徐才厚についで郭伯雄(いずれも軍トップ)が事実上失脚か
すべては薄煕来・周永康の汚職コネクションに連結していた
汚職取り調べが進むと芋づる式に共犯者が浮かんでくる。
四月に香港の中国ビジネス界に君臨した宋林が失脚した。宋林は香港で中国企業総会の会長というポストに座り、巨大国有企業「華潤集団」(16の企業グループで基幹は「華潤創業有限公司」)のトップとして君臨してきた。
中央規律委員会は、この宋林を4月17日に拘束したと発表し、香港社会を震撼させた。宋林は現香港行政長官の梁振英の背後にあって選挙を支援したことでも知られる。
容疑は「規律違反」としか発表されないが、資金蒸発の責任を取らされた格好で、180億香港ドル(2700億円)が消えていたからだ。
そこで筆者は前後の事件をしらべると山西省の怪しげな石炭会社の理財商品償還でデフォルト寸前といわれファンドに、ある日、突如としてスポンサーが現れ、デフォルトを回避させたという奇妙な事件との関連が浮かんだ。
実際に香港の華潤創業は、山西省の石炭企業「山西煤鉱」に巨額の「投資」をしていた。
宋林逮捕に連動して、今度はもっと大事件。前中央規律委員会トップで、政治局員だった賀国強が事実上、失脚したのだ。犯罪取り締まりのトップが汚職犯罪を握りつぶしてきたからで、筆者がよく比喩してきたように、中国では石川五右衛門と長谷川平蔵は「同一人物」なのである。
賀国強(当時中央規律委員会主任)は以前から捜査要請のあった宋林の取り調べを握りつぶしてきた。そればかりか第十八期党大会直前に、賀は「自分の後任に宋林を当てる」として高層部に画策し、当時規律委員会副主任だった何勇と馬駁から強い反対に遭っていた。
賀国強にはふたりの息子がおり、賀錦濤と賀錦雷は華潤集団の幹部として山西省鉱山にてこ入れしていたのだ。しかも二人の兄弟の妻子らはすでに米国に移住して、不動産ビジネスに手を染め、ホテル経営も展開していた。
賀国剛は人脈的に李鵬、曽慶紅に繋がり、本当の黒幕が誰であるかを物語っている。
▲芋づる式にでるわ、でるわ。過去の指導者らの悪行の数々
賀の失脚後から李鵬一族、曽慶紅の子らのスキャンダルが一斉に吹き出しているが、注目は王兆国の息子、王新亮である。
王新亮は香港のファンド筋のインサイダー取引などに周永康の息子、周浜と組んで深く関与し、200億香港ドルの大穴を空けてマレーシアへ逃亡した。この事件は小誌も取り上げた。
周永康の自宅監禁状態はつづいており、外出はもちろん出来ず、彼を保護しきた軍トップの徐才厚は、北京301医院で末期の膀胱ガン。この「大虎」は事実上死んでおり、つぎに相棒で同じく第十七期中央軍事委員会副主席だった郭伯雄も連座失脚、泰城監獄につながれたという情報もある(香港雑誌『開放』、2014年5月号)。
徐と郭のふたりの軍トップは江沢民の引きで、成り上がった。
というのも、4月13日に広州で執り行われた前福州軍区副政治委員、王直の葬儀に現れず、また同月21日に行われた羅青長の葬儀にも出席しなかった。羅青林は人民解放軍で『反日』をほえる羅援の父親で軍特務の親玉として恐れられた存在だった。
中国のしきたりでは、序列通りに花輪が並び、出席者が公表されるから、その順番で実質のランクが分かる。郭伯雄は、これら重要な政治行事に出席できない物理的理由があったからだろう。
しかも郭は軍の巨額汚職で逮捕、有罪となった谷俊山の腐敗行為を黙認し、谷は全土に豪邸、そこに数十の美女をおいて情婦としていた。
こうして周永康―薄煕来―曽慶紅、李鵬、賀国強、宋林らが背後で一大汚職コネクションを構築して国富を横取りし私腹を肥やしていたという史上空前の腐食の構造が浮かんできた。まことにもって彼らの脳幹は腐食していたのだ。
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声) 貴誌前号、香港における太子党のぼろ儲けの有りようですが、中国の特権階級の実態にはおどろくばかりです。こういう腐敗した上層部をもつ国民こそ、可哀想で、中国の歴史を振り返っても王朝の末期には、幹部が腐るのですね。
この中国王朝、宮崎さんの言葉でいうところの「共産党王朝」は、ホントにもう末期ではありませんか?
