「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

痛々しさだけ残った石原元知事の百条委喚問

2017-03-21 07:20:45 | 2012・1・1
豊洲市場移転問題を検証する都議会の模様を昨日、テレビ中継で見たが喚問に出た石原慎太郎元知事の姿は痛ましくて見られたものではなかった。脳梗塞を患われ記憶が薄いと、最初から”予防線”を張っていたが、首筋には大きな絆創膏も見られ、歩く姿もよろよろである。往年の「太陽の季節」の勢いは見られない。

”天気晴朗なれども波高し”-百条委出席に先立ち、石原氏は記者団にその心境を語った。日露戦争の日本海開戦のさい、秋山真之参謀が大本営に送った電文で、開戦地の天候を伝える一方、艦隊の士気旺盛を語ったものだが、果たして今の若い世代の何パーセントが真意を理解しているだろうか。

結果として、百条委の喚問は石原氏の健康を配慮した1時間という時間制限による細切れ質疑もあって新たな成果はなかった。”核心的証言なし”(産経新聞)、肝心の土壌対策交渉”報告記憶ない”(読売新聞)という状態で、なんのための百条委喚問なのかわからない。老獪な石原氏にやりこめられたように見える。

石原氏が喚問でのやり取りの中で、小池百合子知事に対して豊洲市場へ即時移転を迫ったのは余計なことだ。百条委が過去の経緯を検証しているさ中である。その真相究明中、いわば自分のハエも追えていないのに、小池知事の市場延期決定は議会無視とは理解できない。都民は、昨年、完全実施されるはずだった盛土が建物地下にはなく、汚水が溜まっているテレビの画面を憶えている。専門委員会も有毒の地下水をまだ検査中で最終的な結論は出ていない。この段階での安全と安心との取り違えという小池批判はどんなものか。石原氏には失礼だが、本当に”字も書けないし、絵もかけない”なら、ここは何もいわず、”沈黙はカネ”がよいのでは。