カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

セールストークとその回答

2013-08-02 19:40:17 | 即興小説トレーニング
「人間が所有した物には多かれ少なかれ『念』が残ります」

 ふんふん。

「それは当然ながら良い『念』も有れば悪い『念』も有ります」

 はいはい。

「良い念としては、例えば親や友達が貴方を気にかけてプレゼントしてくれた物に宿りやすいですね」

 ほー。

「…… そして悪い念の典型的な例は、他人の妬みや憎悪を受けた高価な物です。貴方にその気がなくても、その高価な品物を見せられた相手が羨ましいと感じたら、その念が物に宿ります」

 それで?

「で…… ですから貴方は早急に身の回りにある悪念の宿った高価な品を手放さなければいけないのです。そうしなければ次々と悪念が悪運を呼び込んで貴方の生活を滅茶苦茶に破壊しかねません」

 それは大変ですな。ところで一つお伺いしても宜しいですか?

「な、何でしょうか?」

 親や友達が私を気にかけてプレゼントしてくれた良い念の宿る素晴らしい物に、どうして浅ましい妬みの悪念が入り込む余地があるのですか?私の大切な人たちの良い念というのはそんなに脆弱なものなのですか?返答次第によってはこちらも考えがあります。しっかり答えてくださいよ、さあさあさあ。  
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妄想の天使

2013-08-02 19:17:08 | 即興小説トレーニング
 何かのお礼で天使(だったか?)に己の潜在能力を目覚めさせて貰ったけれど、それは会社の最新鋭コンピュータの演算能力と同等の暗算能力だったと言う話は、星新一のショートショートだったろうか?

 昔から記憶力はあった方だと思う。特に記憶の隙間とでも言うべき『大体の人間は概要を覚えているが、詳細は不分明』のような事柄の詳細は殆ど確実に忘れなかった。おかげで学生時代は友人やクラスメイトにさんざん記録機扱いされてウザかった。その当時は確かにウザいと思っていた。

 今となっては僕に昔の出来事を聞いてくる相手はいない。昔に比べて記録メディアが飛躍的に発達したので、わざわざ他人の不確かな記憶に頼らずとも正確な情報を得られるようになったからだ。

 そんなわけで僕は、厭になるほど鮮明な記憶の中にある光景を都合の良いように脚色し、捏造を加え、安易なオチを付けた文章を書きながら売れない物書きをしているわけだ。

 もしも天使に願いを叶えて貰えるのなら、是非とも文才を目覚めさせて貰いたいものだ。まあ、僕の中にそのようなものが最初から有ればの話だが。

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