(宮崎正弘のコメント)ですから幹部は18000名が海外へ逃げ出し、持ち出したカネは一兆ドル。桁違いですね。日本の国家予算より多いカネが、すでに中国からなくなっています。
外貨準備高の3兆ドルだって、ほんとに有るのか、どうか。
中国の指導層は脳幹が腐食し始めています。エマニエル・トッド(フランスの人口学者)がいみじくも指摘したように、脳幹が腐り始めると、次の段階はどうなるか? 拙著近作『「中国の時代」は終わった』は、月末に上梓されます。
(読者の声)このところ、安倍首相の張り切りで、集団的自衛権が論議の的になっていますが、産経の世論調査では7割が憲法の解釈変更に賛成しているのに、朝日や東京新聞は30%程度しか賛成していない。この格差、あまりにも違いすぎ、情報操作の疑いがあります。とくに東京新聞はひどいですね。左翼の主張そのものが紙面に露骨に反映されていて驚きです。
(宮崎正弘のコメント)東京新聞の一面トップ見出しは「国民を戦場へ」と、扇情的でした。沖縄の新聞もひどい左翼ですが、共同が配信するせいか地方紙もなべてひどい内容で、国民の民意とは甚だしくずれています。先日、会津若松におりましたが、地元の『福島民友』も、東京新聞と変わらない見出しと記事で、驚きました。論壇の議論をみていると、左翼はほぼ壊滅しているのに、かたや新聞世界は、依然として左翼がリードしているのが現実です。
こうなると冷戦終結は自由主義の勝利ではなかったことになります。
(読者の声)旧自民党の三悪、加藤紘一、古賀誠、野中広務が安倍政権をひどく非難する記事を、な、なんと敵である日本共産党の「赤旗」に掲載しています。
こういう裏切りを許す自民党は、ほんとに改憲をめざす政党なのでしょうか腹が立って仕方がありません。安倍首相のまわりにも、潜在的裏切り者が蔓延っているのではないですか?
(宮崎正弘のコメント)「三悪」ですか(爆笑)。それはともかく、自民党は改憲を忘れ、党是を忘れて権力という利権を保持してゆくための烏合の衆と化してしまった。遠藤浩一さんが指摘していたように「窯変(ようへん)」したのです。
「負者にすり寄り、その場その場で勝てばいい」という政党になりはてた。
これを立て直し、たたかう保守、志操で強固に連帯できるパルタイへ復旧しようとしているのが現政権ですが、左翼マスコミと組んでこれをつぶそうとしている政治家が党内に、うようよといますね。自民党は連立相手から公明党を切り、維新と連合するとすっきりするという人も小生のまわりに多い。
しかし基本的に政治家とは理想と現実のギャップを埋めていくのが任務であり、早急に理想に向かって走り出すと、おもわぬ伏兵が待ち伏せていますから、それに前回懲りた首相は、かなり政略的に成熟していると見ています。(それはどうかな?)
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(天安門事件25周年 東京集会 掲示板) 6月4日まで毎日内容が変わります
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6・4「東京集会」のお知らせ
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「天安門事件25周年 東京集会」は下記の要領で行われます!
