳卒中などの身体の不便の為に考えられた。ところが認知症は歩けるなどの事から身体を使えるという事で要介護度が低い現状。」と話した。NHK解説委員の飯野奈津子さんは「介護保険は家族が介護する事を前提に作られた制度、今家族の形態は変わってきている。家族の介護力も低下しているのに制度が追いついていない。」と問題を提起した。アラジン
新田先生は「認知症の人の家族は家族も一緒に介護しないとダメ。」と話した。細田茂樹が「そもそも治るのか?」と聞くと「基本的には治らない。徘徊や行動障害は治る。ケアの質によって安心すればその行動はなくなる事がある。」と話した。飯野さんは「薬で進行を抑えるものがある。早くわかって専門家の人に入ってもらえば本人の混乱も少なくなり症状の進行が遅くなる。認知症について特別な病気だ、などと思い込んでいる方が多いと思うが今高齢者の4人に1人は認知症か予備軍という事、一般的な病気だという事を伝えるべき、これが進んでいない事が問題。」と話した。電車にはねられて死亡し、鉄道会社が家族に賠償請求名古屋地裁が賠償責任を下す判決をした事件で、飯野さんは「介護の現場の方達はずっと家族が看るのは難しいなど反論の声が出ている。」と話した。
もし事故が起こったら?
徳永アナウンサーが安心して徘徊できる町と言われる福岡県大牟田市の活動を解説した。「例えば徘徊者が出た場合、家族は捜索願を出す。そうすると情報が駅・バス・商店・郵便局などに流れる。共通のFAXも同時に流れる。市役所からは4000人の登録者にメールを配信する。みんなで1人を探そうという「徘徊SOSネットワーク」が機能している。保護された方は去年1年間で22人、市民2000人が参加して模擬訓練も行う。中でも声かけ訓練は大切。目線を合わせて話す。まずは挨拶、焦ったりしない事、あくまで人格を尊重して穏やかに。地元の言葉をかける。成功例も出ていて注目されている街。」と伝えた。大牟田市(福岡)徘徊SOSネットワーク
地域でどう支える?
徘徊SOSネットワークについて、飯野先生は「このネットワークが広まる事で認知症についての認識を地域全体で持てる。その意識が大切なこと、今認知症サポーターといって認知症の事を勉強してもらった市民に印としてあげているリングがある。今日本中で440万人いて広がってきている。こういうものをお店の人などがつけていると家族も安心でメッセージにもなる。また、今年度からオレンジプランといって社会福祉士と医師などで形成される初期集中支援チームなどもある。」などと説明した。徘徊SOSネットワーク認知症
対応で大切なことは?
対応で大切なことは?牧野さんは「国が今進めている事の1つとしてオランダで今広く普及された認知症カフェというものがある。日本でも進んできている。このカフェが沢山日本中に広がってほしい」と伝えた。新田先生は「地域、コミュニティが一緒にやる事が大切」と話した。飯野さんが認知症への接し方について「認知症は自分がわからなくなる事をとても苦しんでいる。人としてきちんと接する事が大切。きちんと目を見つめたり優しい言葉で話しかける事が大切。」などと答えた。小野アナが「国がしている事はないのか?」と聞くと新田先生は「新しい介護保険枠内に全てのインフォーマル含めたものをつくろう、という動きはある。医療側としてはかかりつけの医師に早めに相談するなどをなんとかしようとしている。」と答えた。認知症(引用ここまで)
この事件について、以下の記事をご覧ください。
【ゆうゆうLife】認知症男性の列車事故 720万円損害賠償命令で波紋+ ... 2013年11月7日
認知症で電車にはねられ遺族に720万円賠償命令 「酷な判決だな」とネットで疑問相次ぐ 2013年8月13日
鉄道事故判決に疑問あり!認知症患者の「監視責任」を家族に押しつけるのは過酷すぎる 2013年08月29日 20時30分
毎日 特集ワイド:認知症事故と損害賠償 介護現場に衝撃の判決 2013年10月16日
http://mainichi.jp/select/news/20131016mog00m040014000c.html
毎日 特集ワイド:認知症事故と損害賠償/下 在宅ケアの流れに逆行 .2013年10月17日
