私家版 宮城の野鳥フィールドノート since 1976

以前からホシムクドリはいたが、年々個体数が増加傾向のようだ。他のムクドリ類も何かしら来てはずなので、これから期待。

クロハラアジサシ観察図鑑(3)

2012年10月20日 | 観察図鑑
■2012/10/7(日)10:24-16:01(中抜け11:30-15:00)【天気】晴れ
【場所】加瀬沼
【種名】クロハラアジサシ35+(1科1種)
【メモ】大沼には2回ほど通ったが1羽しか見ることができなかったので,鳥の海から加瀬沼に移動してクロハラアジサシを観察した。羽数的には写真判定で31羽+4羽で35羽+とした。加瀬沼は初めてだったので堤に上がって,そこから見える景色のあまりの美しさに圧倒されてしまった。しかも,堤から見える岸近くの岩に白いアジサシが舞い,大きく広がった風景の中,ずっと遠くの対岸にも白いアジサシが群れ,青空に旋回するアジサシのタカ柱や松島のような両岸の美しい林と,とにかくアジサシというよりは,そのオープンな風景に感動してしまった。こういう風景はこれまでの自分のフィールドにはないもので,とにかく感動した。クロハラアジサシだが,一つ不思議なのは15:50頃を過ぎて,群れがどこかへ消えてしまったことだ。また早朝はいないらしく,その間,どこに行っているのかは,沼にこの日1回しか行っていないのでわからない。また,やはり釣人がたくさん岸近くにいると岩には寄りつかず,ずっと遠くの対岸でダイビングしているようだった。こちらの堤の岩で休んだり,その周辺でダイビングして採餌したり,そうかと思うと,青空に大きく舞ったり,時折タカ柱になったり,対岸で採餌したりという行動を繰り返していた。2回目午後3時過ぎに行ったときには対岸にいて,けっこう歩いて対岸近くまでいき,採餌の様子を観察したりしていると,今度は堰の方に行って,そこから反転してこちらの方にやってきて,その後どこかへいなくなってしまったという訳である。岩でじっと休んでいるのかと思えばそういう訳でもなく,けっこう移動を繰り返していたようだった。そのため,岩に降りたところの写真は,時間的には比較的短い時間で,1羽1羽じっくり観察することはできなかった。
【写真】
  
■堤に上がって沼全体を見渡したときに,堤下の岩に降りようとしているところだった/時期が10月初旬なので,冬羽に換羽している状態だとすると,まず2羽の幼羽がいて,そのうちの右の1羽は冬羽への換羽が進んでいる個体だと思われる。嘴がやや赤い個体がいるがこれは成鳥夏羽から冬羽への移行個体と思われる。問題は,その他の嘴が黒の頭がごま塩で,けっこうすっきりした感じの個体がいるが,これが成鳥冬羽なのか,第1回夏羽から冬羽移行個体なのかは定かでない。ただし,図鑑などで越冬地で撮影された成鳥冬羽としされている個体と特徴が同じすっきりした感じの個体もいるので,これは成鳥冬羽だろうと思われる。/この写真の中で少なくとも右から3番目までの個体は成鳥冬羽と思われる。
  
■前掲2枚目の写真と同じだが,左から2番目の個体は成鳥冬羽ではなく,第1回冬羽から第2回冬羽へ換羽中の個体ではないか。幼羽は2羽比較して,第1回冬羽への換羽の様子がわかる。/岩に降りている群れで4羽が幼羽ということがわかる。対岸でも群れで採餌している。
  
■岩から飛び立ったところ/群れの飛翔/左岸を飛ぶ群れ
  
■右岸を飛ぶ群れ/左岸を飛ぶ群れ。
飛翔写真を見ると,明らかにまだ成鳥夏羽の個体や,成鳥夏羽から冬羽へ移行個体,冬羽になっている成鳥個体,おそらく第2回冬羽へ移行していると思われる個体,幼羽個体と,完全にではないが分けられるような気がする。あくまでも気がするであるが。結論から言えば,目の前でたくさんの個体を何シーズンにも渡ってそれぞれの時期に観察しなければわからないし,そうすると今度は個体差が見えてきて,またわからなくなるという事になるが。


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