「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

ブルネイ 戦時下の日本人知事の記録

2014-03-06 06:21:35 | Weblog
先日外務省南東アジア課から電話があり、昨年外務省経由で在ブルネイ日本大使館に贈った戦時中の日本軍政下でブルネイ県知事をしてた故玉木政治氏の当時の記録「妻に捧ぐ南方生活三年」が今、貴重な資料として現地の研究者の間で高く評価されているという。玉木氏は昭和19年3月から終戦まで、ミリ州総務部長兼ブルネイ県知事として勤務、戦後の29年、上記標題の本をガリ版印刷して出版した。

僕はこの本を亡き親友の夫人から借りて読んだが、内容が貴重な体験なので、夫人の了解を得て、一部を英文に抄訳して現地大使館に贈った。外務省からの文書によると、早速、大使館ではブルネイ大学の研究者に、この本を紹介したところ、戦時下のブルネイの記録や文献はほとんどないため、貴重な資料として、出来れば全文を英訳したいという動きも出てきているようだ。大使館では、とりあえず、この本をPCの「word」に転写して残す作業を終えた。

ブルネイはボルネオ島北部の南シナ海に面する面積三重県程度、人口40万人の王国だが、豊富な石油と天然ガスの収入により所得税、住民税ゼロという豊かな国だ。戦前までは英国の保護領だったが、日本の軍政下ではミリ州のブルネイ県であった。玉木氏はブルネイに滞在し、同時にミリ州総務部長として州内各地を訪れ、これを日本内地の夫人宛に手紙で送っていた。「妻に捧ぐ南方三年」は、この手紙をもとに戦後、玉木氏が補筆したものだ。(内容は小ブログ2013年5月4日参照)

戦後70年近く、こういった戦時中の記録が散逸し始めてきている。”侵略戦争”という名の下に、3年8か月の日本の軍政は、まったくゼロ評価され忘れられてゆく。戦友会誌などの記録も一か所に集めて保存する機関があってもよいと思うのだがー。