この事件の最大の問題は、認知症患者とその家族の苦悩に政治が責任を負っていないことです。そもそも、ここに登場する国民を国家が守ることは当然ではないでしょうか。自己責任を課すのは、あまりに単純であり、酷というものです。この手法は、「自助・共助・公助」思想の具体化です。国家の責務の放棄です。これが、いわゆる新自由主義という名の人権思想の形骸化論です。このことに国民は怒らねばなりません。何故ならば、この手口は、他にも使われるからです。いつの日か自分に降りかかってくるからです。しかし、日本国民は、腹の底から怒っているでしょうか。ここに日本国民のイデオロギー状況が如実に示されているのです。
そもそも日本国憲法第25条は何を言っているか、これは憲法前文の恐怖と欠乏から免れる権利、平和的生存権と同様に、国家の責務を明記したものです。これは何も日本だけのものではありません。ワイマール憲法に明記されたものを日本に具体化したものです。以下ご覧ください。このことを自覚し、不断の努力で発展させようとしている国民がどれだけいるか、そこに憲法を活かすか、殺すか、分岐点があります。
「生存権」の歴史は? - 日本共産党中央委員会 2007年5月30日
ワイマール憲法採択(7月31日) - 法学館憲法研究所 2006年7月31日
新しい国会で生存権、義務教育期間の延長が追加される NHKスペシャル日本国憲法の誕生 その3. 2013年8月21日
安倍自公政権の日本国憲法改悪攻撃は全面的です。その意味は、国民の暮らし・命を破壊することに尽きるのですが、ともすると、憲法問題は、一人ひとりの国民にとっては無関係なことのように映っているのではないでしょうか。ここに改悪派のイデオロギーの「成果」があります。と同時に、もう一方では、憲法を活かす派にとっても、憲法の根本である人民に国家が飯を食わせるという側面についての認識の甘さがあると思います。
更に言えば、日本の歴史からみても、人民は、常に飯をどのように飯を食っていくか、そのことで歴史がつくられてきたということの甘さです。飯を食うためには、皆と協力しなければならない、独占する者が出てくれば、飢餓で死ぬ者がでてくる、だから人民はたたかってきたのだという当たり前のことが、実は曖昧にされているのです。
日本の歴史のなかで、為政者が、人民に、その政治を正当化する根拠としていたのは、「仁政」「徳政」でした。天皇家の名前に「仁」をつけるのも、また民衆が「徳政」を求めて「一揆」を起こした中世の民衆たちの生き様も、日本の歴史の特殊性、中国思想があったのです。安倍首相など、靖国史観主義者・皇国史観主義者たちのマヤカシが、ここに浮き彫りになっています。人民の竈の煙をみて「仁政」を行なったとする「仁徳天皇」の事例は、安倍首相には全く見えていません。いや学習していないのでしょうか。或いは意識的に、都合の悪いことはスルーするという本質が出ただけなのでしょうか。生活保護受給の改悪なども、こうした歴史を踏まえない、全くケシカラン話です。
次は、「特定」「秘密」「保護」法に反対を表明していた以下の朝日の社説をご覧ください。増税を課すことで、国民生活がどのように劣化していくか、全く見えていません。いや見えているからこぞ、あれこれの手口を述べることで、煙に巻いているのかもしれません。そもそも税を課すことの意味は何か。それは人民の暮らしを守るためです。ところが、朝日は、「財政難の下、急速な高齢化や少子化への対策を考えると、消費税率は将来、10%超にせざるをえまい」「消費税の2段階増税は、社会保障を安定させつつ財政再建を進めるための一歩」と、スリカエているのです。
「10%までは現金給付などで低所得者対策を講じよう」という「主張」はゴマカシです。3%導入から5%へ、そのことで国民生活に何が起こったか。広く国民に課した消費税導入によって、消費税導入の目的は達成されたのか、全く検証していません。ここにゴマカシの最大の事実があります。
