「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

僕の戦争体験が「孫たちへの証言」の本に掲載

2019-08-08 04:58:10 | 2012・1・1

個人の戦争体験を活字として後世に残そうと運動している大阪の新風書房の「孫たちへの証言」32集に応募したところ、74の入選作品の一つに選ばれた。僕の原稿は、敗戦直前の昭和20年6月から7月にかけて、中学3年生であった僕が、敵の本土上陸迫る、千葉県東葛飾郡梅郷村(流山市)の利根運河の江戸川河口で、浚渫工事に動員させられた時の体験だ。74年経った今でも当時14歳だった少年の過酷な体験は忘れられず応募した。

「孫たちへの証言」第1集が出版されたのは昭和63年だそうで、それから30年余その、新風書房が出版した個人の戦争記録は32集で2612にのぼる。戦争が年々風化しつつあるというのに大変な記録である。しかし、残念なことは、出版主で編集責任者である福山琢磨氏(85)がPR誌で書かれているが、高齢化が進み、直接戦争を体験した世代が少なくなり,他人からの伝承による作品が多くなってきたことだ。事実、最新の32集では「体験編」と「伝承編」と二つに分けて編集されている。

今や戦争を体験している世代の中心は戦争中都会から地方へ集団疎開した年代で80歳代である。そのあとの世代といえば、戦前生まれといっても、孫たちへ伝える戦争体験はない。福山氏はPR誌の中で、”(「孫たちへの証言」出版は)は、継続か終刊か迫られる選択”と書かれているが、確かに直接、戦争を伝える世代は減少してきた。しかしなんとか戦争が風化させてはならない。貴重な戦争記録として既刊の「孫たちえの証言」を例えば再編集して文庫本といて残したいものだ。