「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

聖徳太子の名前が消えないでよかった!皇国史観で育った世代 

2017-03-22 06:55:32 | 2012・1・1
次期学習指導要領改定案から消えかかっていた「聖徳太子」や「鎖国」が学習現場からの強い反発もあって復活したそうだ。当然なことだ。文科省のお役人たちは、いったい何を考えているのだろうか。正式な呼称ではないとして「厩戸皇子」にしても「聖徳太子」はすでに1万円のお札として親しまれており、混乱を招くだけで何も意味がない。

僕ら戦前昭和の時代”万世一系”の皇国史観で教育を受けた僕ら世代は、80年近く経った今でも変な混乱がある。天照大神、須佐鳴命、大和武尊、神功皇后―いつまでが歴史か神話か判らない。今の若い世代には、なじみの薄くなった「国史」上」の人物、楠正成、本居宣長、高山彦九郎。二宮尊徳(皇国史観には無関係なのだが)などなどの名前をはっきり覚えている。皇紀で教育を受けたから仏教伝来は”オイチニ、オイチニ”(1212年)である。

鎌倉に大塔宮(おおとのみや)という南北朝時代,建武の復興に功のあった護良親王が、足利尊氏によって幽閉された土牢がある。皇国史観に立てば、尊氏は国賊であるから、戦争中、大塔宮は、東京の小学生の修学旅行の定番のコースとなっていた。しかし、戦後はどうなのだろうか。観光客があまり訪れるという話は聞かない。

文科省の役人が、どのような視点から「聖徳太子」や「鎖国」を指導要領から消そうとしたのか解らない。それより、僕ら世代から言えば、僕らが生きていた昭和初期の時代について、一方的に抹殺するのではなく、正しい視点に立って総括し、後世に伝えて貰いたいものだ。