あの衝撃の天安門事件〔1989年6月4日〕から四半世紀。ことしは世界各地で中国共産党の凶暴な独裁政治を糾弾し、中国に「自由・民主・法治・人権」をもとめる集会が開催され、東京では各派の大同団結、世界でも珍しい集いになります。
記
とき 6月4日〔水〕午後6時~8時15分(午後5時半開場)
ところ アルカディア市ヶ谷 三階大ホール(JR・メトロ「市ヶ谷」徒歩三分)
http://www.jstc.jp/map/kenshu-mapARCADIA.html
入場(会場分担金) おひとり1000円 (外国人留学生と学生は無料。ID提示)
<どなたでも、予約なしでご参加いただけます!>
主催 「天安門事件二十五周年 東京集会」実行委員会」
呼びかけ人 黄文雄、石平、相林、ペマ・ギャルポ、宮崎正弘 水島総
共催 「アジア自由民主連帯協議会」(ペマ・ギャルポ代表)
「頑張れ日本! 全国行動委員会」(田母神俊雄 代表)
「国防問題研究会」(玉川博己 代表幹事)
プログラム 天安門事件の犠牲者に黙祷(司会 古川郁絵)
基調講演 石平「私は天安門事件で中国を捨てた」
ゲスト 陳破空(在米、亡命作家)
発言 ペマ・ギャルポ(チベット)、イリハム・マハムディ(ウィグル)
相林(中国)、オルホノド・ダイチン(蒙古)、王明理(台湾)、ベトナム
フィリピン、ミャンマー代表ほか水島総、藤井厳喜、西村幸祐
ならびに国会議員挨拶など・
浄財の送り先 郵便振替 00180(6)486092
名義人 「天安門事件25周年東京集会」
(なお全国津々浦々から浄財が寄せられております。支援の皆様には「招待はがき」を発送しており、また集会終了後、記念冊子と御礼状を経理報告とともにお送り申し上げます。ただしすべての精算に時間を要するため上記発送は6月中旬になりますこと、あらかじめご了解下さい)
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★ 宮崎先生の前回のメルマガ、掲載できませんでしたので、下記に掲載します。
米司法省、中国人民解放軍「61398部隊」のサイバー攻撃・スパイ五人を起訴
スノーデンの事件が尾を引いてFBIの内偵捜査は一年以上に及んだ
米国はついに堪忍袋の緒を切った。
米国企業のコンピュータを攻撃破壊し、企業機密を盗み出した廉で中国軍人五人をピッツバーグ裁判所に起訴した。
エリック・ホルダー司法長官が5月19日に記者会見して、中国人の起訴を発表したが、これは米国史上初の外国人スパイを起訴するケースになる。
五人はいずれも中国人民解放軍総参謀部「61398部隊」第三支隊所属の将校らである。具体的な起訴理由はWH、USスチール、アルコア、ATI,全米鉄鋼エンジニア労働組合、など五社から原子炉の設計図など機密情報を盗んだ。(在米華字紙の『多維新聞網』は、このほか、太陽電池パネルのドイツ企業米国現地法人からのパネル技術情報を盗んだと報じ合計6社からとしている。5月20日付け)。
五人の名前は孫凱良、黄鎮宇、文新宇、王東、願春暉(中国人名は小誌独自の情報源から)。
米国FBIは、上海にある謎のビルが61398部隊のハッカー攻撃の本部であることをすでに突き止めており、一年あまりの内偵の結果、司法省の起訴に及んだ。
中国はただちに反論し、「これは米国のねつ造だ」といつものように政治的な戯言を繰り返している。
これでがたがたになった米中関係に決定的な亀裂が入るか、どうかはいまのところ不透明である。(以上)
★ 6・4「東京集会」のお知らせ
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英語版の集会案内文が出来ました。外国の友人らにも配布してください。
Gathering in Tokyo to mark the 25th anniversary of the Tiananmen Square Incident
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A quarter-century has passed since the shocking incident on June 4, 1989 in Tiananmen Square. This year, gatherings will be held around the world to denounce the brutal dictatorship of the Chinese Communist Party and call for freedom, democracy, the rule of law, and human rights.
A large gathering organized by volunteers in Tokyo will welcome Chinese exchange-student democracy activists together with advocates for Xinjiang, Tibet, Inner Mongolia, and Manchuria―all regions suffering under Chinese oppression―as well as Taiwan, whose independence is constrained by China. Joining them will be representatives from the Philippines and Vietnam, two nations that are standing up against Chinese maritime excursions.
