公的年金だけでは2000万の赤字だとする、金融庁審議会の報告書について麻生太郎金融担当相は”世間に著しい不安や誤解を呼ぶ。政府の政策のスタンスと異なる”として報告書を受け取りを事実上拒否した。参院選を前に野党から強い反発が出ており、これでは、第二の”消えた年金問題"にもなりかねない,とする麻生大臣の政治判断なのだろう。しかし、問題は最終的に解決されたのであろうか。
審議会の報告書は総務省の家計調査を基に、年金受給の現況について数字的に明らかにしたものと僕は思うのだが、麻生大臣は”(年金)受給者の中には貯金を切り崩している者もいるが、息子と一緒に暮らしている者もいて平均値を出すことはできない”と述べ、政府の政策スタンスについても”公的年金は老後のをある程度賄うものだ”と述べている。これでは、世間一般の公的年金への期待とはまるで違う。
十年一昔というが、2009年6月の今頃は政局は”麻生あろし”の風が吹きまくっていた。「アニメの殿堂」をめぐる与党内の対立や、野党民主党の人気で麻生内閣の支持率は10%台を低迷していた。そのころ書いた小ブログは麻生総理と鳩山由紀夫民主党代表との党首会談は、麻生総理がダウン寸前、タオルが投げこまれてもよい状態だと評している。
麻生大臣は失言癖がある。俗っぽい言葉でいえば、お育ちがよいためか庶民感覚から遠い。報告書の”赤字“という表現がまずかったという問題ではない。公的年金だけで老後が送れないのは厳然たる事実である。問題は百歳時代の到来を前にして、どうしたらよいかの問題である。幸い”安倍おろし”の風はないが、再び麻生大臣の退陣を求める風が強まり、安倍内閣の命取りにならないよう大臣は発言に配慮してもらいたい。