ベッラのブログ   soprano lirico spinto Bella Cantabile  ♪ ♫

時事問題を中心にブログを書く日々です。
イタリアオペラのソプラノで趣味は読書(歴女のハシクレ)です。日本が大好き。

宮崎正弘先生から「書評」のメルマガが届いています。

2014年05月19日 | 政治

あのスノーデンは米国から「売国奴」とののしられながら機密情報をなぜ世界に漏洩したのか、錯誤の正義感と使命感から?

  
グレン・グリーンウォルド『暴露 スノーデンが私に託したファイル』(新潮社)

 スノーデン事件は世界に衝撃をもたらし、オバマ外交は一時的に頓挫を余儀なくされた。なにしろ同盟国の指導者の携帯電話も米国は盗聴していたのだ。とりわけドイツのメルケル首相は怒った。うまい演技だったとする見方も有力だが。。。そしてクリミア、ウクライナ問題で欧米の制裁決議に温度差が露呈した。

 衝撃は四つある。

 第一に米国内で機密情報に接する仕事に従事している関係者は30万人とも言われているが、かれらの任務遂行を脅かした。
米国マスコミ、議会はスノーデンを犯罪者扱いするばかりと想像されたが、なんと連邦議員の多くが逆にNSAの予算削減を提案した。先頭に立ったのは保守派でティーパーティに近いロン・ポール議員だった。
あまつさえ西海岸を中心にスノーデンの行為を英雄視する向きも顕著となり、ハリウッドで映画化されるという時代の空気の激減ぶりがある。アメリカはWASP主導の国ではなくなったのだ。

 第二にグーグルやマイクロソフト、アップル、ヤフーがNSAに協力していたことが暴露され、世界市場で米国製が悪影響を受けた。

 第三は同盟国の指導者の電話も盗聴してきた事実がばれて、米独関係が一時的に冷却するなど、計り知れない外交上のデメリットが生まれた。(とはいえ、橋本政権のとき既に米国が日本のあらゆる機関を盗聴していることを認識しており、その後、日本の政治家と高級官僚は電話での会話内容に注意しており、ドイツは知らなかったジェスチャーで外交得点をあげただけで事前から知っていたのである。
ちなみに「ミスターYEN」といわれた榊原英資(当時財務官)はワシントンから本庁への電話も小銭をジャラジャラもってホテル近くの公衆電話からかけたことを回想録に記している)。

 第四にスノーデンの秘密暴露によって中国と露西亜がおおいに得点を挙げた。とくに中国は習近平とオバマ会談の直前であり、米国側は中国のハッカー攻撃を正面から非難できなくなった。
またスノーデンはその後、ロシアへ亡命した。
 総じて言えることは「個人のプライバシーが監視されていることであり、これはジョージ・オーエル『1984年』の世界ではないか」という不安と疑問が西側社会に広がったことである。

 さて本書はスノーデンが暗号によって、筆者グレンにネットを通じて接触をしてきた時期から、これは本物という臭いをかいで香港のホテルで十日間をインタビューと検証に注ぎ込み、その過程での出来事を基軸に前半部を仕上げている。
著者のグレンはニューヨーク生まれだが、ブラジル在住で、英紙『ガーディアン』に寄稿するジャーナリスト兼弁護士。世界の機密情報の専門記者としてブログを持つ。


