アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

天満敦子さんの音色

2010年05月03日 | バイオリン
よしぞう実家に一泊したので、朝恒例のブログ更新がありませんでした。

というか、向こうでパソコン貸してもらえば更新できたんだけど、パスワード忘れてたので(^^;; できなかったという…パソコン見なかったんで、たっぷりバイオリンの練習ができましたよ。

行き帰りの電車の中では、
「Chaconne 天満敦子 ヴァイオリン小品集」
というCDを聞いていました。これは、私が今度「愛の挨拶」の伴奏をしようとしていることを聞いて、子どもたちのピアノの先生が持ってきてくれたものです。「とにかく音色がすばらしいのよ」

で、聞いてみましたがほんとに!! 艶があってぞくぞくっとするような音色です。歌い方がまたとても濃くて素敵。それでいてちょっとした傷(鳴りそこないなど)はある演奏です。ライブっぽいというのか。

CDについていた解説を見るとまさにその通りで、この方は、第一回目のテイクに全力投球の人で、次のテイクはたいていうまくいかないし、弾きなおしを拒否られることもあるんだとか。修正・編集をしないということであれば例えば矢野顕子とかもそうらしいが(「スーパーフォークソング」の映画によれば)、彼女だって何テイクかとってそのうちいいのを選んでいたぞ。

このCDのための録音では、演奏の最中にヘリが飛んできたもんで余分な音が入ったっぽいところがあったりしたのに、天満さん自身も演奏を止めないし、スタッフも止めない(っつか、止められない)ということがあったそうだ。

というわけで、一発勝負の生々しさ、そして色っぽい音色の小品集。これはなかなかお奨めですよ。

んー最近、バイオリンの練習をするときに、前よりずいぶんいろいろ音が思うとおりに並べられるようになって、わりとがしがし弾いてたけど、バイオリンってまず「音」だよね?? それに、名手を何人とってきてもそれぞれにこんだけ音色って違っていて、その人の音というのがある楽器。もっと、初心者は初心者なりに、「今日出せる音」の範囲でしかなくても丁寧に出して丁寧に聞いていくべきなのかも。いつか自分の音が作れるように。

このCD解説に書いてあった、天満さんの弦交換風景がまたすごい。「2~30本はあろうかと思われる高価な輸入弦の束から、無造作に一本を抜き出し」弦を張ってちょいと試し、気にいらずに投げ捨てるまでほんの2~3分。それを繰り返して新品の弦を7~8本、床に散らばらせたところでようやくお気に召して本格的に調弦。そして床に落ちている新品の弦をすべてゴミ箱に放り込み、何事もなかったかのように…。

四本の弦にそれぞれお好みのメーカーがあるそうなのだが、そのうちA線の分だかが「音は良いけれど品質にバラツキがある」ということでこのようなことになるのだそうだ。

この楽器、この弓、この弦、これでなくてはというところまで到達するための試行錯誤と、それからそれを選び抜くポリシーと耳と腕と。

考えれば気が遠くなりそうなこだわりの集大成である。四十過ぎてバイオリンを習い、一生、ストラディバリウスを買う財力もそれを使いこなす腕も持つことがないことがどんなに明らかでも、音色にあこがれてバイオリンを始めたからには、あまり「音色」といい加減な付き合い方をしちゃバチが当たる、と思うのです。
コメント (2)
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