アップル、フェイスブックなどのIT企業が作るプラットフォームの特徴を解説したものとしては、平野カール敦志さんの『プラットフォーム戦略』という本を読んだが、本書も似ており、昨今のプラットフォームビジネスについて紹介してくれている。
内容の多くは、Webマガジンなどいろんなところでいろんな人が書いている記事とダブルところがあり、既視感があるのは事実。その中で、私にとって目新しかったのは以下の3点かな。
「悪いほうに傾くことがあるプラットフォームの問題を「ビジネスモデルの重力」と呼ぶ。ユーザが声をあげることで、自然に悪いことは修正されていく。」私としては簡単には首肯はしがたい楽観論だが、見方としては面白い。
「日本型プラットフォームはB2B2C型。リクルートやiモードや楽天がこのモデル。」これは確かに、ユーザとのダイレクトな関係性を構築する傾向のある米国ネットビジネスと比較すると、日本の特徴といえるだろう。
「日本はコミュニケーション消費大国。着メロ、着うた、装飾メール、待ちうけ、着せ替えなどコミュニケーションを活性化させる能力に長けている。」確かにね。
気安く読める一冊なので、すきま時間に読むのに適した一冊。特に、プラットフォームビジネスについて具体例を踏まえつつ、概論的に学びたい人、知りたい人向け。
目次
第一章 プラットフォームとは何か?
――IT企業、国家、ボランティア活動
第二章 プラットフォームの「共有価値観」
――グーグル、アップル、フェイスブックを根本から読み解く
第三章 プラットフォームは世界の何を変えるのか?
――3Dプリンタ、教育、シェアリングエコノミー
第四章 プラットフォームは悪なのか?
――ビジネスモデルの重力、ネットの倫理、現代のリベラルアーツ
第五章 日本型プラットフォームの可能性
――リクルート、iモード、楽天
第六章 コミュニケーション消費とは何か?
――ミクシィ、アイドル、ニコニコ動画
第七章 人を幸せにするプラットフォーム