ベッラのブログ   soprano lirico spinto Bella Cantabile  ♪ ♫

時事問題を中心にブログを書く日々です。
イタリアオペラのソプラノで趣味は読書(歴女のハシクレ)です。日本が大好き。

フィオレンツア・コッソット、フランコ・コレッリ、夢の共演 ヴェルディ「アイーダ」

2012年12月27日 | オペラ
Fiorenza Cossotto & Franco Corelli: L'aborrita rivale a me sfuggia ... Gi�・ i Sacerdoti adunansi


全盛期の豪華な名歌手の共演、「声の饗宴」といわれるヴェルディのオペラ。
なんという強靭な声か、実際に実演を聴くと、ホールが狭いバスルームのように響いてくる。
オーケストラなど蹴っ飛ばして、・・・これって声の勝利、声の奇跡!
このような最上の声を維持するために、声楽家は自分の生活すべてをコントロールし、ベストにもっていく、まさに「修行僧」のような生活、これを知っている人は声楽家が華麗な舞台とは違い、驚くことだろう。

コッソットはレコード録音は少ない、しかしヴェルディの「アイーダ」「ドン・カルロ」「トロヴァトーレ」はある。
しかし、最高の録音状態であっても、その実演における凄さは録音で完璧にわからなかった。
全く隙のない完璧な歌唱は、客席にいて「好き嫌い」など吹っ飛ぶほどの衝撃を受けたものだった。

コレッリ相手でも一歩も引かない。 
「竹を割ったような性格、オペラ界の雌獅子」とも称され、その声は「筋肉質」であった。

かつてマリア・カラスが富豪オナシスと浮名を流し、オペラ歌手としてコンディションも崩し、その声はみじめなものになっても、共演の歌手たちは声を抑えて彼女をもりたてようとした。
演出家のゼッフレッリなど、カラスのためにとことん気をつかい、周りを抑えた。

しかし、その時、コッソットは豊麗な美声を響かせ、カラスの無残な声が誰の目にも明らかになった。
これは客席が納得した。
声が衰えたら去る、というのはオペラ歌手の宿命なのだ。
聴衆に自分の最高を聴かせるのが最高の礼儀である。
それまで気味悪い「抑えた声」の歌手たちと女王然としたカラスに食傷気味だった客席は、息をのんだ。

演出家ゼッフィレッリは怒って「カラスをこのような目にあわせたコッソットを許さない」といい、マスコミに言いふらした。 

私はコッソットと短い会話をした、彼女は夫であるイヴオ・ヴィンコを大切にし、舞台よりも家庭にいる時が好きと言い、一人息子のロヴィをかわいがっていた。
私がご主人のヴィンコに声をかけたとき、コッソットの嬉しそうな表情と声を忘れられない。
しかし、あまりにも偉大な名歌手を妻にし、その妻が家庭と舞台と両方を必死でこなしても、晩年離れていった夫ヴィンコ氏、コッソットはショックで舞台からも退いていたが、70歳前後で復活した。
しかし、高齢でその時はかつての華麗な声はもはや望むことはできなかった。

コメント
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