Time: 6:00 - 8:15 pm, Wednesday, June 4 (venue opens at 5:30 pm)
Place: Grand Hall, third floor, Arcadia Ichigaya (three minutes on foot from Ichigaya Station on the JR and Tokyo Metro lines)
Admission (used to pay for the costs of the venue): 1000 yen/person (free for foreign exchange students and domestic students, with ID)
Organizer:
Tiananmen Incident 25th Anniversary Tokyo Organizing Committee
Organized by: Ko Bunyu, Seki Hei, So Lin, Pema Gyalpo, Masahiro Miyazaki, Satoru Mizushima
Cosponsors: Asian Solidarity Council for Freedom and Democracy (Chairman: Pema Gyalpo) 、Gambare Nippon (Representative: Toshio Tamogami) 、Society for the Study of Defense Issues (Representative: Hiromi Tamagawa)
Program Moment of silence for the victims of the Tiananmen Square Incident
Keynote address: Seki Hei, “I Gave Up on China after the Tiananmen Incident”
Remarks: Pema Gyalpo (Tibet), Ilham Mahmut (Xianmen), So Lin (China), Orhonod Daichin (Inner Mongolia), Wong Meng Lei (Taiwan), Chen Pokong
Representatives of the Philippines, Myanmar, and Vietnam; Satoru Mizushima, Genki Fujii
Numerous guests, messages from Diet members, etc.
Send any donations to: postal transfer account 00180(6)486092 (account name: Tenanmonjiken 25-shunen Tokyo Shukai)
Supported by Japan Uyghur Association, Japan Committee of 100 for Tibet, Mongolian Liberal Union Party, World United Formosans for Independence, Japan-Vietnam Islands Council, Japan-Philippines Liaison Council Preparatory Committee
Endorsed by: Society for the Dissemination of Historical Fact, Japanese Culture Channel Sakura, Friends of Lee Teng-Hui Association in Japan, Kuretakekai
(Objectives)
A quarter-century has passed since the terrible incident that shocked the world in Beijing’s Tiananmen Square on June 4, 1989.
After witnessing the sacrifices of the numerous victims, intellectuals in China played a key role in the argument on reassessing the incident and in making demands to the Chinese government, and critical voices were heard from around the world as well. Even so, the Chinese Communist Party continued to tolerate no criticism. It detained democracy activists, including Nobel Peace Prize Winner Liu Xiaobo, and announced an unjust court decision of a life sentence for Dr. Wang Bingzhang, who had organized the China Spring and called for freedom, democracy, human rights, and the rule of law. It has ignored calls from around the world for the release of these intellectuals who demand freedom, democracy, and human rights.
What’s more, the Chinese Communist Party has continued to strengthen its repression of democracy activists. It uses fabricated stories such as the “Nanking Massacre” as distractions for propaganda purposes, and it brainwashes the public with the malicious claim that the Tiananmen Incident was a foreign plot. Its totalitarian nature appears not to have changed at all over a quarter-century. Additionally, it refuses to protect international order, demonstrating only a selfish assertiveness and an arrogant attitude as if to say that China is the one that shall decide the international order of the future.
The nuclear weapons and missiles of the People's Liberation Army, as well as China’s naval expansion, have threatened its neighboring countries, and all the countries of Asia have started to
stand up against this high-handed attitude. They are demanding that China comply with rules on safe marine passage, joined by countries around the world including those of Europe, the United States, and Australia.
Still, China continues to repeat its propaganda claims that it is only responding to provocations from Japan, the Philippines, Vietnam, Malaysia, and Indonesia, an argument completely lacking in good faith. Domestically, it continues the violent oppression of Tibet, Xiamen, Inner Mongolia, and Manchuria, suppressing these lands’ independence movements. While making impassioned self-centered speeches on “China’s dream,” it completely ignores the dreams of humanity. Can this be described as a country that wants peace?
A quarter-century after the massacre at Tiananmen Square, critics of the Chinese Communist Party are standing up around the world, and a Tiananmen Square memorial museum has opened in Hong Kong.
On June 4, commemorative gatherings and demonstration marches will be held in more than 30 countries around the world―including the cities of New York, San Francisco, Hong Kong, Madrid, Paris, and Taipei―to mark the 25th anniversary of the Tiananmen Incident. Interested parties in Japan are invited to a gathering in sympathy with this movement that will welcome numerous exchange students from countries in Asia, with the support of 100 distinguished people.
This gathering will express the wish that China will observe international rules and quickly become a country that respects freedom, democracy, human rights, and the rule of law, while at the same time calling for serious reflection on the bloody crackdown in Tiananmen Square.
Gathering in Tokyo to mark the 25th anniversary of the Tiananmen Square Incident