▲最初の暗号名は「キンキナトゥス」だった

スノーデンは最初「キンキトゥス」と名乗って接触してきたという。でも「キンキナトゥス」って?
 キンキナトゥスは紀元前五世紀ごろの農民上がり、ローマを外敵から守ったが、「ローマを滅ぼすと、ただちに進んで政治権力を返上し、ふたたび農民にもどった」として英雄視される。
 ではなぜ、スノーデンはスクープ先のメディアを米国の新聞をえらばす、漏洩報道メディアを英国に絞り込んだのか?
 その理由はすっぱ抜きで有名な「ワシントンポスト」が「体制派メディアが政府の秘密を報道するときの暗黙のルールに律儀にしたがう」であろうと推測できたからで、また事件直後から、むしろスノーデン攻撃に躍起だった「ニューヨークタイムズ」も同じ理由。現に後者は2004年のNSAの捜査令状なしの盗聴事件のすっぱ抜きをブッシュ政権の圧力で十五ヶ月も待たされ、ブッシュ当選後に報道した「前科」があった。
 しかし本書には書かれていないが、他方において米国のネット偵察により、中国の共産党高官が一兆ドルを海外に運び出して密かに隠匿している証拠もつかんでおり、また欧米が導入を禁止している中国の華為技術などが、「トロイの木馬」だと繰り返し批判されているのも、当局が「たしかな証拠」を握っているからであろう。
 評者(宮崎)は嘗て拙著『ウィーキリークスでここまで分かった世界の裏情報』(並木書房)のなかでも指摘したことだが、アサンジをひたすら「英雄視」する左翼ジャーナリズムとは一線を画したいし、スノーデンの行為も素直に賞賛する気持ちはない。国家の機密を自らの明確な意志で漏らしたことは祖国への裏切りである。
古来より基本的に国家には機密があるものであり、機密のない日本が、世界の裏側におきている実態を知ることは果てしなく重要なことではある。だから本書の読後感を率直に言えば後味が悪い。

    
★ 宮崎先生からのお知らせ

いま、もっともホットな議論=「集団的自衛権」の公開講座
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『憲法解釈の変更』?
「グレーゾーン」?
絶好のタイミングで、もっとも知りたい情報を解読します!
「集団的自衛権」で日本中は揉めています! 世界も注目している日本の安全保障、現場の参議院議員から、もっともホットな議論!

 第253回国防問題研究会公開講座(三島研究会との共催です)

とき   5月23日(金曜日) 午後六時半(六時開場)
     どなたでもご参加いただけます
ところ  アルカディア市ヶ谷 会議室(看板は「三島研究会」です)
講師   宇都隆史(参議院議員、防衛大学、松下政経塾出身)
http://www.utotakashi.jp/
演題   「対中戦略と我が国防衛体制の問題点」
会費   おひとり二千円(会員は千円)


★ 宮崎先生、講演旅行中、メルマガはお休みということでしたが、ご多忙な合間をぬって届けて下さっています。

  きっと講演旅行先でも「速足」で・・・でしょうね。



 ★ところで話は変わりますが、BS11の放送で共産党の小池議員が単独出演している番組を見てしまいました。
『集団的自衛権、共産党はどう戦う?』です。(司会は露木茂氏)


≪集団的自衛権について≫
反対54%
賛成39%
不明7%

≪憲法解釈について≫
反対56%
賛成37%
不明7%

共産党の小池議員、話にならない、・・・お気楽なお話でした。

ベトナム・フィリピンのことは国際上許されないと思うが、中国が軍事的強化をしている、
現状からするとあの問題は労働紛争が関わっているし、中国の一方的行動である、許されない。
日本はそれを「尖閣」に置き換えて考えている。

「尖閣」は日本が実効支配しているので外交交渉でやるべき。
徹底的に議論して国際的にも歴史的にも日本の領土だから、堂々と主張すル必要がある。

グレーゾーンについて
海保でガードすべき問題、漁民が占拠したという場合は、自衛隊を出せない。
そういう事態に至らないような外交的な配慮をし、首脳会談もすべき。

(自民党の加藤紘一さんが赤旗に寄稿している。古賀誠さんも共産党に近づいてきている・・・と誇っていましたよ!!
 交流。共闘も考えているって・・・)


★ 共産党はTPPなど農業政策は説得力もあるし、国産の食料を確保することは「自衛」にもなる、というのは賛成なんですが、
  防衛については「高みの見物」のような気がします。
コメント (6)
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三橋貴明氏からメルマガ~「中国とユーロの国が似ていること」について

