その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

雨宮 寛二 『アップル、アマゾン、グーグルの競争戦略』  (NTT出版)

2012-04-18 18:33:01 | 
 成田空港の本屋で偶然見つけ、衝動買い。

 ネット勝ち組であるアップル、アマゾン、グーグルの戦略を、ポーターの競争戦略論・バリューチェーン理論、バーニーの経営戦略論、クリステンセンのイノベーション理論などのフレームワークを使って分析し、インターネットビジネスの解(「ネット解」)を明らかにしようとする。

 今をときめくネット企業の3社だが、本書のように共通のフレームワークを使って戦略を比較分析した本は今まであまりないのではないか?ジャーナリスティックなレポートでもなければ、学者が書くようなコンセプチュアルな理論運用でもないので、ビジネスマンが、概括的に3社の戦略を知るのには、有益だと思う。

 一方で、分析はそれほど深くなく、切り込みも筆者のユニークな視点があるわけではないので、パンチの弱さは否定できない。既存のフレームワークを適用して現状を分析したレヴェルに留まっている。筆者には失礼だが、自分が大学院の「経営戦略」のタームペーパーで、「某業界の競合2社を取り上げ、そのクラスで学習した経営理論を使って分析せよ」という課題で、レポートを書いていたのを思い出した。

 ただ、「お前に書けるのか?」と問われれば、今の私には出来ないので、本書の整理されたナレッジは私にはそれなりに有用だった。自分の中でも評価が割れる1冊だった。
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