その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

Barenboim & Staatskapelle Berlin (バレンボイム/シュターツカペレ・ベルリン)

2012-04-20 18:38:45 | コンサート (in 欧州)
 1年前に予約したチケット。最近めっきりコンサートホールに足が遠のいてしまっていたのだが、久しぶりに気合を入れてロイヤルフェスティバルホールへ出撃。何と言ってもバレンボイムと手兵シュターツカペレ・ベルリンのコンサートである。

 しょっぱなは、モーッアルトのピアノ協奏曲24番。バレンボイム自身のピアノ演奏である。バレンボイムのピアノは初めて聞くのだが、この1年はモーッアルトのピアノ協奏曲というと内田光子さんばかり聴いていたので、当たり前の話だが、随分違うもんだと思った。光子さんの素朴ながらも繊細で華がある演奏と比べると、バレンボイムのピアノは同様に素朴なのだけど、もっと太くたくましい感じがする。これは光子さんが女性で、バレンボイムが男性というきわめて、私の思いこみに来ている可能性も否定できないが、少なくともこの日の私はそう感じた。でも、そのバレンボイムの愚直とも聞えたモーツァルトはとっても体にすんなり入ってきて、かみしめながら聴くことができた。



 そして、ブルックナーの交響曲7番。多くの人がそうであろうが、私もブルックナーの交響曲の中ではこの7番が一番好きである。原体験は、ずーっと昔、クラウス・テンシュテットが振ったフィラデルフィア管の演奏を聴いたことで、感受性が強い時期だったということもあるが、自分史の中でもとっても衝撃的な体験だった。今回は バレンボイムとシュターツカペレ・ベルリンが創り出す重厚で雄大な世界に魅せられた。特に、弦の厚みのある演奏は、冒頭のチェロの演奏から痺れっぱなしだった。ベルリン・フィルのような機能的で鋭利な刃物のような隙のない完璧なアンサンブルとは全く趣が異なっているが、ドラマチックで人を気持ちを揺さぶる演奏だ。なんかこの音楽を使って物語を書いたりしてみたくなる。暗譜で振るバレンボイムもかなりオーケストラを煽っていたが、金管もフルパワーで鳴らし、大きなロイヤルフェスティバルホールが揺れているような感覚に陥るほど。今回はバルコニー席だったのだが、これはもっとステージ近くで聴きたかったなあ~。



 終演後は盛大なスタンディングオベーションだった。





Royal Festival Hall

Barenboim & Staatskapelle Berlin
The Bruckner Project
15 April 2012

Wolfgang Amadeus Mozart: Piano Concerto No.24 in C minor, K.491
Interval
Anton Bruckner: Symphony No.7 in E

Staatskapelle Berlin
Daniel Barenboim conductor, piano

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする