「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

半世紀前も今と変わらない混乱 シリアは主権国家なのか

2017-04-10 05:36:12 | 2012・1・1
昨日の日曜日の早朝(日本時間)トランプ大統領から安倍総理に電話がかかってきて45分にわたって日米会談が行われた。会談後安倍総理は記者団に、米国が化学兵器拡散阻止のためとったシリアへのミサイル攻撃は、世界の平和安全のための強いコミットメントであり、全面的に支持すると語った。早速、シリアのアサド政権を支持するロシアや北朝鮮などから、米国の攻撃は主権の侵害だと強い批判が起きている。

シリアの内乱が起きてから6年以上になる。僕は1956年から70年まで、新聞社の外信部で中東を担当していたが、最近のシリア情勢はよく理解できない。ロシアが昔から支持するバシャ―ル.アサド政権があって、これに対して欧米が反政府勢力を支持して戦闘が続いている。そこへ割り込むようにしてISが勢力を伸ばしている。最近、後ろ盾のロシアと米国との合意でアサド政権と反政府勢力との間の戦闘が治まる兆しが見えたが、今回のミサイル攻撃で、また、元の黙阿弥だ。

シリアの混乱は今に始まった事ではない。僕が現役の記者だった頃も同じだった。クーデターは年中行事で1958年、アラブは一つという当時のエジプト大統領ナセルの掲げる旗のもとで、エジプト、シリアが合邦して「アラブ連合」(UAR)が結成されたが、僅か3年でシリアが離脱してしまった。そして63年には、今のアサド政権の基幹となるバアス党(アラブ復興社会党)がクーデターで政権を握り、現大統領の父親で、ソ連(ロシア)で訓練を受けた航空将校のハーフィ―ズ.アサドが国防相につき、その後大統領にに就任している。

バシャ―ル.アサド政権は父親のハーフィ―ズ政権から数えれば、二代半世紀近くにわたっているが、相変わらずの混乱である。果たして、この国には主権があるのだろうか。他国から攻撃を受けても”侵害”だと非難する資格がない。かっての西欧殖民地主義によって一方的に”線引き”された国家の悲劇であるが。