では、百歩譲って、スリカエ・ゴマカシでないとするのであれば、朝日はモノが見えていないと言わなければなりません。何故か。一つには、「財政難の下」をつくってきたのは誰か、全く言及していません。二つ目には、「財政難の下」においても、大儲けをしている勢力、大企業や富裕層の「財産」については、全く言及していないのは何故でしょうか。三つ目は、「社会保障」費の負担を国民だけに課しているのは誤りです。何故「社会保障費」について、国民だけが負担しなければならないのか、全く言及していません。四つめは、資本主義の発展のなかで「社会保障」という考え方が形成されてきたことの背景と原因について、全く言及していないのです。
以上の諸要素をいっさい切り取ってしまって、国家の責任の放棄と国民の責任論を先行させているのです。これでは労働者・国民・中小業者を使って大儲けをしている大企業・財界・多国籍企業を免罪していると言われても仕方ありません。
そもそも、朝日の社説には、この大企業・財界・多国籍企業という言葉すら出てきません。出ている言葉は、「所得が少ない人」「急速な高齢化や少子化」「所得が多い人」「低所得者への対策」「国民の間での支持も高い」「関係事業者」「国民」「中小業者」「消費者」「業者」だけです。ここにゴマカシの最大の根拠があります。
こうした論調のもう一つの特徴は、悪税を掛けられる国民・労働者・農民・中小業者・若者・年金生活者などの連帯を訴える視点が欠落していることです。立場の違いからくる利益の違いを強調することで対立を煽っているのです。
以上のような視点でもって、以下の朝日の記事を読むと、国民分断によって悪政、憲法形骸化を推進する勢力の思惑を糺していかなければならないと思うのです。ということは、消費税増税や社会保障の削減と形骸化に対して、その被害を受ける、恩恵を受けない国民は総団結していく必要があると思うのです。視点は、仲間を広げること、連帯・団結すること、情報を共有すること、意見表明を貫くことです。これが主権在民主義であり、人権思想の具体化と発展であり、平和主義の具体化なのだと思うのです。
朝日新聞 軽減税率/増税の趣旨を忘れるな 2013/12/16 4:00
http://www.asahi.com/paper/editorial2.html
消費増税に伴い、所得が少ない人にどう配慮するか。生活必需品の税率を低く抑える軽減税率について、自民、公明両党は消費税率「10%時」に導入することで合意した。軽減税率は不可欠という立場の公明党が「10%への引き上げと同時に」とする一方、慎重な自民党は「10%になってからのいつか」と解釈する。玉虫色の決着である。私たちは社説で、「軽減税率の導入は将来の課題に」と主張してきた。財政難の下、急速な高齢化や少子化への対策を考えると、消費税率は将来、10%超にせざるをえまい。その段階で、税率が20%前後と高く、軽減税率も採り入れている欧州各国を参考に導入を検討し、10%までは現金給付などで低所得者対策を講じよう。そんな主張である。それだけ、軽減税率には課題が多い。まず、所得が多い人まで恩恵を受け、税収が目減りする。社会保障と税の一体改革の手直しが避けられず、社会保障が手薄になれば、低所得者への対策がかえって弱まりかねない。適用する商品やサービスの線引きも難しい。海外でも「店で食べるか持ち帰りか」など、区分けに苦労している。混乱を避けようと対象を広げると、税収減が大きくなる。もちろん、軽減税率には利点もある。日々の生活には助かるし、国民の間での支持も高い。自公両党は、合意文書で「一体改革の原点に立って必要な財源を確保する」「関係事業者を含む国民の理解を得る」などと課題を列記しつつ、来年末までに結論を出す、とした。その際、忘れてもらっては困ることがある。取引ごとに、適用される税率や税額を記した書類(インボイス)を導入することだ。中小業者は事務が繁雑になると反発するが、税率が複数になれば欠かせない。消費者には、負担した消費税の一部が業者の手元に残る「益税」への不信がある。インボイスは、取引の透明性を高めることにつながる。もうひとつ、確認しておきたいことがある。軽減税率をめぐる自公両党の駆け引きを見ていると、今後、消費税率10%への引き上げ自体を見送ろうという空気が政府・与党内で強まりかねない危うさを感じる。消費税の2段階増税は、社会保障を安定させつつ財政再建を進めるための一歩である。その趣旨を肝に銘じて欲しい。(引用ここまで)