私家版 宮城の野鳥フィールドノート since 1976

以前からホシムクドリはいたが、年々個体数が増加傾向のようだ。他のムクドリ類も何かしら来てはずなので、これから期待。

2009年7月18日(土)羅臼知床ネイチャークルーズ

2009年07月29日 | 北海道
■2009/7/18(土)12:50-15:30【天気】曇り,凪
【場所】羅臼漁港~羅臼沖~羅臼漁港(知床ネイチャークルーズ 船名:エバーグリーン)キャプテン:長谷川さん,スタッフ:佐藤さん
【種名】フルマカモメ(++)暗色型・中間型・淡色型・白色型,ハイイロミズナギドリ,ハシボソミズナギドリ,ハイイロウミツバメ,ウミウ,アカエリヒレアシシギ,トウゾクカモメ2,オオセグロカモメ,ウミネコ,ミツユビカモメ,ウトウ(7科11種)
【クジラ類】イシイルカ,ミンククジラ*,ツチクジラ*,マッコウクジラ *2種はきちんとは見ていない。
【メモ】野付半島から国道を知床羅臼に向けて急いだ。とは言っても冬に同じ道路を走っているので,冬とは違う周りの風景を楽しみながら走った。羅臼町に入ると天気が回復して一時青空が見えた。これはラッキーと思ったが,羅臼漁港に着く頃には空はどんより,いつ雨が降ってもいいような状況で海も霞んで見える。しかし,まさにべた凪といった状態なので,暗くてただでさえシャッタースピードが遅くなるのがぶれからはやや開放される。漁港の近くの食堂でラーメンセットを食べ,12:30に繋留されているエバーグリーンの近くに行ってみると,後から知ったがスタッフの佐藤さんがいて,まずパン屋さんに行ってくださいというので,おしゃれなパンの店come trueに行った。店の隣には写真に載っていた足湯があった。店で乗船券を購入し,漁港に戻った。定刻の1時前12時50分くらいに他のクジラウォッチングのお客さんを乗せて,エバーグリーンは漁港を後にした。アカエリヒレアシシギの群れや,フルマカモメ,ウトウの姿はよく見えたが,ハイイロミズナギドリやハシボソミズナギドリの個体数はかなり少なく,しかも群れではなくて1,2羽で浮いている状態。出た鳥は遠景でも近くでも何でも撮影しながら,進むとフルマカモメがだいぶ多くなってきた。イシイルカはまあ分かったが,ミンククジラがいるといわれたが,たぶんあれかという感じだった。イシイルカは何しろどこに浮上するか分からず,しかも近いのでうまく撮影できず,もっぱら鳥専門と諦めた。そのうち,前方にフルマカモメの大群が浮かんでいるのが見え,キャプテンの長谷川さんが,群れの中へ船を入れてくれた。フェリーではあれが淡色,これは暗色,まれに白色とか遠く(この船に比べたら)飛んでいるのを見てきたわけだが,これはもう何というか,船の周りがウミネコなみにフルマカモメだ。特に停船すると漁船と勘違いして餌がもらえると思っているのか,船尾にたくさん集まってくる。こうなると,iPhoneでも撮影できる状況なので,どれが暗色で中間,淡色かじっくり識別することにした。しかも,ずっと見たかった白色型の個体もいる。マガンの中の1羽のハクガンという感じで,本当に白く可愛いフルマカモメが目の前にいる。暗色型はかなり暗い茶褐色なのでわかるが,いわゆる中間型と淡色型というのがいっぱいいて,これがよく分からない。というのも個体変異があって明確に線引きができないのである。とりあえず,掲載した写真では区別しておいたがちょっと怪しい。フェリーから見るとまあおおざっぱに見えるのだが,ここまで近いとたぶん成鳥でない個体も混じっていて,正直勉強不足という感じなのである。さて,船は再びクジラ探しに出発した。この時間になると,フルマカモメが近くを飛んでも全然撮影する気にならなくなった。硫黄島3島クルーズのカツオドリやアカアシミズナギドリみたいなものだ。しかし,他の海鳥をさがすと,ちっちゃい鳥が時々飛び回っているのが見えた。