2014年05月19日 | 政治

From 三橋貴明

中国とユーロ圏の国が似てくるとは、不思議な時代が来たものです。
中国は「中国共産党というグローバリスト」に支配され、人民が塗炭の苦しみにあえいでいます。
共産党官僚や太子党は、中国人民について「同じ国民」という意識など微塵も持っておらず、人民の健康・福祉や国内の環境に配慮せず「ビジネス」を推進しました。十分な所得を稼ぎ、蓄積を終えた共産党官僚や太子党は、資産を外国に移し、家族を逃がし、最後は自らも脱国する、と。

すなわち、共産党官僚や太子党にとって、中華人民共和国とは「所得を稼ぐ外国」とイコールという話です。
イギリスがインドで、フランスがベトナムで、アメリカがフィリピンで、オランダがインドネシアでやったこと「そのまま」を、中国のノーメンクラツーラ(赤い貴族)たちは中国国内でやっているのです。

何しろ、中国人民には選挙権がないため、彼らは真っ当な民主的プロセスで状況を改善することができません。
結果的に、人民は請願や陳情、最後には暴動やテロで打開を図ろうとします。
しかも、中国にはウイグル人やチベット人など、共産党の暴力で支配された異民族が暮らしています。
無論、彼らも選挙権がなく、民主的な選挙で状況を改善することはできません。結果、ついにテロが続発する事態に至ってしまいました。
習近平国家主席を狙ったウルムチのテロは、中華人民共和国発の「国家主席を狙ったテロ」なのです。

ユーロ圏では、「ユーロに加盟している」ために、各国で民主主義がまともに機能しなくなっています。
失業率が26%を上回るギリシャでは、政府に金融政策、財政政策の主権がなきも同然で、増税や政府支出削減といった緊縮財政が強行されています。
ギリシャでは失業者が公的医療サービスを受けられず(本来、逆にするべきように思えますが)、民間医療サービスも「カネがない」ために享受できない貧困層が医療難民化しています。
そこに「援助の手」を差し伸べているのが、移民排斥(移民制限ではない)を掲げる極右政党「黄金の夜明け」です。

黄金の夜明けは、フランスの国民戦線やスウェーデンの民主党などとは異なり、正真正銘の「極右政党」になります。
国民戦線やス民主党は「移民を制限・管理するべし」と訴えているのですが、黄金の夜明けは「移民追放」が公約です。

本来、民主主義がまともに機能し、それなりの経済成長が達成できている平時には、黄金の夜明けが支持を伸ばすなど考えられないことです。ところが、現実には黄金の夜明けが様々な福祉プログラムを貧困層に提供し、着々と支持を固めつつあるのが現在のギリシャです。

そもそも、ギリシャに金融や財政の主権が存在し、民主主義がまともに機能するのであれば、これほどまでに失業者、貧困層が増えるなど考えられないことです。
インフレ率上昇覚悟で、金融&財政のパッケージを実施し、雇用確保が可能であるためです。無論、インフレ率上昇は問題ですが、インフレとは「国民全体が不利益を被る」現象です。
国民全体が物価上昇を負担し、国内の雇用を改善し、社会の安定化を図るわけです。その方が、所得不足という負担が集中する失業者、貧困層が爆発的に膨張する状況よりはマシなはずなのです。

ところが、マーストリヒト条約やECBの存在により、ギリシャの主権は制限されており、民主主義で「拡張的な金融政策、財政政策」が選択されたとしても、現実には実行不可能です。結果、国民はデモ、暴動、そしてテロリズムに走ります。
ギリシャでは2014年4月10日に、ギリシャ中央銀行近辺で自動車爆弾による爆破テロがあったばかりです。

