ベッラのブログ   soprano lirico spinto Bella Cantabile  ♪ ♫

時事問題を中心にブログを書く日々です。
イタリアオペラのソプラノで趣味は読書(歴女のハシクレ)です。日本が大好き。

マリア・カラス、ヴェルディ「ドン・カルロ」~エボリ公女を歌う(コンサート)

2011年02月13日 | オペラ
Callas O don fatale (Eboli) Don Carlo 1962


この演奏はハンブルグでのカラスのコンサートから。
曲はヴェルディ「ドン・カルロ」からエボリ公女のアリア<呪わしのわが美貌>である。

「ドン・カルロ」からは二人の対照的な女性が登場する。
ひとりは、フランスから政略結婚でスペインのフィリッポ2世と結婚させられたエリザベッタ、もともとフィリッポ2世の皇子、ドン・カルロのフィアンセだったが、皇子カルロは彼女を「母上」と呼びながらもあきらめきれない。
今はフィリッポ2世の王妃となったエリザベッタはカルロへの愛をふりきるかのように「フランドルへ行って民衆を救いなさい」と言い渡す悲運のヒロイン、ヴェルディの典型的なヒロインである。

もう一方は、スペイン宮廷の第一の美女であるエボリ公女、気性が激しく皇子カルロにあこがれているが、カルロは王妃エリザベッタをあきらめきれない、そこで王妃を陥れるのだが、やがて自分の罪深さを悔い、このアリアを歌って皇子を危機から救う決心をする。
本来はメッゾソプラノが歌うが、カラスが歌うと懺悔する女の弱さとまだ皇子カルロを思う強さが見事に歌われている。


このころのカラスはオナシスと浮名を流し、ゴシップが絶えないころであった。体重を減らしてスマートな美女になっているが、歌は素晴らしいとはいえ、かつての声の威力はない。
しかし、この見事な表現はやはりプリマの中のプリマドンナ、特筆すべきものである。
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チョンキョンファの弾くブルッフ「ヴァイオリン協奏曲」第3楽章

2011年02月13日 | 芸術
Kyung Wha Chung plays Bruch violin concerto 3rd mov.


なんという激しい演奏、このような「雌獅子」の演奏をするのは、ソプラノのマリア・カラス、ピアノのマルタ・アルゲリッチ、そしてヴァイオリンのチョンキョンファである。

私は以前この3人の女流演奏家を「男性より激しい」と評したが、最近は「このような演奏は一人称単数」と思うようになった。
自分自身を語っているにすぎない。

昔はカラスもアルゲリッチも、このチョンキョンファも好きだった。それをひっくり返したのがオペラのカップッチッリであり、ベルゴンツイだった。
そしてピアノのリヒテルやホロヴィッツ、さらにヴァイオリンのアイザック・スターンのユーモアと楽しさあふれる広い音楽性、しかし突如あらわれるものすごいスケールの激しさ、それはさまざまな要素をからめてフィナーレへと持って行き、力だけではない広さを感じたものだった。

チョンキョンファはヨーロッパではその強さと潔癖さに「巫女」と絶賛され、彼女の師であるシゲティは「ヨーロッパのマネをするのでなく、オリエントの良さを出すように」と教えたという。
それにしても時代の流れというか、女流はまた優しさに戻ったような気がする。
あの美しきチェリスト、オーフラ・ハーノイのように。
もちろん、優しさと奥行きのあるエレガントで。

コメント (8)
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