これはハイイロウミツバメだ。何回か見たので,飛翔型や飛翔パターンは覚えてしまった。そうしているうちに遠くにマッコウクジラが潮を吹いているのが見えるという。おおー,確かに!船がどんどん接近していく。「おおーっおおーきい!・・・・・。」見たことはないが潜水艦みたいなものだ。そして,尾びれをあげて潜水していく。これはすごい。これなら自分にも写真が撮れる。晴れた日に知床半島をバックに撮影できたらもっといいだろうと簡単に想像できる。このでかいのが海中でカチッカチッと鳴いているのにはちょっと違和感があった。「ぐおーっつ」という感じではなく「ゴボゴボゴボ(水音)カチッカチッ」(ガチンガチンとも聞こえた)だ。別の場所に移動し,海中にいるマッコウクジラのこの声をヘッドフォンで聴かせてもらったのだが(ネイチャークルーズNEWSにその時の様子が写真付きで載っている),何とも不思議な感じがした。マッコウクジラが船の下の海底深くにいて,カチカチやっているのである。この経験は,確かに自分にとってクジラへのこれまでの考えを変えるに十分だった。しかもこのクジラは歯があって頭部は体の約半分,3000mも潜れるという。とにかくすごいやつだ。さて,そうしているうちにけっこう寒くなってきて,帰航ということになった。ハイイロウミツバメが飛び交う中,今度はトウゾクカモメが出現,1羽かと思っていたらいつの間にか2羽になって飛んでいた。そのうち乗客はみんなキャビンに入ってキャプテンのお話を聞いていたが,自分はしつこく鳥見だ。最後にミツユビカモメを見て,充実したクルーズが終わった。翌日も午前午後と乗る予定でいたが,あいにく翌日は雨で,結局今回はこの1回となった。エトピリカとかは出なかったが,これはまた来年の楽しみとしたい。メールで事前に情報を何度かいただいたスタッフの大木さん(宮城県出身),同じく佐藤さん,そしてキャプテン長谷川氏に感謝である。
次は,養老牛温泉藤やのシマフクロウに続く。
【フルマカモメの羽衣について】今回の観察で確実なところとしては,暗色型-中間型-白色型という分類である。『海鳥ハンドブック』P19では「暗色型と白色型の中間的な羽色の個体も見られる」としているが,本記事では図鑑の中間的な羽色の個体がまさに観察した個体と同様の羽衣であることから,中間型と表記した。なお,今回のクルーズではこの中間型のフルマカモメが多く,暗色型が2番目に多く,白色型は4羽観察した。淡色型と記載した個体は,どちらかというと中間型をさらに白っぽくした淡色個体で,どちらかというと中間型の特徴を示している。
【写真】
  
■ウトウ/フルマカモメ暗色型/フルマカモメ白色型だが,翼の上面は茶褐色がやや多い個体
  
■上と同じ個体。真ん中は中間型。次は暗色型と白色型。同じ白色型だが,左の個体が右のかなり白い個体より若いのかもしれない。ここは勉強不足でよく分からないが,翼の感じからするとカモメ類と同様の考え方をするとこうなる。
  
■白色型/白色型と暗色型/中間型。中間型が暗色型と同じくらい多かった。明らかに暗色型とは毛色(羽毛)が違っていた。
  
■中間型のアップ写真/中間型の着水。胴体着陸という感じ。
  
■すべて中間型。
  
■これは成中間型の成鳥羽以前の個体?/中間型のアップ写真/白色型
  
■船の周囲を飛び回っていたハイイロウミツバメ
  
■フルマカモメはクラゲをよく食べるというお話/これが淡色型??中間型と比べると明らかに頭部と下面の色が淡く,飛ぶと上面は茶褐色で,『日本の野鳥590』のP24淡色型とかなり似ている。
  
■マッコウクジラ/アカエリヒレアシシギ
  
■ミツユビカモメとトウゾクカモメ


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