「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

       「産業報国」 トヨタの國際企業感覚

2010-02-26 06:33:14 | Weblog
トヨタ車の大規模リコールをめぐる米下院の公聴会で"大変申し訳ない”と謝罪する
トヨタ自動車の豊田章男社長をテレビ画面でみた。半世紀におよぶ米国での歴史
があり、世界でも有数な國際企業だと思っていたが、なぜ、こんな初歩的なことで
問題を起こすのか驚いた。

僕らは戦前トヨタの創始者、豊田佐吉のことを修身の教科書で学んだ。詳しい内容
は忘れてしまったが、たしか佐吉が貧しい農家に生まれたが、創意工夫の発明好き
で当時としては画期的な自動織機を発明、お国のために貢献したという内容だった。
その佐吉の創業精神を受けて1935年、トヨタでは「豊田綱領」が作られ、これが今で
もトヨタの社是となっている。その一つには「上下一致、至誠業務に服し産業報国の
実を挙ぐべし」とある。

豊田章男社長は米下院での証言で会社の成長のスピードが速すぎた。つまり急成長
路線が今回のリコールの原因の一つのように述べていた。安全品質量産の順位を間
違えていたという意味なのだろうか。だが、僕は下院のジャパンバッシングともとられる
証言を聞いて、果たしてそれだけだろうかと思った。

「豊田綱領」にある”産業報国"的な考え方、例えば、リコールのような重大決定は日本
の本社が握っていたという、ある意味では日本中心主義が國際企業としてのトヨタの発
展の足かせになっていたのではないだろうか。