その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

N響 2月定期A 指揮:パーヴォ・ヤルヴィ /ブルックナー交響曲 第5番ほか

2016-02-08 21:00:00 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


 冬の定期を締めるのは主席指揮者パーヴォ・ヤルヴィさん。このポストに就任してまだ半年もたちませんが、もうすっかりN響の顔として定着した感じがします。今回も期待大。

 マーラーの「亡き子をしのぶ歌」のバリトン独唱はマティアス・ゲルネさん。一昨年のN響定期で、ワーグナーのプログラムで聴いています。今回も、彼の渋く深みのある歌声が、この悲しい曲にマッチしていて心打たれました。オケのサウンドも透明感あるもので、美しかった。感傷的な歌詞ですが、演奏は淡麗としたもので、それにゲルネさんが色を加えるという印象でした。惜しむらくは、この曲にはNHKホールは大きすぎ。ゲルネさんの微妙なニュアンスが、私の3階席までは十分届いていないのではないかと感じました。こじんまりとしたホールで、しみじみと聴ければ、もっと深く胸に響くのではと思ったりしました。

 後半のブルックナーの交響曲第5番は、パーヴォさんとN響のコンビの素晴らしさが十二分に表れた演奏でした。パーヴォさんが振ると、どんな難しそうな曲でも、一本の光の筋がスーッとできて道が開けるように、見通し良く聞こえるから不思議です。今回のブルックナーもテンポよく、サクサクと進んでいきました。金管が気持ちよく鳴らしまくっているのが印象的でしたが、弦や木管とのバランスもしっかりとれていて、音楽としてのまとまりが決して崩れません。「こりゃあ、凄いわ~」と感心しながら聞いていました。

 ただ、私がブルックナーの交響曲は7番、9番以外は、あまり聴き慣れていないこともあって、この5番はまだ手に余る感じ。正直、途中、この曲ちょっと長すぎと感じてしまいました。ブルオタさんには怒られるかもしれませんが、三分の2ぐらいに、うまくまとめられないのかしら?

 割れんばかりの終演後の拍手の中、この演奏会をもって、定年で退団されるトランペットの佛坂さんに花束が贈呈されました。お疲れ様でした!

 次の土曜日も楽しみです。


《快晴のNHKホール前》


《終演後の原宿駅前。陽も随分長くなりました》

第1829回 定期公演 Aプログラム
2016年2月7日(日) 3:00pm
NHKホール

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
バリトン*:マティアス・ゲルネ

マーラー/亡き子をしのぶ歌*
ブルックナー/交響曲 第5番 変ロ長調(ノヴァーク版)


No.1829 Subscription (Program A)
Sunday, February 7, 2016 3:00p.m. (doors open at 2:00p.m.)
NHK Hall

Mahler / Kindertotenlieder*
Bruckner / Symphony No.5 B-flat major (Edition by Nowak)

Paavo Järvi, conductor
Matthias Goerne, baritone*
コメント (6)
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