ユーロとは、そもそも新古典派経済学的な「グローバリズム」の欧州結集版です。
ユーロ・グローバリズムと、共産党独裁による「中華人民共和国」は、国民を貧困化し、あるいは環境を生存不可能な状況にまで悪化させ、しかも悪化させた本人たち(ノーメンクラツーラやグローバル投資家など)がさっさと国外に逃亡し、その状況を民主主義では改善できないという共通点を持っているのです。

長期の失業や貧困は、国民を絶望に陥らせ、やがては共産革命やファシズムの興隆をもたらします。
今後、中国で「共産革命」が勃発し、ギリシャでファシズム的な黄金の夜明けが権力を握るような事態になったら、未来において歴史を学ぶ人々は、「1900年代前半と全く同じことを繰り返した2000年代前半の人々は、どれほどまでに愚かなのか」と、呆れかえること疑いなしだと思うのです


PS
日本企業が中国から撤退し始めた本当の理由とは?
https://www.youtube.com/watch?v=Wzz3dqOIGrY
PPS
日本のマスコミが言わない不都合な真実とは?
https://www.youtube.com/watch?v=ZK5RY5rIGs8


★ 選挙権のないチャイナの人々が正統的な手順も知らず、自ら選んだ政治家でもないのがずっとずっと支配してきたことからくる弊害。
  
  チャイナの知識人たちは「これではいけない」と主張するが、逮捕・投獄されていて、軽くても監視付・軟禁だ。

  もう習近平には人望がなく、チャイナは5~6個の国に分裂するとも言われている。

  いまだに「大地の子」も中国で放映されていないそうである。あれが共産党政権の大きな罪が描かれているらしい。


コメント (2)
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【西部邁ゼミナール】国際社会における力 2014.05.18 西部邁・中野剛司氏対談

2014年05月19日 | 政治
  
【西部邁ゼミナール】国際社会における力 2014.05.18

 ★ まだyoutubeでは上がっていないのでニコニコ動画にしていますが、字幕のコメントのラッシュは動画が始まってすぐ、動画の右下のカミソリのようなマークをクリックすると字幕コメントが消えます。 

▽ロシアによるクリミア半島の併合にみる国際社会の力の関係

▽TPP交渉の議論をみても経済連携は安全保障だというが、有事には経済的利益の話など吹っ飛ぶ

▽アメリカは国益に関係ないものをめぐって強い軍事力を持つ国と戦うことはあり得ない

▽アメリカによる一極主義的な覇権の没落は、グローバル化の終焉を意味する

▽軍事、経済、思想と総合的に解釈する力が求められる危機の時代



西部先生が中野氏を高く評価しているのも当然と思う。

「天才中野」と呼ばれることが多いが、鋭い視点、ユーモア、大変魅力ある話をする。

西部先生が静かな怒りを表現、「アメリカは日本を助ける気はない、コマとして扱っている。
ゴミのような扱いをしている、それが日米共同宣言だ。日本は何も抗議していない。」


そして中野先生の「プーチンはエコノミストとしてもすごい。」
「プーチンは力だけを考えているように見えるが、一応建前も見せている」

西部先生は「そういった手続きを重視というのは、手続きの積み重ねが秩序の正統性になる。
日本人は無頓着だ。プーチンはロシア国家をしっかりさせることが、やがてロシアの企業にも長期的な力になるとしている。」

中野先生「今のウクライナ情勢から学んだものは、経済は安全保障になるとと経済人は言うが、ウクライナ問題では
安全保障の前ではそんなもの吹っ飛んだ。
アメリカはクリミアのようなあまり関係ないことに深入りしない。『尖閣』でも同じだ。よくて経済制裁だろう。」

また、ロシアを経済制裁するアメリカ、日本もそれをしている。これで安倍さんの対中国政策は破綻する。
今回のウクライナ問題で中国が得をした。

そして西部先生は「国連」の問題も「世界政府は存在しない。それに日本がやすやすとのってはだめ」、と語る。


コメント
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